世界のメーデー 「体制変革が必要だ」 弾圧うち破り街頭で怒りの声
週刊『前進』04頁(3195号02面04)(2021/05/24)
世界のメーデー
「体制変革が必要だ」
弾圧うち破り街頭で怒りの声
(写真 体制変革こそが危機からの救いの道だとアピール【5月1日 イタリア・トリノ】)
(写真 「生きたい! 解雇を禁止しろ!」。非正規職労働者のデモ【韓国・ソウル】)
(写真 台南や高雄など台湾各地から台北に集まった労働組合員約3千人がのぼりをはためかせてデモ)
5月1日、世界の労働者は〈コロナ×大恐慌〉情勢に真っ向から立ち向かい、各地でメーデー闘争に立ち上がった。
アメリカでは、PRO法(団結権保護法)制定要求がメインテーマとなった。コロナ下で感染の危険にさらされながら最前線で働き、労働組合の結成をめざしてきたアマゾンの労働者たちが、暴力的な労組破壊攻撃を受けたからだ。
さらにコロナ解雇や警察による暴行・虐殺を弾劾し、メーデー発祥の地シカゴをはじめニューヨーク、ロサンゼルスなどで数千〜数万人の労働者が結集した。サンフランシスコではILWUローカル10(国際港湾倉庫労組第10支部)や看護師労組、教職員組合、都市交労組などが1934年ゼネストの激戦地となった港湾地区からマーケットストリートを行進した。
韓国では、再び財閥との結託を深めるムンジェイン政権に労働者階級の激しい怒りがたたきつけられた。民主労総(全国民主労働組合総連盟)は全国16地域でメーデー大会を開き、労働基本権の全面確立と非正規職撤廃を求めて今秋ゼネストに立つと宣言した。ヤンギョンス委員長はソウル大会で、「労働者にすべての責任を転嫁する不平等な世の中をひっくり返そう」と力を込めて訴えた。
全国の闘争現場から集まった非正規職労働者はソウル・平和市場のチョンテイル像前で事前大会を開き、「解雇禁止! 非正規職もうやめろ!」と叫んで独自にデモ行進を行った。その先頭に旭非正規職支会の仲間たちが立った。
台湾では、4月2日の特急タロコ号の脱線事故を口実として政府が台湾鉄道の民営化攻撃を開始したことに対し、鉄道労働者と民衆の怒りが広がっている。台鉄産業労働組合はメーデーの当日、早朝から行政院前で記者会見を行って政府の「台鉄改革」を批判し、列車の安全を守る真の改革のためには現場労働者の意見を聞くべきだと訴えた。
台北市内でのメーデー集会には台湾各地から約3千人が参加。労働者の生きるための喫緊の要求として年金保障や賃上げを掲げ、台湾総統府や立法会(国会)をはじめ政府中枢を直撃する大デモを行った。
香港では、コロナを口実にメーデーの集会とデモが全面的に禁止された。これに対して香港職工会連盟は青年を先頭に各地で街頭宣伝に立ち、この間の民主派人士への弾圧を弾劾して、その釈放を訴えた。
メーデー宣言で職工会連盟は「同志の犠牲は多いが、引くことはできない」とし、労働組合の歴史的任務は「それぞれの業種で『防衛線』となり」、弾圧を打ち破って民衆の団結を組織していくことだと宣言した。職工会連盟事務局長の李卓人氏も獄中からのメッセージで「心をつなげ、共同信念を抱くなら、牢獄(ろうごく)も私たちが共に闘い続けることを阻めない。各自が一歩ずつ前に踏み出し、それぞれの任務を果たそう」と訴えた。
イタリアのメーデーは、コロナ・パンデミック第3波とドラギ内閣の労働運動破壊攻撃との対決の中で闘われた。CGIL(労働総同盟)など体制内労組は政府と一体となって、「文化行事」と称するお祭り騒ぎにメーデーをすりかえた。しかし、戦闘的労働運動を掲げる独立労組はミラノ、トリノなどの北部工業地帯を軸に、S・I・Cobas(職場委員会全国連合)を中心にして独自のメーデー闘争を闘いぬいた。
ミラノでは、国際物流資本FedEx―TNTの解雇攻撃と闘ってきた運輸・倉庫労働者(移民労働者が多数を占める)が5千人のデモの最先頭に立った。トリノでは、「医療危機、社会的危機、環境危機からの救いの道は体制変革だ」のスローガンを掲げる闘争に1千人が結集した。
ドイツでも、DGB(ドイツ労働総同盟)がコロナを口実に集会・デモを放棄する中、多くの都市でメーデーが闘われた。首都ベルリンではさまざまな左派潮流が総結集して「革命的メーデー・デモ」が闘われ、2万5千人が参加し、コロナ下での大量解雇と生活苦への激しい怒りを示した。
トルコでも、政府が野外集会などを禁止し「完全封鎖」を叫ぶ中、金属、石油化学、運輸、医療福祉、食品など多様な部門の労働者たちが創意工夫をこらし、職場や街頭で闘った。UID―DER(国際労働者連帯協会)は動労千葉にあてたビデオメッセージで戦争に突き進む菅政権を弾劾。「世界の労働者として、われわれは団結し資本主義と闘う」と宣言した。