イタリアでゼネスト ドラギ政権打倒の闘いへ

週刊『前進』04頁(3184号02面05)(2021/03/01)


イタリアでゼネスト
 ドラギ政権打倒の闘いへ

(写真 2月19日に行われたローマでの反政府デモ。横断幕は「労働者は団結して資本と闘おう」)

 コロナ×大恐慌情勢のただ中、ヨーロッパの2021年はストライキ・デモ・集会の爆発で始まった。先頭に立っているのは労働者だ。イタリアでは1月29日のゼネストに続き、2月19日にドラギ新内閣打倒の闘いがローマをはじめ各都市で禁止命令を打ち破り行われた。コンテ前政権(民主党と「イタリア万歳」の中道左派・右派連立政権)がコロナ対策をめぐる対立で崩壊し、ECB(欧州中央銀行)前総裁ドラギが経団連と体制内全国労組の推薦で首相として登場したのだ。ドラギは2011〜19年のECB総裁在任中、ギリシャへの反労働者的強硬策などEU(欧州連合)の緊縮政策を主導した。
 19日の反政府デモの統一行動を呼びかけた独立労組SI―Cobas(職場労組連合、組合員50万人)は、ドラギを「労働者階級の生活を破壊し、権利を奪った労働者の敵」と弾劾している。
 1月29日のゼネストは、組合破壊と賃下げに反対し、職場のコロナ対策を要求するものだ。主催者の予想をはるかに上回る規模と質で貫徹された。

全産別・全階層が呼応して決起

 SI―Cobasの拠点、国際的物流センターTNT―FedExの労働者が数カ月にわたる不当解雇撤回闘争の中で数都市の支部でゼネストに合流したのを軸に、ミラノ、トリノ、ピアチェンツァ、ボローニャ、ローマ、ナポリなどの交通労組、公共サービス労組、金属労組、郵便労組、教育労働者組合などが決起した。数千人の学生が労働者の闘いに呼応して街頭デモに出、非正規職労働者、失業者、女性、移民労働者など広範な層が参加した。
 主催者のSI―Cobasはこのゼネストを「現在の医療・社会・経済の全面にわたる荒廃にさらされてきた人々にとって、一つの転換点になった」と総括している。
 SI―Cobasはまた、昨年9月27日の「戦闘的労働組合全国集会」が新自由主義との新たな闘いの第一歩だと確認した上で、「階級の内部に浸透していく道は明らかになったが、労働者階級の大多数は、まだ展望を奪われ、敵の攻撃にさらされている」として、「今後ますます正規職・非正規職の分断、民族差別、女性差別(首切りが女性労働者に集中)の攻撃と闘い、労働者階級の団結を国境を超えて強めよう」と訴えている。
 さらに、アメリカのBLM(黒人の命は大切だ)運動、インドの貧農のデモ、ポーランドの中絶禁止法反対の女性の決起、レバノン・チュニジアをはじめ中東・アフリカ人民の反政府抗議運動などとの連帯の重要性が確認され、同時に「問題をひとりで抱え込まず、諦めず、恐怖心を投げ捨て、闘いに合流しよう」と呼びかけている。
 次の全国ストの予定は3月8日と発表された。

12日間のストで解雇撤回の勝利

 TNT―FedEx労働者はゼネスト後もストライキを続け、機動隊の襲撃、スト破りなどをはね返してきた。2月8日、ついに会社側に不当解雇を撤回させ、主戦場ピアチェンツァでの倉庫占拠を解除し、12日間のストから職場に復帰した。しかしTNT―FedExは全ヨーロッパで6千人の整理解雇を発表している。闘争はベルギーなどに拡大する可能性がある。なお、ピアチェンツァでは2月19日、日通の倉庫でストライキが始まった。
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