コロナ便乗の解雇許すな 大幅賃下げ、一時金ゼロも横行 労働組合に結集し反撃を
週刊『前進』04頁(3168号02面01)(2020/11/02)
コロナ便乗の解雇許すな
大幅賃下げ、一時金ゼロも横行
労働組合に結集し反撃を
大量解雇、大幅賃下げの攻撃はますます激しくなっている。労働者は団結して闘わなければ生きていけない。資本の攻撃は厳しいが、それは労働組合運動を根本からよみがえらせる条件を日々、拡大している。
全日空、冬の一時金ゼロ、年収3割削減
コロナに便乗した大リストラを、JRと同様のやり方で強行しているのが全日空(ANA)だ。同社は10月初旬、1万5千人の正社員を対象に、冬の一時金を支給せず、月例給を5%削減すると労組に提案した。夏の一時金が半減されたことと合わせ、賃金は年収で3割もダウンする。この提案と同時に全日空は、就業規則を改定して副業を認めることを打ち出した。複数の仕事を掛け持ちしなければ生きていけない水準に、賃金を徹底的に切り下げるという通告だ。
10月末になって全日空は、今年度の連結純損益が過去最悪の5100億円の赤字になるという見通しを発表し、併せて今後2年間で4千億円のコストカットを行うと表明した。長距離国際線用の大型機を25〜60機減らし、運航便数も大幅に削減するという。
これは労働者の首切りに直結する。全日空は2022年度までにグループ全体で約3500人の労働者を削減する方針だ。
「解雇もあり得る」という脅しによって、一時金ゼロと3割賃下げを一気に押し通そうとしてきたのだ。
基幹産業で数百人規模の大量解雇が
2008年のリーマン・ショックの時の「派遣切り」を上回る大量解雇が、現に進行しつつある。日立金属は約3200人の労働者を削減すると発表した。定年退職で780人、「早期退職」の名による実質解雇で1030人、非正規労働者の雇い止めで960人を減らすという。
シャープの三重工場では、大半がフィリピン人の派遣労働者約100人に解雇予告がなされた。
住友電工の孫会社・住電デバイスマイクロアセンブリは長野工場を閉鎖して約140人を解雇する。
休業手当も払われずに休業させられている膨大な労働者も、実質的には解雇された状態と変わらない。
こうした大量解雇と並行して、冬の一時金を当面の焦点に、賃金を大幅に切り下げる攻撃も激化している。JR西日本がその先頭に立った。同社は2・69カ月分で妥結していた年末一時金に関する労働協約を覆し、一時金の支給月数を1・5カ月分へとほぼ半減する新たな協約を御用労組に押し付けた。
同様の攻撃は至る所で起きている。三菱自動車は冬の一時金について、春闘で妥結していた水準から2カ月分減らすことを労組にのませた。トヨタグループの部品大手デンソーも、妥結済みの協約を撤回して冬の一時金を減額した。
団結し資本と闘う労働組合こそ希望
この夏、医療や介護の職場で一時金ゼロや大幅減額がなされたことに社会の怒りが広がった。コロナ感染防止のための命がけの労働を担った人々にまともな賃金を払わない・払えない国家や経営に対し、「こんなものは必要なのか」という根本的な疑念が突き付けられた。だが資本は今、基幹産業とされてきた領域においてこそ、大幅賃下げと大量解雇を意図的に貫こうとしている。それは、「大企業の正社員でも一時金なしは当たり前」「一時金は正社員の特権だ」とすることで、非正規労働者の賃金や労働条件をさらに劣悪化するための攻撃だ。
そんなことを強いられて、労働者は生きていくことができるのか。これを打ち破る道は、労働者が自らの意思で労働組合に結集し、仲間と団結して資本と闘うことの中にある。労働組合にこそ希望がある。