革共同政治局の2021年1・1アピール 資本主義終わらせる革命へ
革共同政治局の2021年1・1アピール
資本主義終わらせる革命へ
〈コロナ×大恐慌〉と対決し階級的労働運動の大飛躍を
感染拡大・医療破壊と軍拡・改憲の菅打倒
はじめに
昨年、文字通り全地球上を覆いつくした新型コロナウイルスは、ますます猛威をふるい、億単位に迫る感染者、200万人に達しようとする死者を出し、新たな変異種をも生み出しながら、世界の経済・政治・社会生活のすべてにわたって危機を深刻化させている。この危機は、戦争と同じく労働者階級人民に矛盾を集中し、階級対立を先鋭化させている。アメリカでは1日に2〜3千人もの人民がコロナの犠牲になり、1千万人もの労働者が職を奪われたまま困窮し、600万以上の世帯が家賃を払えずこの冬に住居から追い出されようとしている。一方でブルジョアジーは、コロナによる「リモート化」の促進で史上最高益をあげる巨大IT企業、ワクチン開発で独占利潤を確保する医薬資本がぼろもうけを続け、FRB(連邦準備制度理事会)による恐慌対策の大量資金供給が続く中で株式市場は連日高値を更新している。日本でもヨーロッパでも帝国主義国の経済、社会のありようは程度の差はあれ同じである。このような経済、社会のあり方がいつまでもつというのか。
新自由主義として延命を続けてきた資本主義は、人間の社会も自然も破壊し荒廃させ、新型コロナウイルスを呼び起こした。そして、そのパンデミック(世界的大流行)と2008年リーマン・ショック以来の大恐慌の危機をかけあわせながら、とてつもない大破局へと突き進んでいる。マルクス主義の史的唯物論は、資本主義には始まりがあり終わりがあることを明らかにしたが、その資本主義の本当の「終わりの時」をわれわれは目の前にしている。しかし資本主義は、決して自ら終わることはない。資本主義を終わらせる労働者階級の革命、プロレタリア世界革命が必要だ。この革命は100年前にロシアから始まったが、スターリン主義の発生によって長い中断を強いられた。だがそのスターリン主義も今や崩壊し、資本主義の矛盾と階級対立が極点に達する中で、労働者階級自身の解放をかけた根本的な革命が始まりつつある。アメリカにおけるBLM運動の爆発とトランプ打倒の勝利はその号砲である。
革共同は、反帝国主義・反スターリン主義世界革命を訴え続け、それをやり抜くために闘ってきた。そして今「資本主義の終わり」がやってきて、本当に世界革命を完遂すべき時が来た。われわれは昨年、コロナ危機と全力で対決し、闘う労働運動を職場、地域につくりだしてきた。医療現場からは「医療は社会保障だ」というストライキが始まった。そして全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同、国鉄千葉動力車労働組合の3労組の闘いが、すべての闘いの先頭に立っている。新自由主義の矛盾を最も集中させられてきた青年・学生、そして女性の新たな決起も始まった。資本主義を終わらせる反帝・反スターリン主義のプロレタリア世界革命に向かって、〈コロナ×大恐慌〉情勢と対決し、階級的労働運動の大飛躍をかちとろう。そのための党の大変革をさらに進めよう。
Ⅰ コロナ危機と全力で闘いぬき労働運動変革の可能性つかむ
関生支部、港合同、動労千葉の3労組と国鉄闘争全国運動、改憲・戦争阻止!大行進が呼びかけた昨年の11・1労働者総決起集会は、〈コロナ×大恐慌〉情勢下での2020年の闘い、そして19年9月の第26回全国委員会総会以後の党の変革と実践の到達地平を示した。革共同は、コロナ禍のもとで凶暴化する新自由主義攻撃と対決し、階級的労働運動の新たな飛躍と挑戦をかけて闘う3労組の呼びかけに応え、共にこの集会を成功させるために闘い抜いた。
われわれは11・1集会において3労組と共に何を切り開いたのか。それはどうして可能になったのか。そして新たな課題は何か。このことを明らかにして、2021年を階級的労働運動の大飛躍の年にしなければならない。
⑴医療福祉労働者の決起が全労働者の怒り解き放った
昨年春、われわれはコロナ・パンデミック、緊急事態宣言情勢に対して「コロナ危機を革命へ」のスローガンを掲げ、まったく新たな情勢における新たな闘いを開始した。国鉄・関生決戦と医療現場の闘いを軸に、コロナ禍のもとで職場・地域から階級的労働運動を復権する闘いに挑戦し、画期的と言える前進をかちとってきた。このことを可能にしたものは何か。
第一に、コロナ・パンデミックを、新自由主義とその歴史的破産・崩壊によって引き起こされたものとして、徹底的に階級的なものとしてとらえきったことにある。「コロナとの闘い」は、階級対立を超越した「人類対ウイルスの戦い」などではなく、資本・国家権力との激烈な階級闘争以外のなにものでもない。それは階級的労働運動の課題であり、闘う労働組合と労働運動の再生こそが必要であることを明確にした。
4月7日の安倍政権による緊急事態宣言発令を受け、階級闘争の立場や階級的なものの見方を投げ捨ててきた一切の勢力が「挙国一致」的な考え方にからめとられて「自粛」に陥る中で、労組交流センターの仲間たちはただちに新宿駅前に登場し、「コロナ解雇許さない」「休業賃金補償しろ」と訴えた。コロナ禍によってあらわになり、激烈になった職場の矛盾を労働運動の課題とし、具体的な闘争にする挑戦がここから開始された。緊急事態宣言の最中に、医療労働者を先頭に首相官邸―厚生労働省前で5・1メーデー闘争を断固打ち抜いたことも決定的だった。
われわれは、コロナ危機下における階級的労働運動の「第一の任務」「特別の任務」として、医療労働者の闘いを支援・防衛し共に闘うことを掲げた。コロナによって新自由主義の矛盾が最も激烈な形で暴き出されたのは医療現場だった。感染者用のベッドや人工呼吸器の不足、マスクや防護服、手袋さえもない、何よりも医師や看護師の人手が圧倒的に足りない! 医療崩壊の現実は、コロナによって引き起こされたのではない。新自由主義による民営化と社会保障の解体、医療費削減によって、医師も看護師も慢性的に不足し、過労死させられるような長時間過重労働が常態化していたのだ。特に感染症病床の大幅削減(1998年に9060床あったのが2020年には1869床に!)、感染症検査を担当する保健所の半減は、初期対応を極めて困難にした。
新自由主義のグローバリズムが加速し、資本による世界中の人間と自然からの搾取・収奪が進む中で、未知の新型ウイルスによる感染症の危険は高まり続けてきた。そのことは30年以上前から様々に警告もされてきた。しかし「命よりもカネ」を第一の標語とする新自由主義は、社会保障であるべき医療をも営利の対象とし、「稼働」しない病床、医療・検査設備、人員を「非効率」として削減・廃棄していった。維新の会の橋下徹・松井一郎らはその先頭に立ってきたのであり、感染拡大の第3波においてついに深刻な医療崩壊を引き起こした極悪の「戦犯」である。そしてコロナ危機突入前には、厚生労働省が全国約440の公立・公的病院の再編・統合を要求し、東京では第1波の真っただ中の3月31日に小池百合子都知事が都立・公社14病院の独立行政法人化方針を発表した。コロナ禍の渦中で民営化と医療破壊を推し進めているのだ。
このように新自由主義は、一方で感染症拡大の危険を高めながら、他方では社会保障としての医療を崩壊させてきたのである。もちろんそれは日本だけではない。アメリカ、ヨーロッパをはじめ世界中で同じことが進められてきた。コロナ・パンデミックは、まさに起こるべくして起きた新自由主義による「人災」であり、億単位の人間を感染させ、百万単位の人間(その圧倒的多数は労働者階級、貧困層である)の命を今も奪い続けている恐るべき「犯罪」である。しかも、これすらもワクチン販売による金もうけの絶好の機会と見てほくそ笑んでいるのが新自由主義の医療・医薬資本であり、投機家どもなのだ! まさに「コロナとの闘い」は、新自由主義を打倒する階級的労働運動、階級闘争として貫徹されなければならない。
すでに世界中で医療労働者が闘いに決起している。だが国家権力と資本は「ショック・ドクトリン」よろしく、コロナ危機に乗じて階級闘争を一掃しようとしている。これに対して徹底的に階級意識を研ぎ澄まさなければ「危機だから仕方がない」「我慢し自粛して経営や行政に協力するしかない」という、資本と権力にとってのみ都合のいい考え方にとりこまれ、押し流されてしまいかねない。それは帝国主義が戦争に突入する時と同じような情勢だ。だが、階級対立は「戦時」「非常時」においてこそ最も鋭く激しくなるのだ。
ここにおいてこそ党の意識性、「コロナ危機を革命へ転化する方向に向かって闘う」というマルクス主義的・階級的な立場をとことんまで押し貫く意識性が求められた。そしてわれわれは小なりと言えども、この意識性をもって、全国の職場・地域で闘いを開始した。特に医療をめぐる攻防は一大焦点となった。
都政を革新する会の洞口朋子杉並区議は、区内の病院や保健所で聞き取りを行い、総翼賛化した議会の中で「区は医療現場の声を聞け!」と田中区政を弾劾し、都立病院独法化反対を訴えて多くの共感を呼んだ。こうした闘いは、国鉄闘争を基軸に階級的労働運動の再生をかちとり、どんなに困難だろうと職場から階級的団結をつくってプロレタリア革命への道を切り開くという、労働者同志を先頭とする格闘があったからこそ可能となった。
第二に、このコロナ危機を新自由主義の崩壊という時代認識として階級的にとらえつくすと同時に、階級的労働運動を再生する決定的チャンスの到来ととらえ、動労千葉が確立した反合理化・運転保安闘争路線を真に学び、すべての職場で実践を開始したことである。
ストで情勢を動かす
コロナ禍は、医療・介護・福祉の現場において、さらには教育や自治体、郵便、鉄道、運輸、清掃など様々な職場において、これまで軽んじられ、その多くが低賃金の非正規雇用にされてきた労働者が、実は社会を根底で支えていること、その存在なしに社会が社会として成り立たないことを万人の前に明らかにした。これに対して労働者を管理・監視・評価するだけの管理者やブルジョアジーらの「仕事」は「ブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)」でしかないことを暴いた。
コロナ禍において、広範な労働者の自覚と誇りが呼び覚まされている。そして自分たちが本質的には社会において決定的存在であるにもかかわらず、実際に置かれている現実はまったく奴隷的であること、このあまりの転倒に対して怒りを覚えている。新自由主義のもとで階級的な考え方や価値観を奪われて久しかった労働者が、自らの階級意識に覚醒する巨大な変化が生まれている。
決定的なのは、動労千葉が闘いを通じて確立した反合・運転保安闘争路線が、コロナ危機と対決する全産別の路線になりはじめたことだ。
コロナ禍であらわになった医療現場の矛盾を、資本・経営の側は「仕方がない現実」として、労働者の犠牲によって「解決」しようとする。これに対して労働者・労働組合の側が、新自由主義によって極限的に切り下げられてきた労働条件ではまともな医療をすることはできず、感染拡大を阻止することも患者の命を守ることもできないということを突きつけ、社会保障としての医療をとりもどす闘いが開始された。
千葉・船橋市の二和病院労組によって闘われた7月と12月の2波のストライキは、新自由主義による医療現場への合理化や賃下げを許さないということと、コロナ禍でまともな医療=「社会保障としての医療」を要求することを、完全に一つにして闘われた。この闘いこそ、今何より医療労働者の労働組合に求められている闘いであるという、この深い階級的な確信がストを決断するにいたる過程での真剣な討論の中で生まれた。それが、実際にストに立ち上がることを通じて組合員を揺るぎなく団結させ、ものすごい力を引き出した。そして職場、地域、さらには全社会の圧倒的な支持と共感を呼び起こした。コロナ禍の極限的困難の中で苦闘する全医療労働者を団結させ、新自由主義による医療破壊に総反撃していく路線が、現場の格闘の中からつくられたのだ。
医療・福祉だけではない。コロナ禍はあらゆる産別、職場において共通の問題や課題を発生させ、その闘いを一つにして発展させていく客観的な条件を無数に生み出している。
⑵階級的労働運動再生への確かな展望開いた11月集会
11・1労働者集会は、以上のようなコロナ危機下において階級的労働運動を再生させる全国の職場からの実践と組織化の闘いを通して、最高の中身をもってかちとられた。職場で階級的労働運動を必死に闘ってきたことでつかんだ路線と団結の力が示された。集会の開催自身が極めて困難な状況であったにもかかわらず、全国から2050人が結集し、「コロナ禍の中での日本における最大規模の労働者集会の一つ」(集会実行委員会の総括)として大成功した。全国の職場・地域で闘ってきた労働者の「もっと団結を広げたい」という心の底からの欲求が、コロナ禍の困難にうちかって集会への結集を生み出した。そして集会では、今こそ新自由主義を打ち倒すチャンスだという確信を実践によってつかんだ労働者たちが、労働者階級の組織者として登場しアピールした。「結集した一人ひとりの中に労働運動を変革する力はある。全参加者がそのことを熱く確認し、激動の時代の組織者となってそれぞれの持ち場に戻った」(本紙3173号中央労働者組織委員会論文)のである。
11・1集会の核心的総括は、第一に、呼びかけ3労組の、この時代における自らと日本労働運動全体の変革をかけた鮮明な決意と決断こそが、集会の画期的成功を生み出す最大の力だったということである。
国家権力と資本が一体となった戦後労働運動史上未曽有の組織絶滅型の弾圧をはね返し、職場から闘う産別労働組合運動を再建する挑戦を開始した関生支部。官民連帯・地域共闘の力で大阪都構想粉砕の闘いの先頭に立った港合同。コロナ禍に乗じたJRの大合理化攻撃と全面外注化攻撃に対し、反合・運転保安闘争路線を貫き組織拡大で闘ってきた動労千葉。1980年代の国鉄分割・民営化攻撃以来の新自由主義攻撃に負けずに闘い続けてきた3労組は、新たな時代における階級的労働運動の結集軸となり、「闘う労働組合の全国ネットワークをつくろう」という訴えを具体的な姿・形にするための挑戦を開始した。
革共同はこの方針を全面的に支持し、その実現のために一切をかけて闘う。
革命的反戦闘争の復権
第二に、11・1集会は、同じく3労組が呼びかける改憲阻止!1万人行進としてもかちとられ、戦後日本階級闘争における最大の政治闘争のテーマである改憲阻止の大決戦に向け、改憲・戦争阻止!大行進運動の本格的発展への展望を切り開いた。
われわれは昨年の1・1アピールで「改憲阻止・日帝打倒」を掲げ、改憲阻止闘争を本格的につくりだす挑戦を開始した。2月の横須賀からの自衛隊中東派兵阻止闘争をはじめとして、各地の大行進運動が反戦反基地の闘いを展開してきた。3・11反原発福島行動を打ち抜き、コロナに乗じた「緊急事態条項」導入による改憲攻撃と対決して3・22新宿デモが全国結集で闘われた。
5・15沖縄闘争、8・6―8・9の広島・長崎闘争もコロナ下での自粛・縮小・解体への流れと対決して闘い抜かれた。コロナ下で激化する外国人差別・分断攻撃、長期収容・強制退去攻撃と闘う入管闘争、全国水平同盟を先頭とする狭山闘争、星野文昭同志の闘いと精神を継承し、獄死の国家責任を徹底追及する星野国賠と再審貫徹への闘い、農地強奪攻撃と闘ってついに成田空港廃港の情勢を引き寄せた三里塚闘争、そして11・1集会と同日に行われた住民投票で完全勝利した大阪都構想粉砕の闘い。これらすべての闘いが3労組を中心とする階級的労働運動と一つになって、改憲・戦争阻止!大行進運動を軸とする巨大な政治闘争をつくりだしていく展望を示した。
もともと3労組が大行進運動を呼びかけた根底には、「日本階級闘争の深刻な危機」に対する認識があった。集団的自衛権の行使を容認した2014年の7・1閣議決定と15年安保戦争法をめぐる国会闘争では、結集した数万人が国会前を埋め尽くしたにもかかわらず、日本共産党をはじめとする既成野党は、この闘いが実力闘争として発展することを妨害し、その一切を「野党共闘」路線に流し込んだ。このような運動のあり方を根本的に覆さない限り、日帝の改憲・戦争を阻止することはできない。この危機は、自治労、日教組をはじめとする日本労働運動の決定的後退が生み出した現実であり、革命的反戦闘争の復権は階級的労働運動の復権と一体である。
革共同は、大行進運動の発展をかちとるために、改憲阻止の政治闘争、階級決戦を組織できる本格的な労働者党への成長と飛躍をかけて決起する。
国際連帯闘争の発展
第三に、コロナ情勢において国際連帯闘争の巨大な発展の可能性をつくりだした。
韓国・民主労総、アメリカのILWU(国際港湾倉庫労組)やUTLA(ロサンゼルス統一教組)をはじめ、台湾、中国、香港、イタリア、フランス、ブラジルなど世界40カ国・地域の200を超える労組・団体から賛同とメッセージが寄せられた。この時代を生き闘い抜くための不可欠の要求として、世界中の労働者の団結が広がっている。国際連帯は労働者が階級意識を回復するための最大の力である。そして、連合の支配のもとで長らく後退・停滞を続けてきた日本の労働運動が力を取り戻すことは、全世界の労働者、労働組合にも大きな力となる。
第四に、特筆すべきは青年・学生、そして女性の新たな結集がかちとられていることだ。
コロナでキャンパスにも入れず、オンライン授業で分断・孤立させられ、アルバイトもできず、法外な額の入学金・授業料を支払わされてきた学生が、社会の変革を求めて動き出した。学費減免運動、京都大学における処分撤回闘争、学習会、前進チャンネル、SNSなど様々な水路から、新自由主義への幻想など最初から一切持っていない10代、20代の新たな世代が11・1集会に、そしてマルクス主義学生同盟中核派に結集した。「安倍・菅の改憲を止め、世の中を変えるのは、一部のリベラル学者の発言ではなく、私たち学生自身の力だ」という11・1集会での学生の発言と力あふれるデモは、多くの労働者を奮い立たせた。
コロナ禍は、新自由主義による女性への搾取と抑圧を極限的なものにしている。医療・介護・福祉の現場で中心的役割を担う労働者の多くは女性である。そしてコロナで真っ先に解雇され、貧困に追いやられ、生きるすべを奪われているのは、様々な職場の非正規雇用の女性労働者である。彼女らこそ新自由主義と全面的に非和解の存在であり、最も革命的な主体だ。11・1での医療・介護・福祉労働者の白衣のデモが権力・右翼を圧倒し、沿道の注目と共感を集めたが、それを牽引(けんいん)したのも女性労働者だ。
革共同は、26全総から開始した党変革の闘いの決定的な柱として、女性解放闘争を労働者階級の組織化と地区党建設の重要な内実として再確立して実践し、その組織的保障として中央女性解放組織委員会の再建に着手してきた。そして地区党や産別委員会の決定的な指導部として、コロナ下で闘いに決起した女性同志が登場し、〈女性解放=労働者階級の完全解放〉の闘いの先頭に立っている。このことを26全総から1年有余の党変革の前進として確認したい。
Ⅱ破滅へと突き進む資本主義を世界革命で打ち倒す時が来た
⑴新自由主義の歴史的崩壊示す〈コロナ×大恐慌〉情勢
2021年から20年代初頭をいかに闘うべきか。まずもってわれわれは、〈コロナ×大恐慌〉情勢にまで行き着いた資本主義・帝国主義、その最末期の絶望的延命形態である新自由主義の危機の深さを、時代認識としてつかまなければならない。
1929年世界大恐慌とそれに続く全世界的な30年代階級闘争の爆発は、資本主義・帝国主義を未曽有の体制的危機へと追い込んだ。だが、スターリン主義の裏切りのもとでドイツ、フランス、スペイン、アメリカ、日本などの革命運動が敗北した結果、帝国主義は30年代危機を乗り切り、全人類を第2次大戦の惨禍に引きずり込んで延命した。そして、第2次大戦を通じて経済的にも軍事的にも圧倒的優位に立ったアメリカ帝国主義を基軸国とする帝国主義の再編が行われ、ソ連を中心とするスターリン主義陣営がそれを承認する形で(アジア、ヨーロッパをはじめ世界中で爆発した戦後革命の圧殺を経て)戦後世界体制が成立した。
だが、ドルを基軸通貨とする戦後世界経済は、基軸国=米帝の圧倒的な経済的・軍事的力量に依存することを前提条件として「世界経済の統一性」を擬制的に回復させたものにすぎなかった。それは「対ソ連」を大義名分とする果てしない核軍拡と反共軍事同盟網の構築=米軍の全世界的展開によって裏から支えられ、アジア、中東、中南米、アフリカなどで絶えず民族抑圧の侵略戦争を繰り返し、これらの国々から主に1次産品(原油、鉱物資源、綿花、農産物など)の植民地主義的収奪を続けることによって成り立っていた。また帝国主義国における経済政策としては、軍事や公共事業などへの政府支出を通じて需要の人為的創出を図るなど、国家による経済過程への介入を特徴とする国家独占資本主義(国独資)政策が採られた。それは労働者階級の怒りや闘いを体制の内側に改良主義的に吸収するために、社会保障制度や労働者の諸権利、あるいは労働組合の存在を認めることと表裏一体だった。
このような戦後世界体制は、一方では西独帝および日帝の戦後復興と急激な成長に追い上げられ、他方ではベトナム侵略戦争の泥沼化によって、基軸国=米帝が絶対的力を失っていく中で根底的動揺に陥った。そして60年代を通じて進行したドル価値の低下、米帝の貿易赤字国への転落と金・ドル交換停止(いずれも71年)、73年オイル・ショックを経て74〜75年世界恐慌が引き起こされた。この74〜75年恐慌は、高度経済成長と呼ばれた帝国主義の特異な戦後発展の行き詰まりと〈過剰資本・過剰生産力〉を劇的に露呈させたという点で、戦後世界経済史を画する位置をもつ。
新自由主義攻撃の本質
74〜75年恐慌とベトナム侵略戦争での米帝の敗北を契機として、帝国主義各国はこの行き詰まりからの脱却を求め、それまでの国独資政策を放棄して新自由主義を全面化させていく。それはまさに帝国主義の絶望的危機を背景とした、極めて暴力的な本質をもった世界史的反革命にほかならない。
この新自由主義の旗手として登場した米レーガン政権(81〜89年)、英サッチャー政権(79〜90年)、日本の中曽根政権(82〜87年)は、国家の全体重をかけて戦闘的な労働運動・労働組合を弾圧するとともに、マルクス主義をはじめとした一切の階級的・左翼的なものの見方、考え方を社会から一掃することを狙った。そして鉄道や医療などの公営事業の民営化、規制緩和、大資本優遇の税制改革、労働者が歴史的に獲得してきた諸権利や社会保障制度の廃止、雇用の非正規化などを推し進め、資本による無制限の搾取と収奪を実現しようとしたのである。同時にそれは、国や地域の枠をこえてヒト・モノ・カネの移動を促進するグローバリゼーションと一体で、金融規制の撤廃=金融自由化によって株式市場や証券市場を巨大化させ、実体経済を数倍する金融バブル(レーニンの言う帝国主義段階の資本主義の「寄生性と腐朽性」の極み!)を生み出すことになった。
このような新自由主義のもと、米帝は圧倒的な軍事力を背景に、基軸通貨ドルの強みも発揮して世界中の資金をアメリカに集中し、91年ソ連崩壊後には国防総省が開発してきたIT(情報技術)の民生部門への開放を加速した。そして90〜2000年代を通じて金融とIT産業を育成し、同分野での世界的優位を確立した。他方で米国内では、過剰資本状態を背景に製造業で人員削減、企業吸収・合併、生産の外部委託(アウトソーシング)などを進めた。
だが、ここで確認しておくべきことは、こうして一時的につくられた米経済の「好況」も、その成長率や生産性の伸び率という点では74〜75年恐慌以前の戦後発展期に遠く及ばず、歴史的に行き詰まった資本主義に新たな「生命力」を与えるようなものではまったくなかった、という厳然たる事実である。しかもそれは2000年を前後するITバブルの崩壊でデッドロックにぶちあたり、これを超低金利政策で乗り切ろうとして人為的に住宅バブルをつくりだした結果、一切の矛盾を08年リーマン・ショックという形で爆発させるにいたるのである。
バブルと格差の拡大
08年リーマン・ショックをもって始まった事態は、文字通り1929年以来の大恐慌の爆発として、すでにアフガニスタン戦争とイラク戦争の敗北で危機を深めていた米帝を直撃し、全世界を激震させた。5大投資銀行は倒産や吸収・合併などですべて消滅し、他の大銀行も政府が巨額の公的資金で救済するしかなくなり、GMやクライスラーの破綻をはじめ実体経済に与えた打撃も甚大なものとなった。その影響は欧州をはじめ世界中に波及し、各国の恐慌対策も天文学的な財政投入や超金融緩和とならざるをえなかった。とりわけ決定的だったのは、中国による4兆元(約57兆円=当時)の財政投入であり、それが一時的にせよ世界大恐慌のとめどない破局的進行に歯止めをかけることとなった。
だが、肝心の過剰資本・過剰生産力は解消されず、その後も成長力は極めて弱いまま、大量に投入された資金が株式・金融市場と富裕層の内部を回るといった状態が続いた。そして一握りの超富裕層、ブルジョアジーにのみ途方もないカネの山が積み上がり、大多数の労働者民衆はますます貧しくなったのである。
「2010年から6年間の最上位1%の富裕層の所得は35%増を記録し、それは(08年の)大不況後に生み出された総利潤の実に91%を占めていた。これに対して......莫大(ばくだい)な数の新しい職の多くは、外食産業や介護や清掃などの低賃金業種のそれもパートタイム職であり、職を得たものの大多数は大不況前よりも収入を減らす状況であった」(古矢旬『グローバル時代のアメリカ』岩波新書)
こうして生み出された極限的な経済格差は、アメリカをはじめ全世界で階級対立を激化させ、青年層を先頭とする国際階級闘争の新段階をもたらした。アメリカのウォール街占拠闘争、「アラブの春」と呼ばれた中東諸国の革命、韓国のろうそく革命、フランスの黄色いベスト運動、香港の雨傘革命以来の実力闘争など、労働者民衆のデモの大波は年々世界に拡大。2019年は、1848年のヨーロッパ諸国の革命や1917年ロシア革命と並んで歴史上特筆されるべき「騒乱の年」と言われるほどになった。
このように08年以来の大恐慌から脱却できず、経済・社会の崩壊と階級闘争の激化が進む中でコロナ・パンデミックが起きた。08年以来、覆い隠してきた矛盾と破綻がコロナによって一挙に暴き出された。世界中の生産・流通・交通が停止し、GDP(国内総生産)が年率換算で30%以上もマイナスになるという29年大恐慌でもなかったことが起きた。ブルジョアジーはその一切の矛盾を大量解雇、賃下げ、総非正規職化といった形で労働者階級に押し付け、延命しようとしている。新自由主義を終わらせ、資本主義そのものを打倒するプロレタリア革命以外に出口のない時代が到来したのだ。
⑵米トランプ政権の打倒と国際階級闘争の新段階突入
〈コロナ×大恐慌〉に最も激しく直撃されたのが、新自由主義のもとでの社会崩壊が最も広範に進んでいたアメリカだった。昨年12月末までに国内のコロナ感染者数は1800万人、死者は32万人を超えた。この世界最悪の事態は、感染症対策よりもブルジョアジーの利益のための「経済活動」と自らの大統領選を優先したトランプが招いたものだ。
他方で、ミネソタ州ミネアポリスでの警察による黒人男性ジョージ・フロイド氏虐殺を契機とするBLM運動の爆発は、コロナ下で限界を超えた格差・貧困・人種差別の激化と警察権力の殺人的暴力に対する全人民蜂起的決起となった。青年を先頭に、人種の違いを超えて巨万の人々が立ち上がり、警察署を占拠して街を解放区とし、奴隷商人や人種差別主義者の銅像を全米・全世界で次々と引き倒した。差別と国家暴力に支えられて成り立つ資本主義400年の全歴史に終止符を打つまでやむことのない闘いが始まったのだ。その先頭には18〜19年の全米教育ストに端を発する労働組合の闘いがある。またILWUやUTLAを中心とした地域丸ごとの決起が生まれた。
こうした中で大統領選を迎えたトランプは、「アメリカン・ドリームを救うのか、それとも社会主義者の政策を許すのか」「法を守るアメリカ人を守るのか、それとも無政府主義者や犯罪者に自由を与えるのか」(7月共和党大会での指名受諾演説)などと「二者択一」を迫った。まさに革命か反革命かの決着をつける時が来ていることをブルジョアジーの言葉で言い表したのだ。これに対し、8千万人もの労働者階級人民が、トランプを絶対に権力の座から引きずりおろし、打倒しなければならないという強烈な階級意思をたたきつけた。他方でトランプに投じられた約7400万票もまた、その大半は現状への強烈な不満と怒りを示している。1億5千万人の根底的変革への渇望とエネルギーが米国社会に渦巻いているのだ。
危機はさらに深まる
バイデン次期政権は、08年恐慌以来の米経済・世界経済の全矛盾にのたうちながら、トランプが進めた米帝延命のための新自由主義攻撃と対中対決戦略を〈コロナ×大恐慌〉情勢の中で一層激しく継続するしかない。
昨年11月、IIF(国際金融協会)は、世界全体の政府・企業・家計の債務残高が20年末時点で277兆㌦と過去最高に達し、GDP比では365%となるとの見通しを発表した。しかもFRBとECB(欧州中央銀行)は、〈コロナ×大恐慌〉の激化への恐怖から、さらなる金融緩和策に踏み切ることを表明した。だが、すでに「中銀(中央銀行)の資金供給は未曽有の領域に突入しており、資産バブルなどの副作用への懸念も強まる」(12月6日付日本経済新聞)。08年恐慌以来の金融緩和で投じられた膨大な資金が設備投資や産業創出に回らず資産バブルとなって膨張し、これを解消するための「出口戦略」も思うように進まないままコロナ危機を迎えてしまったのである。今や「日米欧の3中銀の資産残高の合計は20兆㌦を大きく上回り、08年の金融危機直後と比べ約4倍の水準となる」(同)。08年恐慌がまったく解決されず、ますます深刻化していることが今日の事態を規定しているのである。
こうした中で、米帝をはじめとした全世界のブルジョアジーは、情報通信産業の技術革新によって資本主義の新たな成長モデルが描けるかのように吹聴し、コロナに乗じたリモート化、デジタル化、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、自動運転の導入などを通じて労働現場における人員削減、大合理化、総非正規職化をさらに極限的に推し進めようとしている。
だが、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)のようなデジタル・プラットフォーマーを頂点とするIT産業は、歴史的に見れば、社会全体の生活様式を一変させた鉄鋼・化学・電機・自動車・航空などのような基軸的産業には決してなりえず、現在の過剰資本・過剰生産力状態を解消して資本主義に新たな生命力を吹き込むなど到底不可能である。GAFAは、社会のすみずみから富を吸い上げる機構をつくった「帝国主義の寄生性」の極みである。しかも過剰資本・過剰生産力状態のもとで、かつての銀行のように吸い上げた富を巨大な設備投資に回していくというわけでもなく、それは株式・金融のマネーゲームにのみ投じられ、一握りの富裕層の中を回り続けてバブルを膨らませ、社会全体をますます停滞させていくしかないのである。
また政府が永久に財政投入を続けることも、中央銀行が資金を市場に流し込み続けることも不可能だ。結局どこかでインフレが発生し、最後は軍需産業を軸とする戦争経済にのめり込むしかなくなる。1930年代と同様に、国家間の対立の激化、国内階級支配の崩壊と革命的情勢の成熟が支配階級全体にこの方向へとかじを切らせていくのである。
⑶米中対立を軸に激化する争闘戦と日帝の末期的危機
ここでいま一つ確認しておくべきことは、トランプ政権下で本格的に始まった米中対立はますます激化し、経済・軍事・政治・イデオロギーの全面にわたって先鋭化していかざるをえない、ということである。
すでに民主・共和両党を含む米支配階級の中では、「今ここで中国を徹底的にたたかなければ米国に未来はない」ということが共通認識となっている。それは、中国の現体制(残存スターリン主義=中国共産党独裁政権)の転覆を目標とする徹底的に非妥協的な性格をもつ対中対決戦略として、トランプ時代のやり方からの一定の手直しやジグザグを伴いながらも、やはり次期政権下でも不可避的に激化するしかない。
だが、今日の米帝には、中国との間で国家の総力を挙げた全面戦争をただちに行うような力はない。だからこそ米帝は、日帝をはじめとした同盟国の軍事力を動員し、自らの対中戦略に利用しつくそうとしているのだ。とりわけバイデンは大統領選に際して「同盟再構築」を掲げ、トランプを「同盟軽視」と批判しながら「日本を含む同盟国の力を借りて中国に厳しく対応する」と繰り返した。バイデン陣営の外交チームを率いたフロノイ元国防次官は、「アジアにおける戦争を防ぐには」と題した論文で、「米中戦争が起きるリスクはこの数十年で最大限に高まっており、しかもそのリスクは拡大し続けている」と主張し、中国に対抗するための軍事投資の拡大、インド太平洋地域への関与の強化、さらには同盟国との間で頻繁に軍事演習を行うことを要求している。
バイデン次期政権下で、米軍と自衛隊の日常的な一体化と軍事演習などの激化が進み、沖縄をはじめ米軍基地周辺住民の基地被害がさらに深刻化することは不可避だ。そして、トランプ政権がぶち上げた中距離弾道ミサイルの沖縄・本土への大量配備計画も、すでに日米間で水面下の交渉が進んでいる。
大軍拡に走る菅政権
こうした中で日帝・菅政権は、現在の〈コロナ×大恐慌〉情勢の激化に対しても、米中対立の非和解的進展に対しても、一個の帝国主義として対応不能に陥り、独自の世界戦略を描くこともできずにのたうち回っている。世界経済を真っ二つに引き裂く「米中デカップリング(切り離し)」が現実味を帯びてくる中で、中国の広域経済圏構想「一帯一路」に対抗して米帝とともに「自由で開かれたインド太平洋構想」を進めながらも、中国との経済関係をただちに断ち切ることもできない日帝ブルジョアジーは、自らの進路を定めることもできないのだ。
菅政権はこうした米中激突のはざまで右往左往しながらも、日米安保の強化と自衛隊の本格的な侵略軍隊化を進め、改憲・戦争に帝国主義としての活路を見いだそうとあがいている。すでに海上自衛隊の南中国海での軍事演習や米艦防護などの任務が日常化し、ますます激化している。対中対決の最前線に位置付けられる沖縄・南西諸島では、辺野古基地建設をあくまで強行し、自衛隊の新部隊が次々と配備されている。
加えて重要なことは、菅政権が「敵基地攻撃能力」を柱とする一大軍拡に踏み出していることである。防衛省は21年度概算要求で過去最大の5兆4898億円(前年度比1764億円=3・3%増)を計上。将来への借金となる「新規後年度負担」の残高も過去最大の2兆6712億円(前年度比1079億円=4・2%増)となった。昨年12月18日の閣議決定では、「敵基地攻撃能力」保有の明記は見送られたものの、地対艦誘導ミサイルを改良し、相手の防空システムの射程圏外から攻撃できる「スタンド・オフ・ミサイル」として新たに開発する方針が盛り込まれた。また、「いずも」型護衛艦2隻をステルス戦闘機F35Bが発着できる空母として運用できるよう改修が進められている。
コロナ禍のもとで、医療体制の極限的な逼迫(ひっぱく)や失業・休業・一時金カットなどによる多くの人々の経済的困窮が叫ばれる中、巨額の国家予算を投じた一大軍拡が進められているのである。もはや「成長産業」と呼べるものなど何もない日帝は、その意味でもますます大軍拡=経済の軍事化に活路を求めるしかない。〈コロナ×大恐慌〉情勢のもとで「財政規律」は崩壊し、これまで行われてきた日銀の事実上の国債引き受けのもと、1930年代のような無制限の軍拡と戦争の道に踏み出そうとしているのだ。
闘う労働組合を中心に改憲・戦争阻止!大行進運動を全国で拡大し、軍拡と改憲にのめり込む菅政権を打倒しよう。
Ⅲ 新自由主義打倒の労働運動を今こそ全職場につくりだそう
⑴革命的情勢を革命に転化するためには何が必要か
資本主義・帝国主義の危機は〈コロナ×大恐慌〉情勢でますます加速し、革命的情勢もさらに急速に成熟していく。
レーニンが論文「第二インタナショナルの崩壊」(1915年、レーニン全集第21巻)で明らかにした革命的情勢の「三つの主要な徴候」とは、①支配階級にとっては、今まで通りの形でその支配を維持することが不可能なこと、②被抑圧階級の欠乏と困窮が普通以上に激化すること、③右の諸要因によって大衆の活動性が著しく高まることである。この三つの徴候は今日、全世界でレーニンの時代以上にはっきりと表れている。「個々のグループや党の意志ばかりでなく、個々の階級の意志とも無関係な、これらの客観的な変化がなければ、革命は----通例----不可能である。これらの客観的変化の総体が、革命的情勢と呼ばれるのである」(同)。
続けてレーニンは言う----「革命的情勢なしには、革命は不可能」だが、重要なのは「どんな革命情勢でも革命をもたらすとはかぎらない」ということだ。「すべての革命的情勢から革命が起こるとはかぎらず、以上に列挙した客観的変化に主体的な変化が加わる場合、すなわち、旧来の政府を打ち砕く(または揺るがす)に足りるほど強力な革命的大衆行動を行う革命的階級の能力が加わるような情勢からだけ革命が起こる......旧来の政府はそれを『倒さ』ない限り、たとえ危機の時代であろうと、決してひとりでに『倒れる』ものではない。これがマルクス主義者の革命観であって、すべてのマルクス主義者によって、何度も何度も展開され、議論の余地のないものとして認められてきたもの」(同)である。
今日のわれわれは、「客観的変化の総体」としての革命的情勢は目の前に存在しているが、革命を行う主体、すなわち「旧来の政府を打ち砕くに足りるほど強力な革命的大衆行動を行う革命的階級の能力」(同)がまだ十分に形成されていない過程にある。これは日本だけでなく、何よりアメリカ、そして全世界の労働者階級が直面している問題だが、このような中で、党として何をなすべきなのかが問われているのである。この課題に真正面から向き合うことを避けたところに、7回大会と旧政治局の指導の破産があった。われわれは、26全総をもってこのようなあり方を根底的に乗り越えることを自覚し、実践を開始したのである。
では、「革命的情勢を革命そのものに転化する」ために、労働者階級とその党には何が求められるのか。レーニンは小冊子『共産主義における「左翼」空論主義』の中で、「プロレタリア革命の成功の二つの条件」を挙げている。「第一に、労働者の大多数(あるいは少なくとも、自覚した、分別ある、政治的に積極的な労働者の大多数)が完全に変革の必要を理解し、この変革のために進んで死地に赴く覚悟ができていること、第二に、支配階級が政府危機に陥り、この危機が最も遅れた大衆さえも政治に引き入れ、政府を無力化し、革命党が政府をすみやかに倒すことが出来るようにすること」である。そしてこの二つの条件は、革命的情勢から「自動的に」生まれてくるものではなく、主体的につくりだされなければならない。それは大衆の政治的経験によってつくりだされるのであって、決して宣伝だけでつくられるのではない。だがそのような「政治的経験」をするための土台である労働運動が世界の中でも「特別に」大きく後退し、力を失っているのが、現在の日本の主体的情勢の特徴である。したがって今、革命党がなすべきことは、何よりも労働運動の力をとり戻すこと、ここにかけきることである。階級的労働運動を通して広範な労働者階級と結合し、労働者階級を組織すること。ここに党として揺るぎなく圧倒的に重心をおいて闘うことだ。
⑵戦後労働運動の限界のりこえた3労組の闘いに学ぶ
今の時代に求められている労働運動は「新自由主義を打倒する階級的労働運動」だ。それをつくりだすことはまったく可能である。何よりもそれは1970年代後半〜80年代以来の新自由主義攻撃と闘い続け、「闘う労働組合の全国ネットワーク」の形成を呼びかけている関生支部、港合同、動労千葉の3労組が実証し続けてきたことである。そして、この間のコロナ下での医療・介護・福祉職場でのストライキや様々な職場・地域での闘争、労働組合の組織拡大を実現してきた全国の同志、闘う労働者の実践が示している。また動労千葉、11月労働者集会とつながってきた韓国、アメリカ、欧州、世界のコロナ下で闘う労働組合、労働者の運動もそうである。
日本の労働運動は大きく後退し力を失っていると述べたが、しかし、決して「絶望的」ではない。歴史は弁証法的に進む。最も矛盾が大きなところから革命的変化が起きる。既成の体制内の労働運動、労働組合がどの国よりも急速に力を失い、影響力をなくした結果、逆に最も階級的な時代認識と路線でつくられ、新自由主義の攻撃にも負けなかった動労千葉や関生支部、港合同のような労働組合が、一気に多数派になっていくような可能性、現実性がある。戦後労働運動の弱点、限界を自覚し、それを意識的に乗り越えていくところから本格的な闘いを開始した3労組の闘いをあらためて学びつくし、深くとらえ返そう。
階級的路線と原則
3労組は、国鉄分割・民営化攻撃に立ち向かえずに消滅した総評(日本労働組合総評議会)をナショナルセンターとする戦後日本労働運動の決定的限界を突破したところから始まっている。それは戦後の総評労働運動の「継承」ではなく、そこからの「断絶・飛躍」であった。動労千葉でいえば、72年船橋事故を契機とする反合・運転保安闘争路線の確立であり、77〜81年の三里塚ジェット燃料輸送阻止闘争、80年代の国鉄分割・民営化阻止闘争から今日に至る闘いである。関西生コン支部でいえば、80年代のセメント独占・国家権力・日本共産党が一体となった大弾圧を粉砕し、産別労組と協同組合の組織化で生コン産業における独占資本の支配を揺るがしてきた闘いである。港合同でいえば、78年から11年にわたる田中機械闘争―中小労働運動・地域拠点つぶしの「倒産攻撃」に対して団結権と実力闘争、地域共闘の力で工場占拠・自主生産をやりぬき勝利した闘いであり、企業の塀をこえて地域を一つの労働組合として組織する中小労働運動の新たな地平の確立である。
3労組が資本・権力との闘いの中で打ち立ててきた「階級的労働運動の新たな実践と運動思想」こそ、今日の「コロナ×大恐慌の時代」におけるわれわれの闘いの土台に据えられるべきものである。
3労組が乗り越えてきた「戦後日本労働運動の限界」とは、①資本の攻撃の前に常に受動的にしか対応できなかった歴史、②「闘えば分裂する」という歴史、③「労働者は要求でしか団結できない」という常識、④「現実路線」という名の既成事実への屈服である。動労千葉はこの限界を、反合・運転保安闘争路線の確立、80年代の国鉄分割・民営化阻止闘争、民営化後から今日まで続く外注化阻止闘争と国鉄1047名解雇撤回闘争を通して乗り越えてきた。動労千葉は国家をあげた攻撃に立ち向かい、団結を守り、勝利してきた。この全過程を貫く「動労千葉が守り抜いてきた理念・原則」は、田中康宏動労千葉顧問が『労働運動の変革をめざして』と「月刊労働運動」10月号にまとめている。
第一に、どんなに小さな労働組合でも、労働者階級全体の利益、労働運動全体の前進という観点を忘れないことが大事だということだ。
これは「労働者は職場の目の前の要求でしか闘えない」というような労働者蔑視の思想とはまったくあいいれない労働者観、労働組合観に基づく。労働者は労働者階級全体の利益のためにこそ真に決起するし、自分たちの闘いが労働運動全体の前進につながっていることを自覚したときに本当の力を発揮する。この労働者の階級性をとことん信頼し、そこに徹底的に依拠して闘えば、必ず道は開ける。このことを実証してきたのが動労千葉の闘いである。そしてそれは、コロナ下でストに決起した医療・介護・福祉労働者の闘いをはじめ、11・1集会に結集したすべての労働者が示している真理だ。
第二に、資本と労働者は非和解的な関係にあることをあいまいにしないことである。
搾取する側の資本家階級と搾取される側の労働者階級の間には非和解的な階級対立がある。このことをはっきりさせて、その階級対立をなくすことをめざすのが階級的労働運動である。「資本主義体制の中で、労働条件や権利の改善を積み重ねていくだけでは労働者は人間らしく生きることは絶対にできない」(『労働運動の変革をめざして』)。このことは、いついかなる時よりも今こそ真実である。もはや〈コロナ×大恐慌〉情勢と新自由主義の崩壊にまで行き着いた資本主義のもとでは、「労働条件や権利の改善を積み重ねていく」こと自身が大変な困難を要する。この現実をもって既成の組合指導部は、「左派」と呼ばれる部分も含めて階級的労働運動を投げ捨て、あきらめた。だが〈コロナ×大恐慌〉情勢は、この社会がまさに階級対立によって引き裂かれていることを鮮明に暴いている。今こそ建前ではない、本当の階級的労働運動をつくりだすことが求められている。
故・中野洋同志は労働組合についてこう言い切っている。「労働組合は労働者階級が団結する手段だ。さらに労働組合というのは......階級対立をなくすための社会転覆の準備をするところだ」「労働組合運動の中で、労働者階級は、自分たちが権力を握った時の能力を身につける」(『甦る労働組合』)。この労働組合観もまた建前ではなく、今こそ確固として貫かれ、そのような労働組合を現実の闘いの中でつくりださなければならない。
第三に、すべての闘いを、その直接の成果ではなく団結が強化されたか否かで総括することである。
戦後日本労働運動の歴史には、60年の三井三池闘争をはじめ資本・権力との大激突になった闘いがいくつかある。だがそのすべてが、闘いの後に組合を分裂させられ、労働者階級全体に継承されず終わった。「闘えば分裂する」のは、敵に仕掛けられた攻撃に受動的に反応するだけの闘いだからである。「労働者は要求でしか闘えない」という労働者蔑視の思想から抜けきれず、直接の要求が通らなければ何も総括できず、組合員を消耗させ、組織を弱体化させる。これに対し、反合・運転保安闘争路線を確立した動労千葉は、「闘えば分裂する」という戦後日本労働運動の歴史を乗り越えて、闘えば闘うほど団結が強まり、拡大するというあり方をつくった。組合員全員が自分たちの闘いの路線の正しさと意義を確信し、何のために、何を獲得目標にして闘っているのかを自覚し、誇りをもっている。だから闘うほど団結する。勝っても負けても一つ一つの闘いを徹底的に総括して次につないでいく。このようにして、国鉄分割・民営化攻撃との闘いや外注化攻撃との闘いでも、動労千葉は団結を守り抜き、強化してきた。
第四に、時代認識をもつことの重要性である。
国鉄分割・民営化のような歴史的な大攻撃、そして今日まで続く労働運動を根絶やしにしようとする新自由主義攻撃の中で、直接の自分の職場や産別で起きる問題、あるいは「赤字」「経営の危機」を理由にした解雇、賃下げ、合理化、民営化、非正規職化、組合つぶしの攻撃の激しさだけを見て、これに自分の職場で直接どう対応するかだけを考えても、そこには絶望とあきらめしか出てこない。敵の攻撃の激しさがどこから来ているのか。資本主義・帝国主義の危機がどうしようもなく深まっているからだ。ここで求められるのは、この状況は労働者にとっても危機だがそれ以上に資本・権力にとっての危機であり、労働者にとっては闘い次第でチャンスに転じることができるととらえることである。
われわれが「労働者こそ社会の主人公」「革命の主体」だということを建前としないならば、今こそ労働運動・労働組合の中で真正面からこの時代の本質を訴える時である。この社会全体の変革に向かって職場から闘い、地域の闘い、そして全国さらに全世界の闘いと団結して闘っていこうと呼びかける時だ。そうした時に労働者は本当の力を発揮する。
第五に、路線・方針の正しさと「義理・人情」である。闘いの路線・方針が正しくなければ労働者は団結できない。そして路線・方針の正しさは、組合員が自分の経験に基づいて、その正しさを納得した時に本当の意味で正しいものになる。さらに路線・方針が正しいだけでは職場全体が団結することはできない。労働組合は、本来1人の仲間のためにも全員が首をかけて立ち上がるような、最も人間的な団結組織である。同じ職場で働き、同じ組合で資本と闘う仲間との人間関係を大事にする。仲間を絶対に裏切らない。こうした労働者同士の人間的な信頼関係(「動労千葉風」に言うと「義理・人情」)が土台になければ、どんなに正しいことを言っても通じない。
第六に、常に問われるのは指導部だということである。指導部・活動家が組合員を絶対的に信頼し、確信に満ちて先頭に立てば、労働者は絶対に団結を崩さない。動労千葉指導部が実践でつかんだ真理=「魚は頭から腐る」「迷ったら左を選ぶ」「分岐・衝突を恐れない。それをチャンスと考える」を絶対に忘れず闘うことが今こそ重要である。
以上のような理念・原則は、関生支部も港合同もおおよそ共通してもって闘ってきたものである。それは『関西地区生コン支部労働運動50年--その闘いの軌跡』や『企業の塀をこえて 港合同の地域闘争』(田中機械支部・大和田幸治委員長)などに記されている。
⑶労働運動再生に一切かけ3全総路線の今日的実践を
革共同は、〈コロナ×大恐慌〉情勢において、新自由主義を打倒する階級的労働運動を職場からつくりだし、3労組と共に「闘う労働組合の全国ネットワーク」を形成していく闘いを、全力を挙げて遂行する。「23年間、営々として守りぬかれてきた11月集会が切り開いた地平は、情勢の歴史的転換と結びついて、労働運動史的意味と可能性をもつ闘いとなって発展しようとしている。革共同は3労組の必死の努力を、階級全体を獲得する闘いに発展させるために固く団結して闘う。それは日本階級闘争の現段階における革命的共産主義運動の最大の任務である」(本紙第3173号中央労働者組織委員会論文)。これが21年1・1アピールの最大の確認である。
確かに今は総評労働運動があった時代とは違うし、総評解散・連合結成当時とも違う。4・9政治和解からも10年以上が過ぎ、闘う労働運動勢力は3労組を中心とする11月労働者集会に結集している勢力がほとんどと言ってもいい。しかし、だから階級的労働運動は成り立たないとか、困難だから別の運動を始めよう、ということにしてしまったら、われわれが掲げてきた階級的労働運動も「建前だった」となるだろう。
まさにわれわれの「階級的労働運動」の「階級的」ということが本物かどうかということが、この〈コロナ×大恐慌〉情勢、崩壊に向かい凶暴化する新自由主義が労働者階級の生存と社会そのものの存続を危うくするような時代において問われているのだ。そしてこのような時代に階級的労働運動をつくりだしていくという、困難だが可能性に満ちた事業をやり抜くためにこそ、プロレタリア革命の実現に向けての強固な意識性をもったマルクス主義の党、反スターリン主義の革命的共産主義の党が必要なのである。
革共同の今日の最大の実践的=組織的課題は「労働運動内部におけるわが同盟の活動の方法と内容、行動の能力をいかにたかめるか、戦闘的労働者との結合を拡大しつつ職場細胞を基礎とした産別委・地区党の建設をいかにすすめるか、というすぐれて具体的なたたかい」(「3全総と革命的共産主義運動の現段階」)である。この具体的な問題を、〈コロナ×大恐慌〉情勢によって職場にもたらされている具体的な矛盾、課題をしっかりつかまえて、それを階級的労働運動にするための討議と実践を職場細胞と産別委員会・地区党の中心に据えていこう。そのためにもまだ党員が1人、少人数しかいない職場が圧倒的に多いが、拠点になる可能性のある職場に、地区党の力を集中し、職場細胞を建設しよう。
Ⅳ 闘う労組の全国ネット形成し改憲阻止大行進運動の発展を
⑴大失業・大合理化攻撃と闘う労働組合を全職場に
21年決戦の最大の課題は、11月集会が押し開いた階級的労働運動再生への展望を現実のものとするために総力を挙げることである。それは、①コロナ禍が突き出した新自由主義の破綻に立ち向かい、最も困難な職場で闘いを組織して、3労組に続く労組拠点をつくりだしていくことであり、②労働運動再生の先頭に立つと決然と訴えた3労組と共に、「闘う労働組合の全国ネットワーク」を具体的な姿・形にするために年間を通して闘いぬくことであり、③改憲・戦争阻止!大行進運動を新自由主義と改憲・戦争に反対するすべての労働者階級人民を組織する巨大な運動に発展させることである。
階級的労働運動再生への飛躍と変革をかけた3労組の必死の努力に続き、資本の攻撃と徹底的に闘うことを通して現場から労働運動を再生しよう。労働運動の変革に向け、既存の枠組みを攻勢的に打ち破り、団結と連帯をつくりだしていこう。
ここにおいて全国労組交流センターの存在は決定的だ。労組交流センターは1989年の総評解散―連合結成という日本労働運動の歴史的転換を前にして、動労千葉の中野洋委員長(当時)と元中立労連議長の佐藤芳夫さんの呼びかけで「反連合、反統一労組懇(後の全労連)」「自力・自闘・連帯」の旗を掲げて結成された。そこには、たとえ少数であっても自らが労働運動の主役として登場し、新自由主義と対決する労働運動を全国津々浦々に組織するという立場が貫かれてきた。この労組交流センター運動を主体的に担い、職場で格闘する活動家が全国各地の現場に存在していることが、20回以上に及ぶ11月集会を守り支えてきた決定的力になった。不屈の闘いが新自由主義の大破綻、連合労働運動の崩壊的事態を生み出したことに確信をもって、今こそ飛躍をかけてうって出ていこう。
全国労組交流センターの機関誌「月刊労働運動」は闘いの武器だ。階級的労働運動の組織化のために学習し、職場で地域で多くの労働者に広げ、仲間を組織しよう。
国鉄・関生決戦を貫け
国鉄闘争と関生弾圧粉砕の闘いは、階級的労働運動をめぐる最大の攻防点だ。国鉄・関生をめぐって日本帝国主義・資本の攻撃が集中的に現れている。ここで勝ち抜くことが新自由主義を打倒していく巨大な力となる。
国鉄1047名解雇撤回闘争は、国鉄分割・民営化以来の30年余りの闘いを経て、「JRに法的責任なし」という国鉄改革法の根幹を打ち砕く決定的情勢を切り開いている。分割・民営化が労働組合破壊と労働運動の圧殺を狙った国家的不当労働行為であったことが完全に暴かれ、また分割・民営化、JR体制自体がコロナに直撃され全面破産に直面する中、追いつめられたJR資本は新たな大攻撃に走っている。
JR東日本は昨年9月、グループ会社も含む全体で1500億円のコストカットを行うと表明した。コロナに乗じた業務の全面外注化や大規模な列車削減・廃線化、無人駅の拡大やワンマン化による要員削減など、JR発足以来の大合理化攻撃である。さらには整理解雇を前提に、資本の都合で一方的に労働者に休業を命じられる規定を盛り込んだ就業規則の改悪を強行した。
鉄道会社としての社会的責任をも投げ捨て、解雇の自由化と総非正規職化、「労組なき社会」化を狙うこの攻撃は、全労働者階級に対する日帝ブルジョアジーの攻撃をその最先頭で先行して既成事実化するものだ。絶対に許してはならない。
3月ダイヤ改定阻止を当面の焦点に、コロナ禍に乗じたJRの大合理化攻撃と対決しよう。1047名解雇撤回へ、国鉄闘争全国運動を前進させ、2月国鉄集会をかちとろう。
関生弾圧粉砕の闘いもまた、国鉄分割・民営化以来の新自由主義攻撃を粉砕し、階級的労働運動をよみがえらせる決定的な闘いだ。当たり前の労組活動を全て「犯罪」にでっち上げ、警察権力の手で労働組合の組織を丸ごとつぶそうとするこの大弾圧は、逆に、全階級的な危機感と激しい怒りを呼び起こしている。
闘う労働組合を守り、陣形を拡大することが広範な人々の一つの欲求となりつつある。反転攻勢に立ち上がった関生支部組合員と連帯し、全労働者の未来をかけた決戦として関生支援運動を全国に拡大しよう。
資本と非和解の闘い
コロナ禍と大恐慌の進展下で、膨大な数の労働者が飢餓賃金を強いられ、次々と職を奪われ路頭に放り出されて生存の危機にさらされている。コロナによる解雇者は昨年12月中旬の政府統計で7万6千人を超え、その6割以上が非正規職と発表されているが、これはまだ序の口だ。1930年代をも上回る未曽有の大失業攻撃の嵐が全労働者に襲いかかろうとしている。21春闘はこれとの全面対決となる。
経団連はすでに一律賃上げを拒否し、資本の延命のためには労働者が死んでもかまわないという姿勢をむきだしにしている。連合も全労連もこれとまったく闘えないばかりか果てしない屈服を深め、今や労働組合として崩壊し始めている。こうした大流動情勢の中で、コロナ下での現場での必死の格闘が労働運動を復権する条件をたぐり寄せている。新自由主義攻撃の中で徹底的に押し隠されてきた「労働組合にこそ社会を変革する力がある」という真実が今再び社会的に明らかになりつつあるのだ。あらゆる職場で階級的労働運動を組織するチャンスが到来した。
コロナ禍を突き破る医療労働者のストライキは、医療や介護・福祉職場全体の怒りに火をつけ、希望を生み出している。現場から発せられた「医療は社会保障だ」の叫びを全労働者、全人民の声へと押し広げ、労働運動全体の大変革をつくりだす突破口としていこう。東京都はこのコロナ禍であくまで都立病院独法化を強行しようとしているが、そこに最大の矛盾がある。今闘えば都立病院独法化は絶対に阻止できる。反対署名を拡大し、「都立病院つぶすな」の怒りの声を組織しよう。
教育・自治体・郵政も、JRに続き4大産別全てが決戦に突入した。菅政権はコロナ禍に乗じ、デジタル化と規制緩和を掲げて公共部門の全面民営化と労組解体攻撃に一気に突き進もうとしている。このデジタル大合理化攻撃は、改憲=国家大改造攻撃と本質的に一体であり、その一環だ。だが大阪都構想粉砕の勝利が示したように、攻撃の本質を全労働者人民の前に暴露し徹底的な対決を組織すれば粉砕できる。デジタル大合理化に反撃し、職場にあふれる怒りを結集し、闘う労働組合の再生をかちとる突破口を切り開こう。
教育は医療・福祉とともにコロナによって最も激しく矛盾を集中させられている。公教育の解体と全面民営化を狙う「GIGAスクール構想」を粉砕しよう。「タブレットよりまず生身の教員をよこせ!」が現場の声だ。「税収危機」を口実にした自治体の人員削減、外注化・非正規職化の大リストラを許さず、地方自治破壊・道州制攻撃に職場と地域の団結で立ち向かおう。郵便1万人削減の大合理化攻撃を打ち破り、JP労組本部を打倒して現場から闘う郵政労働者の権力を打ち立てよう。
未組織労働者を組織していく挑戦が合同・一般労組全国協議会によって始まっている。コンビニ関連ユニオンの闘いに続き、労働者階級の多数を占める非正規職労働者の圧倒的な組織化に乗り出そう。
⑵改憲・戦争阻止、菅打倒へ怒りを巨大な力に転じよう
日帝支配階級の「悲願」であった安倍の改憲プランは2019〜20年の闘いでいったん粉砕され、大破産した。だが、菅政権は絶望的危機に陥りながらも、どこまでも新自由主義攻撃を激化させ、改憲・戦争に突き進むしかない。それ以外には帝国主義としての延命策がないからだ。
改憲阻止闘争は本質的に、戦争かプロレタリア革命かを問う決戦だ。階級的労働運動の再生と一体で、闘う労働組合を軸に全階級・全人民を組織する改憲・戦争阻止の壮大な政治闘争の爆発をかちとろう。
3労組が中心となって呼びかけ18年3月に結成された改憲・戦争阻止!大行進運動は、新自由主義への怒りと改憲・戦争への怒りを一つに束ねる運動体として大きく発展している。既成の野党とそのもとに組織された諸勢力が一切の闘いを放棄して撤退する中、戦争絶対反対の決意で立ち上がった地域の運動と労働組合が結びつき、主体的な運動体として動き出している。関西では都構想粉砕の闘いを牽引した。先進的地域の取り組みに学び、全国各地に大行進を組織しよう。
反戦闘争の重要性
安倍政権時の改憲プランが挫折に追い込まれる中で、菅政権と自民党は「敵基地攻撃能力」の保有をもって憲法9条の実質的な解体を狙っている。戦後の安保政策の根本的転換であり、大軍拡への踏み込みだ。
改憲攻撃それ自身も続いている。通常国会では改憲のための国民投票法の改定が、立憲民主党などを改憲論議に引き入れるためのものとして策動されている。改憲翼賛国会を絶対に許さず、粉砕しよう。
反戦反基地闘争の重要性は一層高まっている。日米共同演習・訓練反対、自衛隊の海外派兵阻止の闘いを強めよう。沖縄・辺野古をはじめ横田、横須賀、岩国、木更津(オスプレイ配備)など日本全土で反基地闘争に取り組む地域の仲間と結びつき、共闘を拡大しよう。池田自衛隊裁判闘争の勝利をかちとろう。
とりわけ沖縄闘争は重要だ。沖縄を新たな戦争・核戦争の最前線出撃基地にと狙う米帝と日帝は、沖縄現地の怒りを暴力的に圧殺することに必死だ。沖縄と本土の分断を打ち破る労働者階級の決起をつくりだそう。辺野古新基地建設絶対阻止、すべての米軍基地撤去へ闘おう。
三里塚闘争の勝利を
12月17日の市東孝雄さんの農地取り上げをめぐる請求異議控訴審で東京高裁・菅野雅之裁判長は控訴棄却の反動判決を強行した。市東さんの農地死守の決戦に立ち上がろう。
三里塚闘争は日本階級闘争の柱であり、改憲・戦争を阻止する最前線だ。「成田軍事空港絶対反対、農地死守・実力闘争」の原則を貫き、先頭で闘う反対同盟の存在は光り輝いている。三里塚闘争に触れることでその正義性と戦闘性、どんな国家暴力にも勝てるという展望をつかむことができる。市東さんの農地取り上げ強制執行阻止の大運動を全国各地に広げよう。援農・交流・闘争で三里塚現地にどんどんかけつけよう。
入管法改悪を阻もう
日本の難民認定の狭き門、入管収容所での超長期収容と虐待、医療放棄などが大問題となり、国内外の耳目を集めている。にもかかわらず菅政権は通常国会で入管法の大改悪を強行し、さらなる重罰化、刑事罰まで導入して難民認定申請者・仮放免者の追放を狙っている。絶対に許してはならない。排外主義・差別主義を打ち破り在日・滞日外国人労働者との団結をかちとることは、日本の労働者階級の重要な課題だ。入管法改悪阻止に立ち上がろう。
全国水平同盟を先頭とする部落解放闘争や障害者解放闘争をはじめ諸戦線での闘いを地区党建設と一体でさらに発展させよう。国際連帯闘争を発展させよう。日本学術会議任命拒否問題など改憲・戦争につながるあらゆる攻撃と対決し、全ての闘いを大行進運動の発展につなげ、菅政権を打倒しよう。
⑶福島圧殺攻撃をはねのけ「3・11」10周年闘争の成功へ
菅政権は、2021年の3・11で政府主催の追悼式を終了すると公言している。3・11は菅の福島圧殺攻撃との全面対決となる。政府・東電は、福島第一原発事故がもたらしたすさまじい被曝・被災への責任をとっていない。そして避難住宅からの追い出し、高放射線量地域への帰還強制、避難者の切り捨てを強行している。この上、汚染水の海洋放出など断じて許されない。他方で、コロナを口実に甲状腺検査の縮小・中止も策動されている。子どもたちの命と未来を守るために、「フクシマの怒り」を共有し総決起しよう。
菅政権は「敵基地攻撃能力」保有を掲げ、核武装を含む大軍拡に公然とかじを切った。これと一体で「脱炭素」を口実とする全原発の再稼働と新増設を狙っている。コロナ下での東京オリンピックの強行にあくまでしがみついているのもそのためだ。学校現場では「放射線は安全」と教える教育が強制されている。絶対に許すことはできない。
だが、昨年は「黒い雨」訴訟で健康被害と国の責任を認める勝利判決がかちとられた。もはや国は、内部被曝による健康被害を否定できない。ヒロシマ・ナガサキ・フクシマを結ぶ反核・反原発闘争を大きく発展させよう。この闘いには全労働者人民の命と未来がかかっている。10年目の3・11を、福島圧殺を許さず、菅政権打倒、オリンピック粉砕の大闘争にしよう。
福島への帰還強制の先兵がJR東日本だ。20年3月に強行した常磐線全線開通は、運転・検修職場に被曝を強制している。動労水戸を先頭に被曝労働拒否闘争で闘おう。さらに核戦争絶対阻止の8・6広島--8・9長崎闘争へ攻めのぼろう。
⑷闘う労働者階級と連帯し学生運動の飛躍をかちとれ
コロナ禍のもとでの学費減免運動は、大学・教育のあり方を問う闘いとして発展している。高騰する学費、続出する退学者、金が無ければ学ぶこともできず、将来の夢を描くことすらできない。学生戦線の課題は、学生が生きていけないこのような現実が資本主義の歴史的行き詰まりのもとで生み出されていることを明らかにし、コロナに乗じて「大学改革」が加速させられていることを暴露・弾劾して闘うことだ。
またコロナ感染症の拡大は、環境問題、ジェンダー問題、入管・民族差別問題などの原因が資本主義にあることを明確にした。こうした問題への怒りを束ね、菅政権打倒の政治闘争をつくりだそう。
そして京大処分撤回の闘いを断固として推し進めよう。12・10京大集会の大成功に示された、処分の恫喝をも超える学生の団結の形成は、政府・大学の思惑とは逆に、大学・教育を学生の手にとりもどし、学生自治会を全国の大学につくりだす力となる。こうした学生の学内権力を学生自治会として全国大学につくり上げることに全力を挙げよう。
広範な学生の政治的決起と京大処分撤回闘争を軸とした全国学生自治会建設の闘いが結びついた時に、学生運動は真に爆発する。階級的労働運動とともに革命をたぐり寄せる巨大な学生運動の登場に挑戦しよう。
⑸権力と絶対非和解貫いた星野精神を引き継ぎ闘おう
〈コロナ×大恐慌〉情勢下での階級対立の非和解化は、日帝支配階級への労働者人民の怒りの爆発を不可避にもたらす。この怒りが階級的労働運動・革命運動と結合し、本物の革命に転化することを、日帝は死ぬほど恐れている。獄中44年の星野文昭同志の解放を最後まで拒否し、19年5月30日、その命をも奪った日帝権力の姿はそれを示すものだ。だがそれは、膨大な数の労働者民衆の国家権力への怒りをさらに激しくかきたてるものとなっている。この国家犯罪を断じて許さず、その責任を徹底追及し、星野国賠闘争・再審闘争に勝利しよう。星野同志と一体である大坂正明同志へのでっち上げ弾圧を粉砕しよう。
70年決戦、沖縄闘争の階級的正義を貫き、革命家として、革共同としての生を貫いた星野同志の闘いと精神を継承する無数の革命家を今こそつくりだす時だ。弾圧との闘いを党と階級の飛躍の糧に変えて闘おう。
Ⅴ新年号を武器に現場と結合し党の変革と飛躍をかちとろう
2020年の闘いは、26全総から開始された党の変革を徹底的に推し進める格闘の過程でもあった。7回大会で陥った党の路線的誤りは組織問題として深刻な危機、分断を生み出してきた。われわれはその危機を見すえ、資本と非和解的に対決する階級的労働運動の実践と創造を核心にすえて、党活動の変革を推し進めた。とりわけ女性同志、青年同志を先頭に、細胞を主体にして労働者同志が主導する地区党への変革を実現してきたことが、11月集会の成功をかちとる動力となった。
党の変革と飛躍の闘いを、さらに意識的組織的に推し進めよう。新自由主義と闘う労働者の階級的団結をあらゆる職場で組織し、改憲・戦争に突き進む菅政権を打倒する政治闘争の巨大な爆発をつくりだし、労働者階級自己解放の思想としてのマルクス主義を復権し、国際連帯闘争をさらに発展させよう。
3全総の原点に返り
革共同は1962年に開催された3全総で、資本と労組幹部の二重支配のもとで苦闘する戦闘的労働者との接点・交通を拡大し、戦闘的労働運動を防衛・創造すること、そのために産別労働者委員会の強化と並んで職場細胞を包括した地区党の建設=党組織の地区的確立に踏み出すことを決定した。そしてまた「地区党も産別委員会もその基礎が細胞であること」(「3全総政治局報告ならびに宣言」)を確認した。労働者党創成を決意したこの3全総の原点に立ち返り、これを今日の〈コロナ×大恐慌〉情勢と新自由主義の総崩壊のもとでさらに豊かに発展させ、革命に勝利するマルクス主義的労働者党建設の新段階を切り開こう。
現実の階級闘争における党の「指導の正しさ」は、あくまでも現実の労働者階級人民との関係で検証される。またその検証は、人民の中に深く根を張り、職場・地域で格闘している細胞の実践と討議を通じて行われる。そして地区党は、そうした細胞を包括し、共産主義的全体性を体現する。「このような地区党をもつことによって、一つの産業のなかで資本との個別的な部分的な戦闘をつづけている戦闘的労働者を、その限定された職場を、より広大な戦線に位置づける条件を拡大させ、資本との全戦線にわたる戦闘を遂行しうる革命的労働者党の一員に自己変革せしめうるのである」(同)。
職場細胞を基礎に地区党建設=党組織の地区的建設をかちとろう。〈中央委員会と細胞〉の一体化をつくりだすために、細胞と結びついた党中央指導部の建設を進めよう。
マルクス主義復権を
全国的政治新聞としての「前進」を全党の力で作成し、あらゆる職場、地域、階層に持ち込んで拡大しよう。とりわけこの新年号を武器に労働者大衆と結びつき、党の飛躍をかちとろう。「前進」の役割は、資本との個別的な戦場における労働者の闘いを全国に結びつけ、反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命の闘いに労働者大衆を恒常的、系統的に組織することにある。現場からの通信が絶えず編集局に寄せられるような、党細胞および読者との生きた交通がつくられなくてはならない。闘いの教訓で紙面があふれるほどになってこそ「前進」は真価を発揮する。細胞・読者と編集局がともに紙面をつくることで、紙面改革をさらに推し進めよう。
コロナ危機、貧困と格差の極限的拡大、気候変動、差別や分断の激化など、社会の存続と人類の生存を脅かすほどの事態が広がる中で、プロレタリア世界革命の展望を示すマルクス主義が圧倒的多数の人々に希求される時代が到来した。新自由主義のもとで苦闘するすべての労働者人民、とりわけ青年労働者・学生に「前進」を広げよう。また「前進チャンネル」は多くの青年をとらえ、オンライン学習会などの活用で新たな革命家を次々と輩出している。この取り組みをさらに進めよう。『共産党宣言』をはじめ、マルクス主義の基本文献の学習を広げよう。
政治警察の弾圧を打ち破り、強固な革命党の建設を進める土台となるのは会議・機関紙・財政の3原則の貫徹だ。そして完全黙秘・非転向の闘いである。日帝・菅政権は労働者大衆の内乱的決起の予兆におびえ、革共同の非合法・非公然体制の破壊に躍起となっている。清水丈夫議長の51年ぶりの公然化をかちとった地平に立ち、政治警察に勝利する非合法・非公然体制をさらに強固に、階級闘争の激動に対応できる柔軟性をもって建設しよう。
最後に、獄中同志を守り、ともに闘おう。爆取でっち上げ弾圧と闘い抜いた板垣宏同志が1月3日に、同じく十亀弘史同志が13日に奪還される。その歴史的勝利をともに確認しよう。須賀武敏同志への獄中医療をかちとるために闘おう。大坂正明同志へのでっち上げ殺人罪攻撃を階級的怒りで粉砕し、無実・奪還をかちとろう。星野国賠・再審闘争の勝利を絶対にかちとろう。星野文昭同志の遺志を引き継ぎ、帝国主義打倒、スターリン主義打倒、プロレタリア世界革命勝利へ突き進もう。