裁判員制度今こそ廃止を 実施10年 弁護士ら講演集会
週刊『前進』04頁(3168号04面01)(2020/11/02)
裁判員制度今こそ廃止を
実施10年 弁護士ら講演集会
(写真 斎藤貴男さんが「コロナと新自由主義―『新しい生活様式』のねらい」を講演【10月22日 東京・千代田区】)
10月22日、東京の弁護士会館講堂クレオで「コロナ危機/今こそ廃止を!裁判員制度/10・22集会」が、「憲法と人権の日弁連をめざす会」と「裁判員制度はいらない!大運動」の共催で開催されました。
憲法と人権の日弁連をめざす会代表の武内更一弁護士が、「コロナにより裁判員制度の命運は尽きようとしている。私たちの手で廃止させよう」と主催者アピール。さらに学術会議に対する菅政権の攻撃を絶対に許さないと弾劾しました。
ジャーナリストの斎藤貴男さんの講演「コロナと新自由主義―『新しい生活様式』のねらい」には多くの重要な示唆が含まれていました。「新しい生活様式」というのは単にコロナ対策ではなく、いわゆる「スーパーシティ構想」まで視野に入れた、デジタルを利用した監視社会が構想されていること、菅政権が掲げる「デジタル庁構想」とは、社会保障の変質化=「自助・共助・公助」に加え監視国家化がもくろまれていることが指摘されました。
そもそも日本政府は、データは偽造し、公文書は改ざんし、議事録は作成しないという全く信用できない政府であり、極めて危険。引用された歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリの警告「企業や政府がそろって生体情報を収集し始めたら、私たちよりもはるかに的確に私たちを知ることができ、そのときには、私たちの感情を予測することだけではなく、その感情を操作」することが可能になるという指摘は、最も警戒すべきことでしょう。
9・4日弁連総会・発議者の山本志都弁護士は、借金漬けでのスタートを強要されてしまう弁護士の司法修習生時代の「貸与金」返還請求問題とその闘いを報告しました。
船橋二和病院労組の飯田江美委員長は「医療を社会保障として取り戻そう」と7月10日のストライキ決起を報告。世界中のエッセンシャルワーカーを鼓舞した勢いが感じられました。
主催者から、裁判員制度はいらない!大運動の呼びかけ人である高山俊吉弁護士がアピールし、「裁判員候補者の出頭率はついに20%を割り込んだ。さらにコロナ危機が襲った。法廷にも評議室にも窓などなくドアも閉じられている。誰が好んで『3密の裁判所』に出かけて行くだろうか。裁判員制度実施から10年で明らかになったことは、①暗黒の司法は何一つ変わらなかった。②制度は人権保障司法への道程だという見方が破産した。③多くの国民が制度に反発して抵抗を強めている」と喝破しました。
裁判員制度廃止!最高裁デモは、11月13日(金)正午、日比谷公園霞門出発です。
(弁護士・森川文人)