JRの大合理化粉砕しよう 2・14国鉄集会で闘いの陣形を
JRの大合理化粉砕しよう
2・14国鉄集会で闘いの陣形を
JRはコロナで乗客が激減し深刻な危機にある。国鉄分割・民営化は大破産した。だからこそJRは、資本として生き残るために、3月ダイヤ改定を機に分割・民営化以来の大合理化に突き進もうとしている。
国の統制下で廃線が加速
コロナ以前から、JR北海道やJR四国は、鉄道網をもはや維持できないところに立たされていた。
JR北海道はコロナ前から全線区が赤字で、2019年度の連結経常損失は135億円、22年度中に資金ショートすると予想されていた。コロナはその傷口をさらにえぐった。20年度のJR北海道の営業収入は、19年度と比べ400億円も減少する見込みだ。
18年度以来2年連続で連結経常赤字を出したJR四国は、昨年3月、国土交通省から経営改善を命じられた。だがコロナ下で経営改善策など立てようがなく、JR四国の20年度4〜9月期の連結決算は経常損失63億円の大赤字に陥った。
これは北海道や四国から鉄道が消滅してもおかしくない事態だ。そのため国土交通省は昨年末、JR北海道、JR四国、JR貨物への財政支援を拡大すると発表した(表上参照)。
財政支援は、設備投資への助成や青函トンネル・本四連絡橋の更新費用の助成のほか、鉄道運輸機構に対するJR北海道やJR四国の債務を、鉄道運輸機構によるJRへの出資に転換するという形でも行われる。JRの債務がJRの株式に変わるのだ。JRの株式を民間に放出することが国鉄分割・民営化の完成形態とされてきたことからすれば、鉄道運輸機構によるJR株の保有数を増やす今回の方策は、分割・民営化の枠組みを崩すような意味を持つ。そこまでJR体制は追い詰められたのだ。
だが、財政支援が増やされても、コロナによる減収分さえ補えない。コロナ前からの危機は解消されず、結局JRは廃線に突き進まざるを得ない。
JR北海道は昨年秋、日高線の大部分を公式に廃止し、今は留萌線と根室線の富良野―新得間の廃止を地元自治体にのませようと必死になっている。JR北海道、JR四国、JR貨物への国の関与と統制が強まり、経営改善の圧力下、今まで以上に廃線の動きが速まろうとしているのだ。
一時帰休・休業で雇用破壊
危機にあるのは東日本、東海、西日本の本州JR3社も同じだ。JRは大規模なコストカットを叫び、矛盾をひたすら労働者に押し付けて延命しようとしている(表下参照)。
JR東海は駅員や運転士、車掌、検修職などを対象に、1日当たり約400人を1月25日から2月28日まで一時帰休させると発表した。JR東海が一時帰休を実施するのはこれが初めてだ。JR西日本も、病院以外の全労働者を対象に、1日当たり約千人を2月いっぱい一時帰休させる方針を打ち出した。JR西日本の一時帰休は、昨年5〜6月に続き2回目になる。
政府がGo Toキャンペーンを一時停止して以降、JR各社は新幹線や特急の臨時列車の運休を決めた。終電の繰り上げも3月ダイヤ改定を待たず、すでに実施に移している。これによる業務の減少を口実に、雇用を意図的に脅かす攻撃に出てきたのだ。
JR東日本は昨年秋、就業規則を改悪し、1日から無期限まで、労働者をいくらでも休業させることのできる制度を導入した。JR東海やJR西日本の一時帰休はJR連合系の御用労組との協定という形で行われるが、「労組なき社会」をつくろうとしているJR東日本の場合、労資協定も結ばず、勤務指定で休業を発動できる。コロナへの対応が目的ではなく、コロナに便乗した究極の雇用柔軟化がその狙いだ。
行きは運転士、帰りは車掌
3月ダイヤ改定を前にJR東日本は、各支社段階で突然、「乗務主務、乗務主任、乗務指導係、乗務係については......必要な教育を行った上で、順次、担当業務間の相互運用を行う」と提案してきた。「担当業務間の相互運用」とは「行きは運転士で帰りは車掌」のような業務指定のことだ。昨年4月、JR東日本は運転士と車掌の職名を廃止し乗務係という職名に統一した。今度はその業務内容も統一しようというのだ。
その先にあるのは自動運転化だ。JR九州はJR他社に先がけ、乗客を乗せた営業列車を使った自動運転実験を昨年末に強行した。
JR東日本では19年4月、支社勤務の管理職がデスクワークの傍ら運転にも携わる制度が導入された。それがさらに拡大される。制度導入時は、その時点以降に管理職に登用された者だけが運転業務に就くとされていたが、その制限を取り払う。つまり運転士の職を離れてかなりの年月を経た管理職も、列車を運転することになる。また、管理職が乗務するのは短時間行路とされていたが、その制限もなくす。安全を無視した片手間運転の拡大だ。
3月ダイヤ改定で、JR東日本は水戸線、内房線、外房線、鹿島線にワンマン運転を新たに導入する。水戸線は5両編成列車がワンマン化される。秋田県の男鹿線でも5両編成の列車がワンマン化される。
災害や事故時の対応は運転士一人ではできない。ワンマン化は安全の破壊だ。それはまた公共交通を損ない、地域を衰退させる。駅も次々に無人化される中、障害者を先頭に「移動の権利を奪うJR」への激しい怒りの声が上がっている。
他方でJR東日本は、駅ビル運営子会社への駅業務の丸ごと委託も進めている。経営計画「変革2027」で掲げた鉄道事業からの脱却と関連事業からの収入拡大を、どんなに矛盾があろうと強行するということだ。こうして鉄道業務の外注化を推進し、それを手段に全労働者を非正規職に変えようとしているのだ。
この攻撃に立ち向かう一切の基盤は、階級的労働運動を復権することにある。その闘争陣形を2・14国鉄集会で築こう。