狭山裁判 検察意見書に怒り 東京高裁要請行動
週刊『前進』04頁(3184号04面05)(2021/03/01)
狭山裁判
検察意見書に怒り
東京高裁要請行動
(写真 「大野裁判長は下山鑑定を調べろ!」。要請行動に先立つ街宣の最後にシュプレヒコール【2月22日 東京高裁前】)
1963年に埼玉県狭山市で起きた女子高校生誘拐殺人事件の犯人にでっち上げられた石川一雄さんは、1月で82歳になった。半世紀を超えて国家権力の差別犯罪を糾弾し、再審無罪へ不屈に闘っている。2月22日、全国水平同盟と部落解放東日本共闘会議は、石川さんと連帯して、狭山裁判の事実調べ・再審開始を求め東京高裁第4刑事部・大野勝則裁判長に対する3回目の要請行動に立った。
石川さんを無期懲役にした最重要証拠「被害者の万年筆」は、石川さんを逮捕した後、警察がねつ造して石川さん宅に置いた偽物だ。この権力犯罪を、万年筆のインク成分を分析して暴いたのが下山鑑定だ。色素分析に続いて元素を分析した下山第2鑑定は、被害者が事件当日まで使っていたインクを使い切って別のインクを入れたとしても被害者のインク成分であるクロム元素が検出されることを証明した。(証拠の万年筆のインクからはクロム元素が検出されなかった)
もはや実験による反証などできない。追い詰められた検察は、なんと万年筆のインク溜(だ)めを水洗いして別のインクを入れた(だからクロム元素が検出されなかった)と「推認」されるなどという意見書を出してきた。何を根拠にそんなことが言えるのか!
下山鑑定こそ再審を開く武器であることがますます鮮明になった。全国水平同盟杉並支部、動労千葉・中村仁書記次長をはじめとする要請団は、東京高裁に対し「下山鑑定を調べろ。鑑定人尋問を行え」「再審を行え」と強く迫った。全国水平同盟の各支部、動労水戸や東京各地区労組交流センターの要請文が次々と読み上げられ、対応した訟廷管理官を圧倒した。
検察意見書について杉並支部は、「誰がどこで万年筆を『水洗い』したというのか! 新たなでっち上げだ。隠蔽(いんぺい)、ねつ造——。菅政権も同じだ」と弾劾。そして「国家の本質を見て、多くの人が立ち上がっている」と権力犯罪への怒りが人々を行動へとかりたてていることを突きつけた。要請団は最後に、次の3者協議が行われる4月に再び要請に来ることを通告した。
総括の場では、検察意見書に対する怒りが噴出すると同時に、高裁を「追い詰めている」という手応えが口々に語られた。狭山第3次再審闘争勝利へ闘おう。