五輪強行・ワクチン強制許すな 医療崩壊利用し改憲狙う菅倒せ 革共同医療福祉労働者委員会

週刊『前進』04頁(3195号02面01)(2021/05/24)


五輪強行・ワクチン強制許すな
 医療崩壊利用し改憲狙う菅倒せ
 革共同医療福祉労働者委員会


 〈コロナ×大恐慌〉下で菅政権は、最弱の環・日本帝国主義の絶望的延命をかけて改憲と戦争国家化に突進している。そのために7月東京オリンピック強行と「ワクチン接種」強制キャンペーンにかけている。最大の攻防点は医療労働者の闘いだ。五輪への「看護師500人動員」要請に対して、数十万件の抗議の声がツイッターを埋め尽くし、五輪中止を求めるネット署名は30万筆超が史上最速で集まった。昨年の「医療を社会保障として取り戻す」病院ストライキ以来、全国の医療・介護・福祉労働者が怒りの行動を開始している。医療の民営化に絶対反対で闘う団結を全国の職場につくり、新自由主義と菅政権を打倒しよう。

公的医療の破壊が元凶だ

 とりわけ関西圏における感染爆発は深刻だ。大阪府では5月5日に重症病床の使用率が100%を突破し、10日には直近7日間の死者数が100万人当たり22・6人となった。これは全国平均4・1人の5倍で、インドの16・5人すら超える。5月10日時点で府内の自宅療養者は1万4504人、入院・療養調整中が3302人に上る。今年3月以降だけで計17人が入院できずに亡くなった。
 医療崩壊の現実は壮絶だ。5月7日、兵庫県神戸市の介護老人保健施設では133人が新型コロナに感染し25人が死亡するクラスターが発生。6日にも大阪府門真市の高齢者施設で40人が感染し13人(3人に1人!)が死亡している。現場の労働者は、「毎日遺体を納体袋に収めた。力及ばず本当に悔しい」と語っている。大阪府の感染者入院率は10%で、9割が入院すらできない状況だ。
 コロナ以外の病気で亡くなる人も増えている。5月連休前に八尾北医療センターの発熱外来を受診した90歳の女性は、コロナ陰性であったものの、肺炎像がみられ入院先を探したが八尾市内は5件すべて断られた。救急車で2時間待機し、25件目にやっと大阪市内の病院に入院できて一命をとりとめたという。
 どうしてこれほどまでに命が奪われているのか! すべてが自民党や維新政治の結果ではないか! 震えるような怒りを感じない医療労働者はいない。
 大阪府では2006年に五つの府立病院が「大阪府立病院機構」のもとに独立行政法人化され、3千人以上の医療労働者が公務員の身分をはぎとられた。保健所は大阪市内に一つしかなく、保健師の数は全国で下から2番目。ここまで公的医療が破壊されているのに、吉村洋文知事は3月1日、緊急事態宣言の先行解除をアピールするために感染状況を「ステージ3」に下げ、4月1日までにコロナ重症病床を3割も削減した。その結果がこの「医療崩壊」だ。これは、「無能な政治家のミス」などでは断じてない。支配階級は医療崩壊を意図的につくり出すことで改憲と戦争を推し進めようとしている。
 昨年12月に大阪府でコロナ重症センターに人員が集まらず医療崩壊の危機となった時、吉村知事は何の意味もない伊丹駐屯地からの自衛隊派遣を宣伝し「命がけで憲法9条の改正を」と呼びかけた。「私権の制限」を元大阪府知事・橋下徹とともに叫び立て、改憲の切り込み部隊として連日登場している。「医療崩壊」の中で起きているのは、改憲をめぐる文字通りの階級戦争なのだ。

ワクチンでは解決しない

 この事実を覆い隠すために帝国主義者はマスコミを総動員し、遺伝子ワクチンのみが「未知のウイルス」からの救済者であるかのように宣伝して現場の怒りを封殺しようとしている。
 だが、遺伝子ワクチンの危険性は接種が進むにつれ明らかになっている。5月12日、厚生労働省は、2月17日から5月7日までの間で接種後に39人が亡くなっているとの報告を公表。ところが、あくまで「ワクチンとの因果関係は評価できない」などとしている。2回目の接種を終えた医療労働者の感染も次々と確認されている。早期検査と早期治療(隔離)をしない限り、ワクチンで感染爆発は止まらないことは明白だ。
 そもそも遺伝子ワクチンの開発過程自体が新自由主義政策そのものだ。2月には東京都医師会が海外で治療効果が認められている薬剤の使用拡大を提言したが、製薬会社にとって「もうけ」がないため臨床試験が進まなかった。一方で遺伝子ワクチンには多額の予算と国家的支援が保障され、安全性は確立されていないのに「非常時」を口実に接種が強行されている。人体実験そのものだ。
 さらに菅政権は、ワクチンを利用して改憲への突破口を開こうとしている。5月5日、ワクチン担当大臣の河野太郎は、防衛省が「大規模接種センター」を設置すると突如発表した。自衛隊の手に余り37億円で民間企業に丸投げするというが、狙いは「『有事』の官民作戦」(5月17日付産経新聞)であり、これ自体が戦争体制づくりだ。
 こんなワクチンキャンペーンにコロナ危機を乗り越える展望など全くない。

資本主義終わらせ命守れ

 新型コロナの感染爆発から1年半。もはや資本主義体制下でコロナ危機を乗り越えることは不可能だと、誰もが気づき始めている。
 医療労働者は昨年来、階級的団結のみを武器に激しい攻撃と対決してきた。今年3月の春闘では、高槻医療福祉労組の「いのちを守るストライキ」を皮切りに全国で医療労働者がストに決起し、メーデー闘争でも最先頭に立った。4月21日に「地域医療交流会」が「遺伝子ワクチンではなく公的医療の拡充を!」と大阪府に求めた行動は、現場で踏ん張る多くの医療労働者に感動を与え、「地域医療を守れ」という巨大な団結を生み出し始めている。
 菅政権による436病院の「再編・統合」、小池都政の狙う都立病院の独法化阻止に向け、運動をさらに拡大しよう。また、4月8日には衆院本会議で「病床削減推進法案」が可決された。病床を削減した病院に消費税を財源とする給付金を出し、一方では医師に過労死ラインの約2倍(年1860時間)もの時間外労働を認めるというとんでもない内容だ。
 そして、新型コロナ感染による20年の労災発生数は6041人で、うち8割が医療・介護労働者だ(厚労省発表)。帝国主義の延命のために労働者階級の命が極限まで軽視される現実を絶対に許してはならない。
 世界中で巻き起こる社会変革の闘いの先頭には、必ず医療労働者の存在がある。コロナ危機の中で「いのちを守る」という医療労働者の使命は、資本主義社会と根本から相いれないところにまで来た。私たちはきっぱりと資本主義社会を拒否する。医療・介護・福祉労働者は、誇りをかけて職場から声を上げ、職場に闘う団結をつくり、腐りきったこの社会を変えよう。新自由主義と菅政権を打倒し、コロナを利用した改憲・戦争攻撃を絶対に止めるために闘おう!
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