一時金アップ、人員補充を 一陽会労組 怒り集めスト
週刊『前進』04頁(3175号02面02)(2020/12/21)
一時金アップ、人員補充を
一陽会労組 怒り集めスト
(写真 地域の労組や学生とともに行った経営への抗議集会でこぶしを上げる一陽会労働組合の坪井静委員長【12月9日 東京都練馬区】)
一陽会労働組合は、12月9日に陽和病院(東京都練馬区)で、一時金の低額回答を弾劾し、人員補充を要求するストライキを打ち抜きました。
多数派労組執行部は「正規職1・5カ月」の低額回答を丸のみして妥結しました。「何よりも病院の今後の経営の方向性が重要」(多数派労組のビラ)——これは「病院がつぶれたら仕方がないから我慢しろ」という経営の論理そのものです。もってのほかです。
一陽会労組がこの間集めた一言メッセージは、圧倒的に「ボーナス上げろ!」でした。職場にあふれる「こんな一時金では生きられない」「人員を補充しろ」の怒りを体現してストを打ち抜いたのです。
午前11時30分から院内食堂前で行ったスト突入集会には非組の仲間が合流し、「今の経営陣は本当に経営が下手。今すぐ辞めていただきたい」とアピールしてくれました。これが現場の怒りです。
さらに12時30分から外来前で行った経営への抗議集会には、労組や地域の仲間、全学連など40人が集まってくれました。同じ練馬区の泉陽会労組、多摩連帯ユニオン根岸病院分会、また東京北部ユニオンで介護施設での解雇撤回を闘う仲間などから発言が相次ぎました。その間、職場の仲間が踊り場や階段でガッツポーズをしてくれたり、声援をくれたり、後から「建物の中からもよく聞こえたよ」と声をかけてくれたり……。さらに、一陽会労組が中心となった「コロナ禍での医療介護福祉の安全を考える会」が訪問した地域の介護事業所からも参加してくれました!
コロナ下で格闘しているのに低賃金と人員削減にさらされている医療・介護・福祉現場には怒りが満ちあふれています。その結集軸になりうる飛躍をかけ、ストは大きな出発点となりました。とりわけ、新賃金制度導入強行以来2年間の闘いで、当時はまだ多かった「赤字だから仕方ない」イデオロギーを打ち破ったと総括しています。
18年の新賃金表導入以降、職場は一変しました。「病院を建て替えるための資金」と「赤字」がセットにされ、賃金・一時金カットと並行して人員問題が深刻な状況を招いてきました。退職や人事異動などで欠員が生じても、不補充か非正規職への置き換え、さらに他部署との兼務で全然人手が足りていない。同僚や他部署の仲間たちと業務上の話をすることはおろか、患者さんや利用者さんの対応もおざなりになり、常にギリギリの状態で職場を回しているのです。
団交で「赤字」のウソを暴いた連日のビラで、職場全体の空気は一気に塗り替わりました。そこで一言メッセージを集め、スト当日の集会に組織しました。そして、コロナ情勢下で「医療は社会保障だ」のストを実現できたのです。12月4日の船橋二和病院労組の第2波ストと厚生労働省前行動を共に闘ったことを励みに、それに続くことができたと思っています。
スト後も職場からは「資本の言いなりの御用労組なんかいらない」などの声が寄せられています。この声に応え、本当に職場に根差した労働組合づくりを進めていきたいと思います。
今や、コロナ感染拡大で大阪などには自衛隊の医官や看護官が派遣される状況になっています。これは維新の会が公立病院を民営化し、看護師や公務員、福祉への予算をカットしてきた結果です。そして小池都知事も一緒です。都立病院を独立行政法人化するな! 公立病院を削減するな!
全国の医療・介護・福祉労働者の皆さん。世界で湧き起こる病院ストの波を、日本でもつくり出していきましょう!
(一陽会労働組合委員長・坪井静)