術後医療体制はあったのか 星野国賠 返答拒否くり返す国を追及
週刊『前進』04頁(3182号04面01)(2021/02/15)
術後医療体制はあったのか
星野国賠 返答拒否くり返す国を追及
(写真 星野さん虐殺を弾劾し法務省デモ【2月8日 霞が関】)
2月8日午前、東京地裁(民事第14部、伊藤正晴裁判長)で、星野国賠第4回裁判が開かれた。獄中44年、無実の星野文昭さんの獄死の責任を問う裁判だ。星野さんは巨大な肝臓がんの切除手術後の2019年5月30日、無念の死を遂げた。被告・国は、原告の「求釈明」4項目のうち二つの項目に対して、争点との関連が不明確などと言って答えなかった。
第一は、徳島刑務所が19年3月1日のエコー検査で星野さんの肝臓に腫瘤(しゅりゅう)を発見しながら、4月18日の東日本成人矯正医療センターへの移送まで何もしなかったという原告の弾劾に対し、国は「直ちに検査および移送手続きの準備を行った」と主張してきた。しかし、その証拠は外部の病院に精査を求めた3月13日付の「診療情報提供書」だけだ。3月1日から13日まで2週間、何をしたというのか。
第二は、術後星野文昭さんを入れた「回復室」に「専従の医師や看護師はいたのか」という追及に具体的に答えず、緊急事態の際、執刀医らを呼び戻すオンコール体制があったのかという追及にも「医師13人が官舎に居住しており、非常招集が可能であった」とふざけた回答をしてきた。
弁護団は再度「求釈明書」を提出して国に迫ったが、国は「答えない」と繰り返すばかりだ。この卑劣で不誠実な態度に、弁護団は「あくまでも答えないと言うのなら、無いということを前提に今後の訴訟を進める」と厳しく国を追い詰めた。それを裁判所も認めたのである。
この後、日比谷図書文化館で報告集会が開かれた。弁護団から法廷での様子と、この日新たに提出した「請求の趣旨拡張申立書」の説明を受けた。
徳島刑務所は、19年3月1日のエコー検査で腫瘤が見つかった事実を星野さんに通知せず、さらに当時、星野さんの仮釈放審理中だった四国地方更生保護委員会にも通知しなかった。この2点を星野さんが受けた精神的被害として請求の趣旨に加えたのだ。
弁護団は「この裁判で事実の歪曲、矮小(わいしょう)化、無視、隠蔽(いんぺい)を追及し、星野さんの死の真相を明らかにしていく」と決意を語った。原告の星野暁子さんは、「文昭は殺されたのです。その責任を国に取らせることを通して、受刑者を人間扱いしなくて良いという社会のあり方を変えましょう」と訴えた。