セクハラ・パワハラの事実を認定 奈良市清掃非正規職の解雇撤回裁判 雇い止め許さない反転攻勢へ
週刊『前進』04頁(3174号02面04)(2020/12/14)
セクハラ・パワハラの事実を認定
奈良市清掃非正規職の解雇撤回裁判
雇い止め許さない反転攻勢へ
11月20日、突然、仲川げん奈良市長による会見が行われ、奈良市議会は騒然となりました。なんと今年1月、セクハラ・パワハラ裁判を奈良市側が大阪高裁に控訴するとき、議会の承認を得ていなかったことが発覚したのです! これはミスではなく、安倍前首相の「桜を見る会」疑惑と同じように、事実の隠蔽(いんぺい)です!
私たちが3年半闘ってきた清掃非正規職解雇撤回闘争が、いよいよ反転攻勢にうって出るチャンスが来たのです。
2017年6月末、清掃・非正規職のAさんが雇い止めにされました。
きっかけは、職場のストレスチェックでひっかかったAさんが、産業医との面談で職場のセクハラ・パワハラの事実を打ち明けたことでした。その翌日から職場は急変しました。
課長に呼び出され、任用更新の判断をするにあたり、職場でAさんと2人だけに評価を行うことが伝えられました。そして、評価を口実に雇い止めされました。
この過程で、Aさんは自治労奈良市従に組合加入させてもらえなかったので、関西合同労働組合に加入し、労働組合としての闘いが始まりました。私たちは「Aさんの解雇はセクハラ・パワハラを訴えたことに対する報復だ。解雇を撤回せよ」と裁判を起こしました。
一方で、Aさんの解雇を許さないビラをまいた私たちに対して、セクハラ・パワハラの加害当該が、奈良市従定期大会で「除名してほしい」と発言し、3人が除名処分にされました。
裁判で、奈良市はAさんの訴えを全面的に否定し、「セクハラ・パワハラなどはなかった、濫訴(らんそ)だ」と主張しました。さらに、Aさんへの事実無根の誹謗(ひぼう)中傷を書き連ねた陳述書が大量に出され、本当に悔しい思いをしてきました。
2019年12月の奈良地裁判決は、地位確認(解雇撤回)は認めませんでしたが、セクハラ・パワハラの一部は認め、100万円の損害賠償を命じました。
しかし、奈良市は大阪高裁に控訴しました。さらに、加害当該と自治労奈良市従が、市長の側に立って裁判に補助参加しました。こんなことは労働組合がすることではありません! 市長・加害当該・組合本部の三者が一体となってAさんを解雇し、私たちを排除してきたのです。
高裁判決が損害賠償を100万円から50万円と何の説明もなく減額したことは許せませんが、地裁判決のセクハラ・パワハラの事実はすべて認めました。このことは決定的です。
Aさんは「お金の問題ではありません。市長、課長、セクハラ・パワハラ加害本人に誠実な謝罪をしてほしい」と訴えています。
今、この裁判を利用して、清掃職場への激しいバッシング、部落差別の扇動、そして組合つぶしと現業民営化攻撃が狙われています。
除名処分、活動停止処分を受けた私たちが、今こそ先頭に立って、本当に闘う自治労をよみがえらせていく時です。労働運動が大胆に登場し、2021年の戦争と内乱の時代を迎えましょう!
(奈良 B)