池田自衛隊裁判 元隊員の証人尋問を拒否 結審強行に怒り
週刊『前進』04頁(3175号04面02)(2020/12/21)
池田自衛隊裁判
元隊員の証人尋問を拒否
結審強行に怒り
(写真 裁判報告会で発言する池田頼将さん【12月9日 名古屋市】)
イラク派兵で負傷し、その後のパワハラ・退職強要とも闘ってきた池田頼将元航空自衛隊3等空曹の国家賠償請求裁判の第2回控訴審が、12月9日に名古屋高裁で開かれました。萩本修裁判長は、この日までに控訴人側と被控訴人側双方の証拠と意見が出そろったとして結審を宣告し、判決日を来年2月25日と指定しました。控訴した池田さんと弁護団が強く求めていた、池田さんの同僚としてパワハラや退職強要を目撃していた元自衛隊員の証人尋問を行わないままの結審でした。怒りに堪えません!
自衛隊側は、池田さんのけがの程度はそれほどではなかったとし、早期帰国もさせずに首のコルセットや痛み止めだけの治療ですませたことを「適切だった」としてきました。しかし、このなかで元自衛隊員の同僚から「隊員食堂で一緒だったときも口が十分開けられない様子で、口の隙間から汁物や麺類、ご飯などを入れて、なんとか食事をとっている状態でした」と、池田さんが退職に追い込まれる直前まで喫食障害に苦しんでいたことを示す目撃証言が出されたのです。
隊内からの証言は、真実を明るみに出し、池田さんの受けたパワハラ・退職強要についても自衛隊の隠蔽(いんぺい)をはね返すものです。同僚は暴行直後の池田さんの胸のアザ、けんか両成敗ではなく池田さんが悪者にされたこと、何より配転先で池田さんが一人で草むしりをさせられているのを目撃していたのです。この真実の目撃証言は池田さんの訴えには「証拠がない」「信用できない」とした名古屋地裁判決をひっくり返し、自衛隊の安全配慮義務違反を白日のもとにさらすものです!
証拠採用しながら証人としての尋問はしないまま判決を出そうという名古屋高裁のもくろみははっきりしています。大法廷を埋めた傍聴者は怒りを胸に裁判報告会に集まって池田さんを激励し、弁護団と共に闘いを広げていくことを確認し合いました。
「今回の自衛隊内部からの真実の証言は高裁を震撼(しんかん)させるものだった。証拠採用しながら尋問は行わないというのは、政治的な判断」と、弁護団の増本陽弁護士、秋田光治事務局長、高山俊吉弁護団長から報告がありました。
池田さんは、これまでの支援に感謝しつつ「裁判の判決がどうであっても、事実は事実です。これを広めていくのみです」ときっぱり宣言しています。うそをついて事実を隠蔽しようとする国・自衛隊と闘ってきたことは正しかったのです。改憲と戦争への動きのなかで、池田さんに続く闘いが必ず始まります。多くの自衛隊員と家族がこの裁判と運動を見守っています。怒りを共有し、闘いを広げていこう!
(池田自衛隊裁判をともに闘う会)