特措法改悪に絶対反対 罰則導入・強権支配を許すな 労働組合の力で反撃しよう

週刊『前進』04頁(3179号01面01)(2021/01/25)


特措法改悪に絶対反対
 罰則導入・強権支配を許すな
 労働組合の力で反撃しよう


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 爆発的なコロナ感染拡大のなかでも大資本の利益を最優先し、労働者民衆の命を脅かす菅への怒りが社会に渦巻いている。国会開会日の18日には改憲・戦争阻止!大行進の呼びかけで国会行動が行われた(上に記事)。菅は今国会で新型コロナ特別措置法と感染症法、国民投票法、入管法などの大改悪やデジタル改革関連法などの制定をもくろんでいる。すべてが労働者民衆の命と生活、国家のあり方に直結する重大な攻撃だ。労働組合が怒りの先頭に立ち菅政権を倒そう。

怒り爆発に脅える菅

 コロナによる国内の死者は5千人に迫り、各地の医療機関で次々とクラスターが発生している。病床も人工呼吸器も不足するなかで、現場からは「命の選別」=トリアージが事実上始まっていることへの怒りの声が上がっている。また、コロナ関連の解雇者は厚生労働省の発表でも8万人を超え、労働者とその家族が文字通り生存の危機にさらされている。
 こうした状況下で菅は労働者民衆の激しい怒りに直撃され、内閣支持率は下がり続けている。追いつめられた菅が「感染対策」として打ち出したのが、新型コロナ特措法と感染症法の改悪による罰則の導入だ。
 これにより、時短要請に応じない飲食店に過料を科すことに加え、入院勧告を拒否したコロナ感染者には刑事罰を適用し「1年以下の懲役か100万円以下の罰金」を科すとしている。
 利権のための「Go Toキャンペーン」で感染を拡大させ、検査・入院がしたくてもできない状況をつくりだし放置してきたのは菅ではないか! 医療体制の拡充や労働者・中小事業者への補償もまともに行わず、強権を振りかざして一切の矛盾を労働者民衆に暴力的に押し付ける。こんな政府に未来はない。菅を一刻も早く打ち倒してこそ、労働者民衆の命と生活を守ることができる。
 〈コロナ×大恐慌〉情勢下で旧来の支配体制は完全に崩壊し、時代は大きな転換点を迎えている。今こそ社会を動かす労働者の怒りを一つに立ち上がろう。

都立病院独法化も五輪も即時中止を

 日本の人口1千人あたりの病床数は経済協力開発機構(OECD)で最多の13床(2019年)で、欧米に比べて感染者・重症者数がはるかに少ない。それなのに、通常医療も含めた医療崩壊が進行しているのはなぜか。新自由主義のもとで社会保障としての医療が解体され、金もうけの手段とされてきたからだ。
 コロナ患者を受け入れた病院のほとんどが公立・公的病院で、国内の医療機関の約7割を占める民間病院では17%にとどまる。感染防御のためには、約2倍の人員や予算が必要になることが大きな理由だ。経営を優先したならば、命を守ることは絶対にできない。
 コロナ病床不足が深刻化するなか、東京都知事・小池は1月13日に都立・公社3病院をコロナ専門病院とする方針を明らかにしたが、これらを含めた14病院の独立行政法人化はあくまで推進しようとしている。これほどの矛盾はない。
 医療を社会保障として取り戻すことと、民営化・独法化による大合理化との闘いを一体で進めよう。今こそ、反合理化・運転保安闘争路線で闘い抜いてきた動労千葉労働運動の蓄積を生かす時だ。医療福祉、自治体をはじめ全産別の労働者と地域住民の力を結集し、都立病院独法化阻止闘争を、東京のど真ん中から階級的労働運動を復権させる闘いにしよう。
 8割超の人々が東京オリンピックの中止・延期を求めているにもかかわらず、「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証しとして」あくまで開催を強行しようとする菅への怒りは高まっている。利権にまみれ、国家主義をあおり立てる五輪を今すぐ中止しろ! すべての関連予算をコロナ感染対策、休業補償、生活保障に回せ! 広大な選手村を、コロナ患者の命を守るために開放しろ!

戦争体制構築狙うデジタル関連法案

 21年度予算案では、防衛費が過去最高の5兆422億円に達する。この大軍拡予算案を粉砕しよう。
 また、今国会における重大な攻防点の一つが、デジタル改革関連法の制定である。政府は「デジタル庁」の創設を柱とする5本の新法案と、個人情報保護法など約60本の改悪案を束ねた一括法案からなる関連6法案を今国会へ提出する予定だ。これは大合理化攻撃であると同時に、コロナに乗じて戦後の地方自治を根本から破壊する戦争体制づくりの一環としてある。
 政府はまた、マイナンバーを利用して新型コロナのワクチン接種を行うほか、医師・看護師の住所や資格情報を一元的に把握・管理することも画策している。
 さらに、今国会で刑事罰創設を柱とする入管法の大幅改悪がもくろまれていることも絶対に許してはならない。日本の労働者階級自身の課題として、入管法改悪阻止・入管体制粉砕へ闘いを強めよう。

立ち上がる米労働者

 極右のトランプ支持者らによる1月6日の米連邦議会議事堂襲撃を受け、20日のバイデン就任式は全土で厳戒態勢が敷かれるなかで行われた。帝国主義支配の崩壊は、戦後世界の基軸国アメリカにおいて最も激しい形で突き出されている。
 襲撃事件を受けて、コロナ禍のなかで自らの課題としてBLM運動に取り組んできた米ロサンゼルス統一教組(UTLA)、国際港湾倉庫労組(ILWU)は直ちに声明を発表した。
 UTLAの声明は、襲撃事件を引き起こしたトランプの罷免を求めるとともに「暴力の根源である構造的な人種差別と白人至上主義......は、政府、そして経済・教育・警察制度において衰えることなく成長している」と警鐘を鳴らす。そして「このクーデターの企てを糾弾する数百万人の人々とともに、今後、反人種差別を説く努力を倍加し、​​黒人などの有色人種の人々を教育課程の中心に位置づけ、われわれの生徒たちにより公正な世界をもたらすための道を切り開くことを約束する」と結んでいる。
 「差別はボス(経営者)の武器」と喝破して人種差別・分断と闘ってきたILWUも声明で、「ILWUは、『一人の痛みはみんなの痛み』の創立スローガンを高く掲げていく義務がある。わが組合は常に社会的・経済的正義そして人種差別と対決する正義のための闘いの最前線にある」と宣言している。

さまざまな業種で続々と労組が誕生

 アメリカでは現在、こうした階級的労働組合の闘いを柱に、さまざまな職種で次々と労組が結成され闘いが始まっている。グーグルでは親会社も含めた労働者200人超が、数年来の闘いの上に労働組合を結成した。正規職・非正規職を問わず、労働者が団結して声を上げようと訴えている。
 労組委員長らは米紙ニューヨーク・タイムズに「われわれがグーグルをつくった。これはわれわれが働きたい会社ではない」と題して寄稿。同社が利益を最優先して各国の抑圧的な政府と協調したり、国防総省の無人攻撃機プロジェクトに人工知能(AI)技術を提供(のちに労働者の署名活動で打ち切られた)したりしてきたことを弾劾した。
 さらに、AIの人種的バイアスを指摘した黒人研究者が解雇された事件に触れ、グループ内の非正規職労働者の多くが有色人種であることを踏まえて、人種的平等に向けて闘う決意を明らかにしている。
 これに続いてアマゾン・ドット・コムでも物流拠点の労働者が労組結成を準備するなど、労組のもとに団結し職場と社会を変える闘いが力強く始まっている。

資本主義は終わりだ

 菅ら支配階級、資本家たちには、コロナの拡大も医療と社会の崩壊も止めることができない。組織された労働者の力、労働組合こそが、破滅へと向かう資本主義を終わらせ新しい社会を切り開く力だ。そのことが全世界の労働者の共通認識になりつつある。新自由主義の国家暴力を振りかざした組合破壊、弾圧を打ち破って勝ち抜いてきた動労千葉、全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同の3労組に学び、闘う労働組合をよみがえらせよう。
 労働運動の変革をめざして開催される2・14国鉄集会、都立病院独法化阻止闘争に全力で決起するとともに、職場・キャンパスから改憲阻止・菅打倒の国会闘争に立ち上がろう。

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