尼崎事故弾劾し集会・デモ 鉄道も医療も民営化が壊した
週刊『前進』04頁(3193号04面01)(2021/05/03)
尼崎事故弾劾し集会・デモ
鉄道も医療も民営化が壊した
(写真 「尼崎事故は終わっていないぞ」「JRは責任をとれ」などのシュプレヒコールを響かせ事故現場までのデモに立った【4月24日 兵庫県尼崎市】)
緊急事態宣言の発動を迎え撃ち
2005年4月25日、JR西日本は107人の乗員・乗客の命を一瞬のうちに奪う最悪の列車脱線転覆事故を起こした。この事故を弾劾する集会が4月24日、JR尼崎駅北口広場で開かれた。動労千葉と国鉄闘争全国運動関西が主催し、全国から120人が集まった。集会後、事故現場までのデモが力強く行われた。昨年は、コロナによる緊急事態宣言の中で尼崎事故弾劾闘争を断念せざるを得なかった。だが今年は、翌日から発動される緊急事態宣言を迎え撃つ形で闘争が設定された。尼崎事故は鉄道事業を民営化し金もうけの道具としたことにより引き起こされた。コロナ感染拡大も、国鉄分割・民営化と同時期に始まった医療の民営化の結果だ。事故から16年を経て、尼崎闘争の重要性はさらに高まり、集会は、民営化を軸にした新自由主義の攻撃を必ず粉砕するという熱意にあふれた。
国鉄分割・民営化と終生闘いぬく
司会を動労西日本の原田隆司執行委員が務めた。主催者の国鉄闘争全国運動関西を代表して全国金属機械労組港合同の中村吉政委員長があいさつし、事故の元凶であり、労働者を解雇し権利を破壊した国鉄分割・民営化に対し勝利するまで終生闘うと断言した。 特別報告を全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部の武谷新吾書記次長が行い、「産業別労働運動つぶしを狙う弾圧に勝利するまで闘う」と宣言、武建一委員長への実刑を狙う攻撃をあらゆる行動を展開して粉砕すると決意を語った。
JRの大合理化と徹底対決する
基調報告を動労西日本の山田和広書記長が行い、「大合理化と労組つぶし、戦争・改憲を阻止し、資本主義を終わらせよう」と訴えた。JRの大合理化は全国で一線を越えて進んでいる。JR西日本は整理解雇を狙う一時帰休を強行し、運転士に車両の清掃業務を強いようとしている。3月ダイヤ改定で吉備線と津山線の全列車がワンマン化され、芸備線の廃線もたくらまれている。コスト削減と大合理化、強権的労務支配により尼崎事故を引き起こしたJR西日本は、その反省もせず一層の外注化に走っている。こうした攻撃に対して山田書記長は、①JR西日本子会社の西日本メンテックによる組合員への過労死強制、②広島メンテックによる組合員の雇い止め、③広島メンテックによる労働災害——の三つの課題を柱とする動労西日本の闘争方針を打ち出した。
動労千葉の中村仁書記次長が、ワンマン化に対して48時間ストに立ち、地域住民と連帯して総決起集会を成功させた今春闘について報告。コロナ下での解雇・賃下げ・非正規職化の攻撃と対決する労働運動を構築しようと呼びかけた。
動労西日本の大江照己委員長は、コロナを口実に事故犠牲者の追悼慰霊式を中止したJR西日本を「事故をなかったことにしようとしている」と弾劾、「労働者として事故を絶対に忘れない」と声を強めた。
広島メンテックにより労災を強いられた組合員は、車両の消毒作業に使われた消毒液で健康被害を受けたことなどを労災と認めない会社に怒りを示し、「労働組合と出会い、私の小さな声も取り上げていただいたことに感謝します」と万感の思いを込めて発言した。
動労総連合・九州の羽廣憲委員長が、解雇撤回まで闘う決意を示した。
動労水戸からのメッセージを司会が代読した。
日教組奈良市、大阪市職の労働者、関西合同労組、八尾北医療センター労組、高槻医療福祉労組、全学連が決意表明。それぞれが、国鉄分割・民営化と同じ攻撃が職場や学園を襲う中、これと立ち向かい団結を拡大・強化したことを、実践を踏まえて明らかにした。
港合同の木下浩平執行委員が集会をまとめ、5・1メーデーと国鉄闘争全国運動の7・3~4全国集会への結集を訴えた。
集会後のデモは、事故を引き起こした民営化に怒りをたたきつけて闘われた。