独禁法違反の摘発運動を コンビニ関連ユニオンが記者会見 時短は命かかった問題だ

週刊『前進』04頁(3163号02面02)(2020/09/28)


独禁法違反の摘発運動を
 コンビニ関連ユニオンが記者会見
 時短は命かかった問題だ

(写真 記者会見を行う松本実敏さん【左】と河野正史さん【右】【9月21日 東京・江東区】)


 コンビニ関連ユニオンは9月21日、記者会見を開いて秋以降の闘いの方針を明らかにした。
 司会の鎌倉玲司書記長は冒頭、9月2日に公正取引委員会が出した報告書に触れ、「公取委はコンビニの24時間年中無休の強制が独占禁止法違反にあたる優越的地位の乱用であり、ドミナント(一地域に集中的に出店する経営戦略)も優越的地位の乱用と欺瞞(ぎまん)的顧客誘導にあたるという判断を下し、コンビニ8社に改善勧告を行った。コンビニモデルの変革を求める動きになっている」と口火を切った。
 セブン―イレブン・ジャパン本部社員である河野正史委員長は「9月2日に勧告が出ても、本部社員にはその話が一切ない。24時間営業をやめた時短(時間短縮)の店に対して管理職が『24時間に戻させろ』と今でも平気で言っている。公取委が優越的地位の乱用と言って、内容もかなり踏み込んでいるのに現場は何も変わっていない」と怒りをあらわにした。
 そして、「コロナ感染症の拡大で経営が厳しくなっている店が多い。本部による暴力支配で利益が全くでないあり方にされていることに対して、声を出して実態的に改善させていかなければいけない」と、現場の闘いの重要性を強調した。
 さらに、コンビニ関連ユニオンの1年間の闘いをふり返り、公取委にも毎月申告闘争をしてきたことなどを報告し、「今まで声を上げたら契約解除だと言われてきたが、これも含めて優越的地位の乱用だ」と指摘した。今後の方針について、「オーナーやパート・アルバイト、ドライバー、工場など、コンビニに関わる全ての労働者が団結し、全国的に独禁法違反の摘発運動をこの秋に広げたい」と明らかにし、「申告する仲間を増やし、時短を拒否されたとか、(時短したら)つぎに契約できないとか、具体的証拠をコンビニ関連ユニオンが集めて、苦しんでいるすべての仲間とともに、全力で闘っていく」と展望を語った。
 セブン―イレブン東大阪南上小阪店オーナーの松本実敏(みとし)さんも発言した。
 松本さんは本部の一方的な契約解除に対して、裁判闘争などで闘っている(本紙3158号参照)。
 19日には大阪で「セブンイレブン・松本裁判を支援する会」の結成大会が行われ、100人が参加し大成功した。さらに20日には東京で「松本実敏さんの話を聞く会」が行われ、全国的な支援陣形が拡大している。
 松本さんは「裁判の勝ち負けも重要だが、私が今までやってきたことと本部がやってきたことを裁判を通じてすべて公開していきたい。本部がどうやってオーナーを潰してきたのかを明らかにしていく」と述べ、「なぜ私たちは時短を訴えているのか。それは命がかかっているから。命を守るために私たちは活動したい。夜働いた方がもうかる人はやればいい。選べるようにしたい」と命の問題であることを訴えた。
 そして「本部は24時間営業をやったら得になるチャージ(本部への上納金)のシステムを発表した。それも優越的地位の乱用だと私は思う。時短を始めるとチャージが増額され、人件費が減っても負担が増える。そこにも焦点をあてたい」と語り、「私の裁判は全国のオーナーが奴隷から脱却するための一つの手段だ。コンビニの中に、今の日本の経済のあり方が凝縮されている。ここを変えれば日本全体を変えていける。私の裁判を通して、みんなが立ち上がるきっかけをつくりたい。同じようにオーナーの命を守る活動している人と力を合わせていく」と決意を表明した。
 取材に来た記者は、本部による無断発注や、本部が問題にしている松本さんの店へのクレームの中身などについて質問した。
 会見でコンビニ関連ユニオンは秋以降の闘争方針を提起した。
 ①公取委報告の内容をパンフにまとめ、それを武器にコンビニモデルの変革を実現する。
 ②コンビニ現場での独占禁止法違反事例の摘発運動を全国的に展開する。
 ③公取委が勧告を出したコンビニ8社に対し独占禁止法違反の根絶を求め、とりわけ24時間営業義務化廃止のための契約書改定を求める協議を要求する。
 ④協議実現のために大衆行動を企画する。
 ⑤協議が拒否された場合はただちに公取委に申告する。
 ⑥協議のために自営業者としてのオーナーの団体を立ち上げる。

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松本さん講演会が大成功

(写真 松本さん講演会で、コンビニ被害者やオーナーからの告発が相次いだ
【20日 東京・江東区】)

 記者会見に先立つ20日午前、コンビニ関連ユニオンの第2回大会が行われ、先の闘争方針を確立した。
 午後には「松本実敏さんの話を聞く会」が東京のティアラこうとうで行われ、50人近くが参加した。
 松本さんはコンビニオーナーを始めたきっかけなどを語り、本部がいかにオーナーを苦しめてきたかを実体験を交えながら明らかにした。
 松本さんは「本部はオーナーが死んでもどうでもいいと思っている。私は、命を危険にしてまで24時間営業を続ける必要はないと思う。これはセブン一企業の問題ではない。一人一人の勇気で新しい世界をつくっていきたい」と語った。
 質疑ではオーナーなどから、本部に対する怒りが次々と発せられ、松本さん裁判支援のためのカンパも多数寄せられ大成功した。

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