青年労働者・学生座談会 団結し闘えば時代は動く
青年労働者・学生座談会
団結し闘えば時代は動く
出席者
洞口朋子さん(都政を革新する会、杉並区議会議員)
南沢香さん(高槻医療福祉労働組合・青年組合員)
赤嶺知晃さん(全学連・沖縄大学)
司会 石田真弓さん(全学連・東北大学)
ミャンマー民衆の決起に続こう
ますます深刻化する〈コロナ×大恐慌〉情勢のもと、社会の根底的変革を求める労働者民衆の革命的決起が若者を先頭に世界中で広がっている。この激動する時代をどのようにとらえ、いかに闘っていくか。都政を革新する会の杉並区議会議員・洞口朋子さん、高槻医療福祉労働組合の青年組合員・南沢香さん、全学連で活動する赤嶺知晃さん(沖縄大学)と石田真弓さん(東北大学)の4人に座談会という形で大いに語っていただいた。(編集局)
コロナ下で戦争も切迫
石田 新型コロナウイルス感染拡大の「第4波」が日本でも世界でも猛威を振るう中で、とうとう三度目の緊急事態宣言が出されました。それにもかかわらずオリンピックは強行されようとしていて、聖火リレーも続行されている。本当に日本中で怒りの声が広がっています。国軍がクーデターで権力を握ったミャンマーでは、治安部隊による民衆への虐殺が続き、これに抗議するデモが連日、在日ミャンマー人の若者を先頭に闘われています。まさに激動の時代ですが、みなさんは直近の情勢をどのように感じていますか。
洞口
一昨年来の香港の闘いも、昨年のアメリカ発のBLM運動もそうですが、この社会のあり方をひっくり返すために先頭をきって行動するのは、やっぱり若者ですよね。ミャンマーでは10代、20代の若者が命がけで軍政と闘っていて、日本の私たちがこれにどう応えるのかが本当に問われています。多くの在日ミャンマー人が指摘するように、日本の政府開発援助(ODA)やミャンマーに進出した日本企業の資金が国軍に流れています。国軍を背後で支える菅政権を、私たちの闘いで打倒しなければなりません。
昨年来のコロナ下での闘いも新しい段階に入りました。この1年半、政府は労働者人民の命を真剣に守ろうともせず、大資本家と一部政治家がボロもうけするためにコロナを利用してきました。日本の富裕層の上位50人の合計資産がこの1年で48%も増えて約27兆円になったそうです。その一方で圧倒的多数の民衆には失業・休業や解雇、賃下げなど徹底的に矛盾が押し付けられる。そして福島原発の汚染水の海洋放出を決定しながら、東京五輪・パラリンピックを強行しようとしている。コロナ下の1年半近くを経て、この国の支配階級は根っこから腐りきっているってことを、誰もが実感していると思います。
南沢 私の職場ではこの間、職員へのワクチンの接種が始まりました。ワクチンが特効薬のように言われるけど、そもそも変異株がどんどん出てくる中ではワクチンの有効性も不明だし、副反応の危険性がどのくらいあるのかの説明もなしに、前例のない「遺伝子ワクチン」の接種が医療現場でどんどん強制されるのはどう考えてもおかしい。厚生労働省の資料でも、4月7日までに6人の医療従事者がワクチン接種後20日以内に亡くなっているとあります。それなのに、声を上げるところがなければどんどん強制されていく状態です。うちの職場では、ワクチンの危険性を組合の機関紙で明らかにして、接種強制は絶対にさせないということを確約させました。その一方で、大阪では重症者の病床使用率が100%を超えて、重症化しても行き先が見当たらない状態です。それでもオリンピックはあくまでやろうとしている。そういう維新や自民党の正体が暴き出されて怒りの声が広がっています。この声を団結した闘いにしていくことが課題ですね。
赤嶺
沖縄でもコロナ病床使用率が100%になりました。米軍基地内の感染者数は数日遅れで新聞に公表されますが、具体的にどの基地から何人出ているかは非公表のままです。たくさんの人が感染リスクにさらされ、不安を感じながら過ごしている状態です。その一方で、コロナ下にもかかわらず米軍と自衛隊の共同訓練が増えています。特に最近実感するのは、米軍機の低空飛行訓練が急激に増えてきていることですね。中国との戦争を想定した島嶼(とうしょ)への上陸訓練とか、レーダーをかいくぐって作戦を行う訓練をしているのではないかと言われています。僕も本当に日常生活の中で戦争の切迫を感じます。こういう状況に対して、ツイッターで「#OHアラート」というハッシュタグをつけて、米軍機の飛行を目撃した人がその場でツイートして情報を共有するという運動が始まりました。市民がSNSを活用して米軍の動きを監視し、声を上げているんです。
南沢 コロナに乗じて戦争の準備がどんどん進んでいる。自粛してる場合じゃない。メーデーだって、今こそやらなあかんよね。
若い世代の意識が激変
石田
僕も首都圏で学生運動をやっていて、昨年来のコロナ禍を受けて若者の意識や行動が大きく変化していると感じます。みなさんの職場や地域ではどうですか?
南沢 コロナが始まった最初の頃は、大阪では「吉村知事のリーダーシップに期待する」という声も多かった。でも、補償もなく「自粛」だけを強制されるばかりで、結局感染を抑えることもできない中で、みんなの意見も変わりました。吉村が記者会見でイソジン出してきた時はもう「なんじゃこいつは!」って、うちの職場はみんな怒りました。あれでイソジンが売り切れて病院では長いこと処方できなくなった。情勢が進めば維新の正体なんかすぐ暴かれる。だからこそ、労働組合がしっかりした視点をもって訴え続けることが重要ですね。
それと、このコロナに対して病院の経営陣が何もできないことに驚きましたよね。例えば、発熱者の受け入れ方の具体的なマニュアルがいつまでたっても出されない。現場の声をこちらが突き付けてようやくマニュアル化された。管理職も機能してないし、経営陣への信頼も地に落ちました。トップダウンで下からの意見を聞き入れない仕組みが、感染が起きた時に対応できない体質をつくっているんです。そういうこともコロナですべて暴かれた感じですね。
洞口 政治や資本の一挙手一投足が、私たちの生活にかつてないほど直接影響してくるのがコロナ下の特徴ですよね。結局、政治家や経営者のやってることは矛盾のしわ寄せでしかないってことが、どんどん暴かれていると感じます。
南沢 組合で政治の話をすると、以前は「職場と関係あるの?」と言われたけど、コロナがあって、今では「職場も生活も政治と直結してるやん!」って、みんな感じてますよね。
赤嶺 コロナ下でビラまきや演説、デモなどをすることに対して、沖縄大学でも去年の初め頃には「危険だからやめてほしい」って反応があったけど、今では学生の反応も変わってきたと感じます。明らかに僕たちの訴えや活動への共感・支持が増えました。沖縄大学はコロナを理由にサークルの新歓行事を全部禁止しましたが、その一方で就職説明会だけはやって、学生が求める学費減免には応じない。そういう大学への怒りが学生の中に広がっています。
石田 今の10代や20代前半の世代と接していて思うのは、先の見通しが立たないことへの不満がすごいということ。展望を示せない政治や社会への怒りですよね。そして、このままじゃ未来も展望もないわけだからもう自分たちが行動するしかないって、すごくストレートな決起が始まっていることです。いわゆる「自己責任」論を押し付けられてきた世代だけど、コロナは明らかに自己責任じゃ解決できないし、こんな状況になったのはどう考えても個人のせいじゃない。今まで社会を席巻していた新自由主義的イデオロギーが、もう若い世代には通用しなくなっていると感じます。
医療現場でストを決行
石田 では最後に、この間の取り組みと今後の闘いに向けての抱負を聞かせてください。
南沢 私の所属する高槻医療福祉労組は、冬季一時金0・8カ月の超低額回答に対して、3月8日にストライキを闘いました。毎年一時金の低額回答が出るたびに退職者が出ているのに、経営はコロナ融資金も設備投資に回すといって一時金には1円も回さない。このまま現場が黙っていたら医療は守れない。直接には一時金でのストライキだけど、一番訴えたかったのはこの医療現場の惨状です。
うちの組合がストライキをやるのは2016年以来4回目です。最初は今よりも小規模な指名ストでしたが、ストを重ねるたびにどんどん活性化して、議論もすごく進んで、今年の団体交渉では今までにないほどたくさんの組合員が参加して経営を追及しました。それと、去年の夏に千葉の医療労働者が「医療は社会保障だ」と訴えてストに決起したことの影響も大きかった。やっぱり単なるモノ・カネじゃなく、今の医療・介護のあり方を問わないといけないと。動労千葉の人が「ストライキが労働者の意識を変える」と言ってたけど、本当にそうだと思います。たしかに闘うのは大変。でも仲間が増えるのは本当に楽しいし、闘ってみんなが解放的になっていくのを見ても感動するし、時代をつくってる感がすごくあります。これからも闘っていきたいと思います。
5・15沖縄闘争に全国から結集を!
洞口 杉並では、田中良区長のもとで区が基幹病院に財政補塡(ほてん)などを行いましたが、それは医療労働者を支援するためではまったくありませんでした。危機に陥った病院経営を助けることが主眼であり、ここでも現場労働者に矛盾がしわ寄せされています。一方でコロナ対策などの実務を担う区役所職員の4割が会計年度任用職員であり、その9割が女性です。私はどこまでも労働者の立場に立って声を上げていきたいと思います。そして、一昨年4月の区議会議員選挙で掲げた「若者の声を杉並から!」を実現していくためにがんばります。
赤嶺 僕は先日、米軍の新基地建設のための埋め立て工事が続く辺野古で、座り込みの闘いに参加しました。現地の闘いは不屈に生き生きと続いています。戦争が切迫する情勢の中で、沖縄の闘いも今、本当に正念場を迎えていると思います。全国のみなさん、ぜひ5・15沖縄闘争に結集してください!
石田 時代が大きく動き出した今こそ、青年労働者・学生が団結して立ち上がれば政治も社会も変えられる。そのことをあらためて確信しました。今日はありがとうございました。