改憲を阻み続けた国鉄闘争 労働組合再生の2・14集会へ

週刊『前進』04頁(3179号02面01)(2021/01/25)


改憲を阻み続けた国鉄闘争
 労働組合再生の2・14集会へ


 国鉄闘争全国運動は2月14日の国鉄集会を呼びかけている。国鉄分割・民営化による労働者の解雇から34年目のこの集会は、国鉄1047名解雇撤回と、労働運動の変革をテーマに開かれる。コロナで医療現場に矛盾が集中し、大失業攻撃が労働者を襲う中で、闘う労働運動をよみがえらせることは差し迫った課題だ。その実現のために何が必要なのかを明らかにする場が、2・14国鉄集会だ。

労働運動の存亡をかけて

 日本の労働運動は今、深刻な危機に直面している。コロナ下でほとんどの労働組合は活動を「自粛」し、機関会議さえまともに開けない。コロナによって大恐慌が加速され、企業業績が急速に悪化する中で、連合傘下の大企業労組は、資本の手先へとさらに変質を深めている。
 全トヨタ労働組合連合会は21春闘でベースアップの統一要求はしないと決定した。トヨタ労組が加入する自動車総連も同様の方針を決め、傘下労組もこれに従っている。トヨタ労組は昨年秋、人事評価だけで定期昇給額を決めるという資本の提案を受け入れた。人事評価で賃金が決まるのなら、賃金交渉もできなくなる。まさに春闘の解体だ。連合内の大企業労組は、御用労働組合としての存立基盤も、自ら掘り崩してしまったのだ。
 他方で、闘う労働組合に対しては大弾圧が襲いかかっている。全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部がその矢面に立っている。関生支部は必死に闘い、反転攻勢の扉をこじ開けたが、昨年10月8日に大阪地裁、12月17日に京都地裁で出された判決は、正当な労働組合活動を有罪と決めつける許しがたいものだった。関生支部をつぶそうとする国家権力の攻撃は今も激しく続いている。
 JRでは、18年2月以来、首相官邸の指示のもと、国鉄分割・民営化を推進したJR東労組さえ解体する攻撃がかけられた。これによりJR東日本では労組非加入の労働者が7割を超えた。交通運輸産業の大企業であり、国鉄労働運動の伝統を引くJRで、こうした事態が起きているのはただならないことだ。
 JR東日本は、御用労組さえ必要としない労働者支配のモデルをつくろうとしている。36協定の締結も労働条件の切り下げも、資本が任命する「職場代表」との「合意」でいくらでもできるというのが、JR東日本の考え方だ。
 戦後労働運動の解体は、1987年の国鉄分割・民営化、2010年の国労本部による1047名闘争の政治和解という大きな節目を伴って進んできた。この攻撃は第三の節目を迎えている。労働運動の存亡をめぐり、国鉄分割・民営化と同様の決戦に入ったのだ。
 大量首切りや大幅賃下げ、労働者をモノのように扱って出向・転籍を強いる攻撃、「個人事業主」化による究極の雇用破壊が横行する中で、労働者は資本と闘う労働組合の必要性を痛感している。御用労組の自壊や、御用労組もいらないという資本の施策は、至る所で労働者支配の破綻点をつくり出している。これを突いて闘えば、階級的労働運動を復権させることはできる。満ちあふれているその条件を現実に転化することが、まさに今の課題だ。

JRは今も攻防の最焦点

 1980年代の国鉄分割・民営化は、労組をつぶして労働者の抵抗を打ち砕き、改憲・戦争に進むための攻撃だった。
 当時の首相の中曽根康弘は、「(国鉄分割・民営化をはじめとする)行政改革で大掃除をして、お座敷をきれいにして、そして立派な憲法を安置する」と言い放った。首相退任後には、労働組合のナショナルセンターだった総評(日本労働組合総評議会)と、それに支持された社会党を解体することを明確に意識して、国鉄を分割・民営化したと述べている。
 中曽根は国鉄分割・民営化を戦争のできる国への「国家改造」と位置づけた。国鉄はその重大な攻撃の焦点だった。JRも同じ位置にあり続けている。
 「世界」12月号でジャーナリストの斎藤貴男氏は、安倍政権による14年の集団的自衛権行使容認の閣議決定と15年の安保・戦争法の制定は、JR東海名誉会長・葛西敬之のシナリオで行われたと指摘している。
 それによれば、葛西は「日本経済調査協議会」専門委員会の委員長として「憲法問題を解く」という報告書をまとめた。そこで葛西は、「内閣総理大臣はかなりの程度オールマイティで、立法・司法・行政をコントロールし、みずからの望む方向に政治を指導することが、原理上は可能」「日本の総理大臣は......米国の大統領よりはるかに強力な権限を持っている」として、「集団的自衛権は憲法上、行使できない」という見解を取り続けた内閣法制局長官の首をすげかえることを主張した。安倍はそれを実行し、安保・戦争法への道が開かれた。
 分割・民営化の実行者だった葛西は、中曽根の改憲の野望も受け継ぎ、安倍の指南役になってきた。だが、安倍は労働者人民の怒りに包囲され、改憲を果たせずに政権を投げ出した。

葛西の悪行を追及しぬく

 国鉄分割・民営化に対して動労千葉は85年11月と86年2月の2波のストライキで立ち向かった。動労千葉は団結を維持したまま87年4月に発足したJRになだれ込んだ。JRの内部に反撃の拠点が築かれた。
 動労千葉組合員の解雇は、このストライキへの報復として行われた。組合員をJRから排除するために作られた不採用基準は、「違法な争議行為」で6カ月以上または2回以上の停職処分を受けた者はJR採用候補者名簿に登載しないとした。
 この基準は、分割・民営化直前の87年2月、国鉄職員局次長だった葛西が、JR設立委員長の斎藤英四郎(当時、経団連会長)と直談判して決められた。この基準により、当初は名簿に載っていた組合員の名前が削り落とされた。
 動労千葉--動労総連合は、隠されていたこの事実を暴き、不当労働行為の責任がJRにあることを突き付けて、1047名解雇撤回闘争を闘いぬいている。葛西の悪行をとらえて放さない闘いの持続的展開が、中曽根から安倍に至る改憲の野望を阻み続けたのだ。
 解雇撤回判決を求める東京地裁あての署名は、この闘いの絶好の武器になる。
 安倍を継承した菅は、感染防止のためではなく人民を強権的に支配するために、新型コロナウイルス対策特別措置法、感染症法、検疫法を改悪して、改憲に突き進もうとしている。
 この攻撃も、労働組合の解体なしには成り立たない。これに国鉄闘争は全蓄積・全経験をかけて立ちはだかっている。
 国鉄分割・民営化は大破産した。コロナ前から経営破綻していたJR北海道、JR四国、JR九州、JR貨物だけでなく、JR東日本、JR東海、JR西日本も乗客が激減して大赤字に陥った。その矛盾をすべて労働者に押し付けてJRは生き延びようとしている。
 葛西を先頭とするJR東海の経営陣は、地域を破壊するリニア建設に巨費を投じる一方で、労働者を一時帰休させると発表した。
 JR東日本は就業規則を改悪し、労働者にいくらでも休業を命じることができるようにした。それは労資合意がなくても、資本の思い通りに発動できる。
 JRは3月ダイヤ改定で、分割・民営化以来の大合理化に突き進もうとしている。地域住民や利用者も切り捨ててワンマン運転を拡大し、駅の無人化もさらに進める。
 これとの攻防は、労働組合解体攻撃の焦点にあるJR職場で労働組合をよみがえらせる闘いだ。動労千葉はJR本体とその関連会社での本格的な組織拡大に向けて、決戦態勢を構えた。
 これらの攻防には、改憲・戦争阻止の展望もかかっている。2・14国鉄集会に結集し、階級的労働運動の復権へ踏み出そう。

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国鉄1047名解雇撤回!
労働運動の変革をめざして
不当解雇から34年
2・14国鉄集会
 2月14日(日)午後1時30分開始
 東京・四谷区民ホール
 呼びかけ/国鉄闘争全国運動

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