ベラルーシで労働者が抗議スト 「ルカシェンコ退陣、弾圧・拷問やめよ」 首都で10万人規模の大デモ続く

週刊『前進』04頁(3162号03面04)(2020/09/21)


ベラルーシで労働者が抗議スト
 「ルカシェンコ退陣、弾圧・拷問やめよ」
 首都で10万人規模の大デモ続く

(写真 「ルカシェンコ退陣」を掲げデモ。民衆の怒りは独裁者の後ろ盾のロシア・プーチンにも向いている【9月13日 ミンスク】)

 ベラルーシで9月8日以来、ルカシェンコの退陣を求める全人民的な闘いが続いている。国営工場や国営テレビの労働者が実力で抗議ストライキに立っている。正義は労働者人民の側にある。ソ連スターリン主義の圧政、第2次大戦での犠牲、チェルノブイリ原発事故の被害、ルカシェンコの独裁——。苦難の歴史を覆すべくベラルーシ労働者人民は立ち上がっている。

プーチンが支援融資15億㌦約束

 9月14日、ルカシェンコとロシア大統領プーチンがロシア南部ソチで首脳会談を行った。ルカシェンコは大統領6選を支持し体制が危機に陥ったら武装組織を送ると表明してきたプーチンから具体的な支持の約束を取り付け、後ろ盾があることをベラルーシ人民に見せることを目標とした。プーチンはルカシェンコに応え、経済が悪化しているベラルーシに15億㌦(約1600億円)の支援融資をすると明らかにした。ロシアはベラルーシとの連合国家創設条約、集団安全保障体制、ユーラシア経済共同体を強化することができる。危機に乗じてベラルーシを属国化しようとしている。
 9月13日、5週続けてルカシェンコ退陣を求める15万人のデモが首都ミンスクで行われた。

調整評議会幹部を拘束・追放

 特に今回は、9月15日に結成された調整評議会の執行委員7人中6人が拉致されて国外に追放されたり、国内で拘束されていることへの怒りが爆発した。調整評議会は、暴力(弾圧、拷問、虐待など)の停止と対話による政権交代を求めているが、ルカシェンコはそれを「政権奪取」の試みと決めつけ弾圧している。
 調整評議会のコレスニコワ氏は9月7日に何者かに拉致され行方不明になった。本人が拘置所から弁護士を通じて10日に声明を発表した。拉致された後、「(出国を)断っても無駄だ」「(殺して)バラバラにしてでも国外に連れ出す」などと脅され、死の恐怖を感じたことを明らかにした。その後、頭から袋をかぶせられ、ミニバスでウクライナとの国境へ。力ずくでウクライナ側に押し出されそうになったため、ウクライナの検問所が通過を許可できないよう自らパスポートを破ったという。
 コレスニコワ氏は、大統領選でルカシェンコの有力な対立候補となったチハノフスカヤ氏を支え、選挙後の抗議行動でも象徴的な存在になってきた。
 調整評議会の執行委員で1人残ったノーベル賞作家のアレクシエービッチ氏は9日に声明を発し、「われわれが排除されても代わりに大勢の人がいる。調整評議会ではなく、国全体が立ち上がったのだ」と述べた。ルカシェンコは人民に包囲され孤立している。
 8月15日のチハノフスカヤ氏の呼びかけでベラルーシ中の国営工場でストライキが決行された。御用組合を乗り越え、ストライキ委員会を結成し、数週間にわたり実力で闘っている。

現行法の下ではスト実質不可能

 ベラルーシではルカシェンコが民営化(私有化)にストップをかけたため、国営企業がほぼそのまま残っている。同時に官製御用組合も生き残り、労働者を支配している。自由労働組合、独立労働組合も結成されたが、組合員数1万人程度にとどまる。当局との団体交渉は御用組合との間で行われ、独立労組との交渉では形だけだ。
 ストライキは現行の労働法に基づく限り実質的には実行不可能だ。ストを行うためには、労働争議であるという事実関係を政府が認める必要があり、認められたとしても、ストを実行するためには2カ月間の和解期間を経る必要がある。この間、第三者による和解の道を探ることになる。2カ月経っても和解に至らなかった時にはスト権を行使してもよいということに理論的にはなっている。しかし、多くの除外リストがあり、多くの職種、部門でストが禁止されている。
 ベラルーシの労働者の90%以上が短期の有期契約で雇用されている。そのうち35%が3〜5年、31%が1〜3年、30%が1年未満の雇用契約だ。国家機関の許可がない限り解雇(退職)ができない、事実上の強制労働が行われている。
 今日の闘いは、労働者の権利、労働組合の権利を実力で獲得する闘いでもある。不屈のベラルーシ労働者人民に連帯し闘おう。
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