安倍政権の7年8カ月 憲法違反の戦争政治強行 兵器大量購入、巨額の借金に
週刊『前進』04頁(3161号03面02)(2020/09/14)
安倍政権の7年8カ月
憲法違反の戦争政治強行
兵器大量購入、巨額の借金に
8月28日の安倍辞任表明は、日本中の労働者民衆の政府に対する怒りの高まりに追い詰められ、万策尽きた果てに「逃亡」を図ったものにほかならない。7年8カ月にわたった「安倍政治」の全面的な破産と数々の不正・腐敗の露呈。それに加え、五輪開催を最優先したためにコロナ対応に大失敗したことで、もはや与党・政権中枢内の安倍の求心力も急低下し、このままでは秋の臨時国会で改憲を進めることもできないところに追い込まれていた。安倍や官房長官・菅義偉、自民党幹事長・二階俊博らにとって「安倍辞任」以外に手はなかったのだ。そして今、彼らは破産した安倍政治を一層絶望的に継続するために、「菅後継政権」の成立を急いでいる。
だが、労働者民衆は改憲・戦争と新自由主義の安倍政治——多くの労働者とその家族を困窮と過労死地獄に追い込み、青年から未来を奪い、政権と癒着した一握りの財界や大企業だけに大もうけをさせてきた安倍政権の7年8カ月を断じて許さない。後継首相が誰になろうが、安倍もろとも監獄にぶち込む以外にない。野党のていたらくに助けられて延命を重ねてきた安倍政権の反動政治を、あらためて断罪する。
集団的自衛権の行使を「合法化」
安倍は辞任表明会見で、「迎撃能力を向上させるだけで国民を守れるのか」と述べ、「敵基地攻撃能力」の保有へ政府・与党で協議を加速することを打ち出した。「2020年新憲法施行」の改憲プランを粉砕された安倍は、その巻き返しをかけて憲法違反(それどころか国際法にすら違反)の先制攻撃戦略の導入を後継政権に託したのだ。これまで安倍政権は、日本会議系極右勢力を動員した改憲運動を必死に展開しながら、明文改憲を待たずに憲法9条違反の戦争策動を繰り返してきた。その最たるものが、それまで憲法上不可能とされてきた集団的自衛権の行使を容認した14年7月1日の閣議決定であり、それを法制化した15年9月の安保戦争法の強行である。これにより、個別的・集団的の区別なくあらゆる形態の武力行使が「自衛の措置」の名で合法化され、自衛隊と米軍が一体化して最前線で戦闘を行うことが法律上可能となった。日米安保は文字通り「米軍と共に血を流して戦う〝血の同盟〟」(安倍)へと転換し、自衛隊員は安倍のような腐った政治権力者の命令一つで他国の人々と殺し合いをさせられる立場に置かれたのである。
こうした違憲立法と並行して、安倍政権下で軍事予算の空前の増額が進んだ。12年に4兆7138億円だった防衛費は19年度予算では5兆6861億円(うち補正予算による追加4287億円、米軍関連予算は含まず)へ1兆円近く膨張。すでに購入契約を結んだ高額兵器のローン残高に相当する後年度負担は、13年の3兆2308億円から20年度には年間防衛予算を上回る5兆4310億円にまで膨らんだ。米国防総省すら「欠陥機」と呼ぶF35戦闘機147機(維持費含めて総額約6・2兆円)をはじめ、米政府からのFMS(有償軍事援助)による高額兵器の大量購入契約が進められた。この借金のすべてが国民負担となるのだ。
改憲・戦争への怒りの声高まる
こうした軍事大国化の動きと一体で特定秘密保護法の制定(13年)や共謀罪導入(17年)が図られ、18年7月以来の全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部への常軌を逸した大弾圧が仕掛けられた。沖縄・辺野古への新基地建設の策動が進められ、18年12月には沖合に土砂が投入された。だが、安倍の戦争政治は一つとして「国民的合意」を得て行われたものはなく、すべて世論の過半数の反対や抗議の声を踏みにじって強行された。世論調査では安保戦争法に「反対」の割合は20代が最も高く、全体の7割を超えた。世代を超えて受け継がれた反戦意識を、安倍はまったく解体できなかったのだ。
反戦政治闘争こそ青年・学生が最もストレートに決起できるテーマである。青年の未来をかけ、安倍の戦争政治を断ち切る改憲阻止闘争を切り開こう。