辺野古に陸自常駐計画 対中戦争想定し極秘合意
週刊『前進』04頁(3181号01面03)(2021/02/08)
辺野古に陸自常駐計画
対中戦争想定し極秘合意
(写真 鹿児島県臥蛇島【がじゃじま】での日米共同演習に臨む陸上自衛隊水陸機動団【2020年11月1日】)
陸上自衛隊と米海兵隊が、辺野古新基地に「日本版海兵隊」こと陸自水陸機動団を常駐させることを、2015年の時点で極秘に合意していたことが発覚した。
日米両政府は1996年のSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意以来、「普天間飛行場の代替施設」「沖縄の負担軽減のため」と称して辺野古新基地建設を強行してきたが、実際には「代替施設」ではなく、中国や北朝鮮との戦争を想定したまったく新たな恒久的巨大基地の建設が狙われていることは当初から明らかだった。加えて2015年以来、辺野古が米海兵隊だけでなく陸自も常駐する基地として極秘に計画されていた事実は、「普天間の代替施設」という日米政府の説明の前提を完全に覆すものだ。
報道を受け、日本政府は「そのような計画は有していない」(岸信夫防衛相)と火消しに必死だが、陸自幹部は沖縄地元紙の取材に対し、辺野古新基地と隣接するキャンプ・シュワブは「陸海空の輸送手段を駆使し、水陸両用作戦を展開する機動団には『最適』」とし、米海兵隊の国外移転が進めば「将来、辺野古は実質的に陸自の基地になる」と本音を隠さない(1月25日付沖縄タイムス)。
1月28日には、米海兵隊と陸上自衛隊による沖縄・金武町の米軍ブルービーチ訓練場での共同訓練が始まり、2月1日から水陸機動団も加わって本格的な着上陸訓練を開始した。菅政権が「辺野古への自衛隊常駐計画はない」と言う一方で、コロナ感染拡大の懸念から自粛を求めた沖縄県の意向をも踏みにじる形で、米海兵隊と水陸機動団の一体運用に向けた訓練が平然と強行されているのだ。
米海兵隊を補完し自衛隊が共同作戦
今回発覚した極秘合意の背景には、中国との戦争を想定した米軍・自衛隊の再編がある。米海兵隊が2017年から進める新たな作戦構想「遠征前方基地作戦(EABO)」では、対中国戦争において、海兵隊が複数の小部隊に分散して離島などを占拠し、攻撃や給油の拠点を設けることが想定されている。この間、鹿児島県や沖縄県の離島などで頻繁に行われている海兵隊の訓練は、すべてこの作戦構想を具体化するためのものだ。その一方で米海兵隊のバーガー総司令官は、海兵隊と自衛隊は「完全に補完しあう関係だ」と強調し、南西諸島での自衛隊との合同演習にも意欲を見せる。
また米統合参謀本部は、米軍の戦略の重心を核攻撃も含めたミサイル、空爆、ドローン作戦などに移しつつ、これまで海兵隊が担ってきた地上戦を極力日本などの同盟国に負担させることを追求している。在沖海兵隊のグアム移転を含む米軍再編もこの考えに基づいており、その穴埋めを陸自水陸機動団が担うことが想定されているのだ。
陸自の辺野古常駐の極秘合意がなされた2015年といえば、集団的自衛権も含むあらゆる武力行使を合法化する安保戦争法が国会で審議されていた時だ。これと一体で、米中戦争に自衛隊を参戦させ、釣魚島(尖閣諸島)、沖縄本島、南西諸島を戦場にする戦争計画が極秘裏に進められていたのである。
新基地建設阻止へ全国に闘争拡大を
第2次大戦末期に本土防衛のための「捨て石」にされ、凄惨(せいさん)な地上戦で住民の4人に1人が命を奪われた沖縄では、「軍隊は住民を守らない」という血の教訓が今も人々の中に息づいている。1972年沖縄「返還」後、同年10月に最初に自衛隊が配備された時は、県民大会に結集した1万2千人が駐屯地に押し寄せて抗議した。この間の米軍・自衛隊が一体となった戦争策動、そして今回の極秘合意の発覚も契機として、沖縄の積もりに積もった怒りは50年前の全島ゼネスト以来の規模で爆発しようとしている。沖縄の闘いと連帯し、全国で辺野古新基地建設阻止・菅政権打倒へ攻め上ろう。