焦点 核兵器禁止条約 批准を拒否し核容認する菅政権

週刊『前進』04頁(3171号03面04)(2020/11/23)


焦点
 核兵器禁止条約
 批准を拒否し核容認する菅政権


 10月24日、中米のホンジュラスが核兵器禁止条約の批准書を国連事務総長に寄託、条約を批准する国・地域が50に達し、90日後の2021年1月22日に条約が発効することが決まった。
■被爆者の闘いが条約発効実現
 核兵器禁止条約は、一切の核兵器の開発、実験、生産、保有、使用、さらには「使用をちらつかせる威嚇」まで禁じる初めての国際条約だ。条約の前文では、「核兵器が二度と使われないことを保証する唯一の方法」は核兵器の全廃しかないと明記することで、「相手国に核を使わせないために核武装する」という「核抑止力」の考え方をも明確に否定している。
 NPT(核不拡散条約)が、表向きは「核軍縮」をうたいながら、事実上は米ロ英仏中の5カ国による核独占を合法化するものでしかなかったのとは根本的に異なり、核兵器禁止条約の発効は、核兵器が初めて国際法によって明確に違法化されることを意味する。批准した国にしか直接の法的拘束力をもたないとはいえ、広島・長崎の被爆者をはじめとした全世界の反戦反核の訴えと闘いが、核保有国やその軍事同盟国である日本政府などの敵対をはね返し、条約発効までこぎつけさせた歴史的意義は大きい。
 実際、被爆者の国連本部での演説が世界中に報じられたことなどを決定的契機として、同条約が17年7月に122カ国・地域の賛成で採択されて以来、「核兵器は悪だ」「全廃しかない」という共通認識は一気に世界中に広がった。
 この中で、オランダのNGO「PAX」の調査によると、核兵器製造企業に投資を行っていた世界の400あまりの金融機関のうち、17年後半から19年末までに94の機関が投資をやめたことが分かった。他方で、核の先制使用をも辞さないことを公然と宣言した米トランプ政権は17年以降、条約をすでに批准した国に対して、批准を取り下げるよう圧力をかけていたことも明らかになった。トランプ政権がこのような動きに出たのは、各国政府の条約批准の動きの根底に、国境を越えた労働者階級人民の反戦反核の闘いが渦巻いていることを知っているからだ。
■全核兵器の廃絶へ闘いぬこう
 日本政府は、「条約はわが国のアプローチとは異なる。署名は行わないという考え方に変わりはない」(官房長官・加藤勝信)として、来年から開催される締約国会議へのオブザーバー参加すら約束せず、被爆者の訴えを踏みにじり続けている。
 今回、正式に条約発効が決まったことは、「唯一の戦争被爆国」「非核三原則」などと言いながら、戦後一貫してアメリカ帝国主義の核軍事戦略を支え、自らも原発や核燃料サイクルを推進し、核武装化を一貫して狙ってきた日本帝国主義の醜悪な正体を世界中の人々の前でますます浮き彫りにさせている。
 長崎の被爆者・城臺美彌子(じょうだいみやこ)さんは、今年の8・9反戦反核長崎集会(主催/NAZENナガサキ)で「被爆75周年、今思うこと」と題して講演し、自身の被爆体験や同じく長崎の被爆者である故・谷口稜曄(すみてる)さんの闘いに触れつつ、核兵器禁止条約に背を向ける日本政府を厳しく弾劾した。被爆者の訴えと闘いのすべてを引き継ぎ、全世界の労働者階級人民の国際的に結ばれた反戦反核の闘いで核戦争阻止し、すべての核兵器の廃絶をなんとしてもかちとろう。原発事故から10年を迎える3・11反原発福島行動に全国から集まろう。

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