公務員人勧・賃金闘争へ 評価で分断し団結破壊狙う コロナ下の大幅賃下げ許すな

週刊『前進』04頁(3157号02面01)(2020/08/24)


公務員人勧・賃金闘争へ
 評価で分断し団結破壊狙う
 コロナ下の大幅賃下げ許すな

(写真 18秋闘で特区連は11月19日に1300人の大集会をかちとり、ストを構えて大幅賃下げ粉砕の勝利を実現した)


 コロナ下で懸命に業務を続ける公務員労働者への賃下げ・団結破壊の攻撃が始まった。政府は人事評価が低い職員に対する解雇を含む処分の厳格化、一時金の減額率の拡大を求め、秋の人事委員会勧告(人勧)では恐慌下の大幅賃下げが予想されている。これは労働者全体への攻撃となる。絶対反対で闘おう。

「C・D評価」で解雇・減給

 コロナ×大恐慌・大量解雇の情勢下で、公務員の賃金引き下げと、評価制度を使った人事・賃金制度の大改悪が進められようとしている。それは公務員労組の解体と、労働者全体の「解雇自由・賃下げ自由」に至る攻撃だ。
 内閣人事局は6月末、公務員連絡会(自治労、日教組など)に、「勤務成績が不良な職員に対する分限処分の厳格化について」「成績不良者(C・D評価)の改善措置マニュアル」を提示し、総務省は7月22日、自治体に同様の文書を送った。そこでは現行の最下位D評価だけでなくC評価の職員にも「改善措置」を行い、「効果が表れない場合には遅滞なく分限処分(免職・降任・降給)を行う」。さらに「良好でない」職員の勤勉手当(一時金)の成績率上限を83・5%に引き下げる(減額する)厳格な適用を求めた。
 安倍政権は労働条件の改善のために評価制度を使うのではない。逆だ。「定年まで働ける」「毎年昇給する」はずの正規職全員が、評価で脅され、管理職に意見を言うこと自体が困難となる。パワハラや労働組合への不当労働行為も激化する。すでに職場でメンタルの不調で辞めざるを得ない労働者が続出している。これに拍車をかけることは不可避だ。
 「絶対評価」方式でC・D評価の労働者は、現状では全体の0・6%だという。しかしその割合が問題なのではない。職場の業務は職員同士の連携と助け合い、経験を積んだ先輩による若手の指導・育成によって成り立つ。テレワークがありえないのはこの点からも明らかだ。そもそも公務労働は売り上げ額や生産量といった「成果」「ノルマ達成」で測ることなどおよそできない。成果主義・成績主義は福祉など自治体の業務を否定しもうけ主義へと変質させるものだ。
 これに対し、評価制度による「処分の厳格化」は、(非正規職の拡大、民間委託=派遣労働者への置き換えとともに)職場全体を徹底的に分断し、団結を破壊しようとする、極めて重大な攻撃だ。業務は一層回らなくなる。

「処分厳格化」は総非正規化の道

 政府は、現行の5段階評価をさらに細分化して「能力や実績に応じた報酬(賃金)の差を付けやすくする」議論まで始めた。その次に来るのは「相対評価」制度であり、必ず何割かの労働者が下位に落とされることになる。
 この4月から〈1年雇用、試用期間1カ月、毎年試験か評価で振り落とす〉会計年度任用職員制度が導入された。さらに保健所などで、コロナ下でのすさまじい人員不足に対し「非常事態だから」という口実で派遣労働者への切り替え、任期付き短時間職員の拡大などが進められている。それとともに、評価制度で職場の団結を破壊し、「解雇自由・賃下げ自由」にしていく総非正規職化が狙われているのだ。今ここで止めなければならない。

一律賃上げを求め団結を

 コロナ危機で「官民比較が困難」として、人事院・人事委員会勧告(人勧)が出されるのは例年よりはるかに遅く10月末〜11月以降にずれ込むという。
 「経済の戦後最大の落ち込み」が深まり、膨れ上がる「財政赤字」に対し、自民党内では一層の消費税増税の議論まで始まっている。コロナ恐慌下での労働者の大量解雇・雇い止め、リストラと賃下げが日を追うごとに進む中での、公務員労働者に対する賃金引き下げ・団結破壊は、全労働者への賃金破壊・雇用破壊の一層の水路と位置付けられている。攻撃は労働者の分断と団結破壊が核心だ。だから逆に秋季賃金闘争で、正規職・非正規職が一丸となって組合に団結し、賃下げと分断を許さず一律賃上げを求めて闘うこと、民営化・非正規職化絶対反対と一体で闘うことが勝敗を決める。「例年と比べて時間的余裕がない」「冬期一時金の支給時期に影響してしまう」などという屈服の言い訳は通用しない。越年闘争も辞さず、団結を総括軸に全労働者の先頭で闘おう。

ストで闘う組合再生の時

 絶体絶命の危機に立つ安倍政権は、中距離ミサイル配備を核心とする「敵基地攻撃能力」の保有という実質改憲と戦争へ踏み出すとともに、「労組なき社会」に向かってJR労働運動や自治労、日教組などの解体に総力を挙げている。
 しかしコロナ危機は新自由主義の矛盾を白日の下にさらけだした。資本主義は労働者の命までも奪う。命の危機に直面する労働者は階級意識をたぎらせ、青年労働者・学生を先頭に全世界で新たな決起を開始した。8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争の高揚はその始まりである。
 ストライキで闘う労働組合こそ希望である。賃金闘争は、職場の全労働者の生活のかかった課題であり、労働組合の団結の土台となる。まして評価制度の徹底は職場の環境と人間関係を破壊する。労働組合の再生をかけて公務員賃金闘争に直ちに突入しよう。

特区連では昨年超える署名数に

 このコロナ下で労働組合活動が制約を受ける中でも、東京23区職労で構成される特区連(4万人)の賃上げ要求署名は、昨年を500筆以上上回って集まっている。団結と闘いを求める声がいかに強いかということだ。
 特区連と東京清掃労組(4500人)は2018年の秋季闘争で、月1〜2万円という最悪の賃下げ人勧に、ストを構えてこれを粉砕した。各区職労と特区連の行動で怒りが解き放たれ、特区連だけでも組合員数をはるかに超える5万5千筆の反対署名と、労組交流センター派の数百筆のスト要求署名が積み上げられた。組合再生の機運がみなぎり、青年部の再建が進んだ。それ以降も職場闘争の学習会が継続され、都立病院独法化反対の大きな力となっている。
 都労連(3万6千人)は8月、都当局に対し全職員の賃上げを求め、現場係員級などの給料表改悪・昇給引き下げ、地方公務員法改定による定年引き上げで60歳を超えた職員の賃金を7割に下げることに反対することを明確にさせた。闘いをさらに全国で前に進め、全労働者の団結と組合の再生へ闘おう。

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処分の厳格化
・能力及び実績に基づく人事管理を徹底
・下位(C・D)評価1回で「改善措置」
・下位評価が続けば免職・降給などの処分]

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