入管法改悪案を廃案へ 強制送還が長期収容解決か!

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週刊『前進』04頁(3184号04面01)(2021/03/01)


入管法改悪案を廃案へ
 強制送還が長期収容解決か!


 菅政権は2月19日、入管法改悪案(出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案)を閣議決定した。東京入管でコロナクラスター(2月18日時点で被収容者39人、職員6人計45人が陽性)の最中での暴挙だ。東京五輪強行策動と一体の外国人治安管理強化であり、五輪とともに粉砕あるのみだ。

 入管法改悪案の閣議決定をマスコミ各社は「入管施設外で生活容認」(読売新聞)、「送還まで施設外で生活/長期収容解消目指す」(毎日新聞)などと、入管法が良くなるかのような見出しで報じた。しかし、法務省の発表にだまされてはならない。

難民申請中も送還

 現行法では難民認定申請中は送還が停止される(送還停止効)。しかし、改悪案では、3回以上の難民申請者には例外を設け、送還を可能にするというのだ。これが最大の問題点だ。
 これは、退去強制令書の発付を受けて入管収容施設に捕らわれている外国人(昨年11月4日時点で433人)と仮放免者(未成年者、日本で生まれ育った子どもたちも含む)、約3千人を丸ごと一掃しようという攻撃だ。
 この約3千人の在日外国人のうち3分の2が難民申請中だ。難民認定率がわずか0・4%の日本で、働くことを禁止され、移動の自由もなく、健康保険もなく満足な医療も受けられない、加えて長期収容されてもなお帰国できない事情を抱えた人々だ。
 2020東京五輪に向けた国内治安管理の強化の一環として、非正規滞在の外国人への弾圧が強まった。入管収容施設からの仮放免が激減し、長期収容の基準とされた6カ月どころか2年、3年、それ以上の長期収容が激増。今では7年を超える人がいるほどだ。19年には抗議のハンガーストライキが全国の収容施設に広がり、長崎県大村入管センターでハンストをしたナイジェリア人男性が餓死するに至った。
 この事態に対策を迫られた法務省は、迫害から逃れてきた難民や日本にしか生活の基盤がないなどの事情を抱え、強制送還を拒む外国人に「送還忌避者」というレッテルを張り、「収容・送還に関する専門部会」で検討。その提言の結果が今回の改悪案だ。

送還忌避罪を創設

 退去強制を拒むことを罪とする「送還忌避罪」(仮称)という刑事罰創設が盛り込まれた。入管法と同時に閣議決定された少年法も罰則強化、コロナ特措法にも罰則追加など、罰則による締めつけは改憲・戦争攻撃そのものだ。
 日本の入管収容施設での長期収容問題は国際的非難の的だ。最近では昨年8月、被収容者からの報告を受けた国連人権理事会の恣意的拘禁作業部会が、日本の入管収容が国際法違反だと指摘、入管法を国際人権基準に則って見直すように日本政府に求めた。

「監理措置」の狙い

 これらの退去促進策に加え、「入管施設外での生活容認」として「監理措置」が打ち出された。当該の外国人を支援する親族や支援団体、弁護士などを入管が「監理人」に指定、最高300万円の保証金納付と監督・通報という重い義務を負わせ、「逃亡罪」には1年以下の懲役か20万円以下の罰金、またはその両方が科される。外国人と支援者の間にくさびを打とうとする卑劣な階級的分断策だ。支援者も共犯とされ、共謀罪となる可能性も大だ。
 この極悪の外国人弾圧法を労働者の怒りの決起で廃案に追い込もう。

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東京入管でクラスター
 今すぐ全外国人の解放を!

 東京入管でクラスターが発生した。2月15日に感染が発覚し、全員のPCR検査の結果、18日時点で男性ブロックの被収容者105人中39人が陽性と判明(女性ブロックの27人は陰性)。職員6人と合わせて計45人の感染が明らかとなった。恐れていたことが現実になった。
 22日、外登法・入管法と民族差別を撃つ全国実行委員会は、東京入管・福山宏局長に抗議申し入れを行った。応対した総務課職員は「保健所の指導のもと適切に対応している」と繰り返したが、すでに5人が頭痛、味覚障害などの症状で苦しみ、2人が入院したという。陽性と判明した被収容者が、職員の暴力的連行でけがをしている!
 被収容者への医療放棄が常態化している中、男性ブロックの105人中39人が感染するとは、非常事態だ。被収容者の命を守るため、全員解放は急務だ。

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