一時金カット許さない 動労西日本はスト構え闘う

週刊『前進』04頁(3171号02面02)(2020/11/23)


一時金カット許さない
 動労西日本はスト構え闘う


 JR西日本はコロナ情勢下の減収・減益に対して700億円のコスト削減を打ち出した。10月30日発表の2020年4〜9月期決算が1281億円の赤字になった。それを理由に、当初「2・69カ月分」だった冬の一時金を、西労組(JR連合)との協定を全面破棄し、有無を言わさず「1・5カ月分」に大幅カットすると決定したのだ。これはコロナを口実にしたJRグループ全体の大幅賃下げと大量解雇の始まりだ。

大幅なコスト削減を叫ぶJR西日本

 10月30日、JR西日本の長谷川一明社長は記者会見で「経営を再構築する」「構造改革に取り組み、来年度は黒字化したい」と叫んだ。「コロナ禍だからしかたない。合理化も賃金・ボーナスの大幅削減も受け入れろ」というのだ。
 JR西日本は枕言葉のように「尼崎事故の教訓」と言い、尼崎事故現場への「訪問」を、「慰霊」や安全確保のためではなく、会社の経営施策に異議を唱えず従わせるための方策にしている。そして今度は、コロナ危機をあおり労働者を抑えつけようとしている。
 JR西日本は、「今後、人件費などのコスト削減を積み増したり、設備の更新を遅らせたりするなどして数百億円規模の収支改善を図る」「安全投資は5300億円から5000億円に減額」「列車ダイヤ見直しなどを進め、鉄道事業単体で600〜700億円の営業費を削減する」と大規模なコスト削減を明言した。
 この大幅コスト削減は、JRにとどまらずあらゆる産業に拡大する。JR西日本は30年余りの間、巨額の利益を上げ続けてきた。それを、今期は赤字をチャンスとばかりに利用して、現場労働者を黙らせようとしているのだ。一方で、株主配当は続けられている。
 管理者の大半がテレワークとして自宅待機している中で、現場労働者は列車の運行を必死に維持し、過重労働の中でコロナ感染防止対策を最先頭で担ってきた。株主の利益を最優先し、赤字の矛盾を現場労働者に押しつけて賃下げするなど絶対に許せない!

民営化の大破綻がJRの危機の元凶

 JRの危機は国鉄を分割・民営化し利潤を追求したことの結果だ。コロナ以前から民営化は、特にJR北海道、四国、九州でその破綻をあらわにしていた。JR各社はコロナや災害に乗じて路線を次々と廃止している。民営化で「利潤追求」が至上命題にされた結果、鉄道業務の大部分は外注化され、雇用と労働条件は解体された。それだけでなく、ついに鉄道崩壊にまで行き着こうとしている。
 JR西日本の長谷川社長は「集中的に構造改革に取り組み、変化に対応する力をつける」と言う。公共交通を担う鉄道会社であることを投げ捨て、「一部の大株主が金もうけするための会社」にしようというのだ。そのために労働者の権利と生活を犠牲にするなど、断じて認められない!

「デジタル戦略」で定期検査を廃止

 JR西日本は、2030年にやろうとしていたことを前倒しでやるとしている。終電の時刻を早めることもそうだが、「JR西日本グループデジタル戦略」を打ち出した。その柱は、①顧客体験の再構築、②鉄道システムの再構築、③従業員体験の再構築の三つだ。
 ②は、地上検査を列車上で行えるようにし、IoTネットワークを活用して予防保全に転換し、定期検査を廃止するものだ。データのみに頼り、人員を削減し、事故は加速される。
 ③は、オンラインで仕事をさせ、どこにいても常に会社の監視下に置いて、労働時間という概念を破壊するものだ。

駅の無人化と駅員の大量解雇を狙う

 さらにモバイルICOCAの導入だ。これにより、スマホでオンライン決済しないと列車に乗れないようになる。券売機は不要となり、きっぷの変更や払い戻しも全部スマホでできるようになるということだ。
 これにより、みどりの窓口が閉鎖され、駅は全面的に無人化されて駅員の大量解雇が始まるのだ。

五日市駅を拠点に今こそ反撃に立つ

 動労西日本は、冬の一時金削減強行に対し、10月8日に「要求書」を出し、「一方的な減額は認められない。今春の回答通り2・69カ月分を支給せよ」と求めた。11月18日に団体交渉を行った。そして11月27日にストライキで闘う。ストライキの拠点は山陽本線・五日市駅だ。
 一時金削減に黙っているわけにはいかない。一時金だけで終わる攻撃ではなく、社会全体の問題なのだ。JR西日本は「ダウンサイジング経営」を打ち出している。各種の手当廃止を手始めに、大々的な賃下げ攻撃が準備されている。労働者は賃労働しないと生きていけない。一時金も賃金の一部だ。今回の一時金大幅削減は、本当に生活していけなくなるレベルの賃下げだ。今こそ職場から怒りの声を!
 すべての労働者は団結して反撃に立ち上がろう。団結を守り抜けば、労働組合の力は決して小さくない。賃下げを許さず、原則的に団結して闘う動労西日本とともに、職場から声を上げ行動を起こして現状を変えよう!
(動労西日本書記長・山田和広)
このエントリーをはてなブックマークに追加