ミャンマーで軍事クーデター 全国数十万人が抗議デモ

週刊『前進』04頁(3182号03面02)(2021/02/15)


ミャンマーで軍事クーデター
 全国数十万人が抗議デモ

(写真 SNSで呼びかけられたストライキに決起した看護師や公務員が街頭へ。デモは全国で10万人に【2月8日 ヤンゴン】)

(写真 「軍事政権のために働けない」と全国約70の医療機関で赤いリボンを着けてストライキに入ったミャンマーの医療労働者)


 2月1日未明、ミャンマー(ビルマ)でミンアウンフライン国軍最高司令官が軍事クーデターを起こし、権力を掌握。与党・国民民主連盟(NLD)のアウンサンスーチー国家顧問、ウィンミン大統領らを始めNLD国会議員や活動家など約150人を拘束し、電話やインターネット、フェイスブック、ツイッターなどを遮断した。
 しかし、労働者民衆の反撃は瞬く間に広がった。3日には医療労働者が「世界の医療労働者に訴える」という声明(別掲)を発し抗議ストライキに突入、連日の抗議デモは続々と全土に拡大し、7日にはヤンゴンで学生ら数万人が決起、9日には抗議デモは数十万人に膨れ上がった。
 労働者のストライキも公務員や大学教授などに広がり、中国が投資しているサガイン地域の銅鉱山労働者も反クーデターのストライキに立ち上がった。

訴追を恐れる司令官

 昨年11月の総選挙でNLDは改選議席の8割を超す396議席を獲得した。この結果、憲法で国会議員の4分の1が軍人に割り当てられている中、単独過半数を制した。これに比して国軍系の最大野党・連邦団結発展党(USDP)は33議席に減らす惨敗だった。ミンアウンフライン司令官は選挙直後から「不正選挙があった」と騒ぎ立て、クーデターも「公正な選挙を行うため」としている。
 だがこんなことは誰も信じない。ミンアウンフライン司令官こそ、17年に強行されたイスラム教徒ロヒンギャに対する「掃討作戦」の主犯だ。さらに65歳退官を直前に控え、巨額の不正蓄財などへの退官後の訴追を恐れて凶行したクーデターだ。
 今回のクーデターに中国がどう関与したかにかかわらず、ラカイン州から中国・雲南省への石油パイプラインでインド洋から直接石油を確保するなど、中国にとってミャンマーは手放せない要衝だ。ミャンマーの事態は、米中を始めとする大国間争闘戦のさらなる激化に直結している。
 一方、日本企業も昨年12月現在、433社がミャンマーに進出しており、日本政府が供与した円借款は1千億円近くに上っている。その日本企業でも労働者が職場放棄のストライキに立ち上がっている。

「真の民主化」実現へ

 今回のクーデターを契機に燃え広がる怒りは、コロナ禍に行き着いた新自由主義への労働者人民の根底的な怒りを解き放っている。
 日本でも在日ビルマ人が数千人規模で抗議行動に立ち上がっている。ある在日ビルマ人は「クーデターは、巣から飛び立った鳥の羽をもぐような暴挙だ。しかし負けない。今始まったのは、我々が目指している真の民主化への闘いだ」と力強く語った。NLD政権が実現できなかった「真の民主化」へ、ミャンマーからアジアを揺るがす革命への胎動が始まった。

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世界の医療労働者に訴えます 2月3日 市民不服従運動

 私たちミャンマーの医療労働者は、新型コロナパンデミックの矢面に立ち、限られた医療資源や設備の中でも患者たちに必要な医療を提供してきました。
 現在、ミャンマー軍部はクーデターで軍事政権を樹立しました。彼らは、パンデミックの中で医療的・経済的・社会的困難に直面し保護を求めている住民よりも、彼ら自身の利害を優先しています。
 いかなる政治的正当性も持たない軍事政権を、私たちの政府として認めることはできません。私たちは、正当性なき軍事政権によるいかなる命令にも従うことを拒否します。彼らは、私たちの貧しい患者たちのことを顧みない姿勢をあらわにしています。
 私たちは、アウンサンスーチー国家顧問とウィンミン大統領の率いる、民主的に選出された私たちの政府の指導にのみ従います。
 国際社会・国際組織は現在、明らかに無力化しています。
 私たちの身体的・感情的・精神的困難さを理解してくださる全世界の医療労働者の皆さんに直接訴えます。私たちと連帯し、このニュースを拡散してください。軍事政権を認めないよう、自国の政府に圧力をかけてください。

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