8・29-30全学連大会へ 学生の団結の力取り戻そう 自治会再建し大学改革に反撃を

週刊『前進』02頁(3156号02面01)(2020/08/20)


8・29-30全学連大会へ
 学生の団結の力取り戻そう
 自治会再建し大学改革に反撃を

(写真 8・6ヒロシマ大行動に参加した全国学生のデモ隊。戦争阻止・核兵器廃絶を訴えて広島市内を行進した)


 8月29〜30日に開催される全学連(全日本学生自治会総連合)第81回定期全国大会に向けて、全学連中央執行委員会が全国の学生に発したアピールを掲載します。(編集局)

社会揺るがす学生運動を

 全学連中央執行委員会から、全国の学生に第81回定期全国大会への参加を呼びかけます。
 全学連は1948年に設立されて以来、日本の社会変革の重要な一角を担ってきました。それ以来70年あまり、社会情勢は変わり、大学のあり方や学生の平均像も変わってきたことは事実です。しかし、それぞれは弱い個の力を団結した大きな力として発揮し、社会を変革していくという全学連が果たすべき役割までもが変わったわけではありません。実際、いまこの瞬間も、米国で香港で欧州で、学生の団結した力が社会を揺り動かしているではありませんか。いま日本でも求められているのは、この力です。
 全学連が現在最も力を入れて取り組んでいるのは、全国規模でこの「学生の社会的力」を復権させることです。大学の就職予備校化・カリキュラム強化や学生の貧困に代表されるように、大学・学生のあり方はこの間大きく変わってきました。国立大学の授業料はこの70年間で約18倍(物価変動を考慮した場合)に膨れ上がっています。有利子奨学金を借りて大学に通う学生は、1998年に比べて約7倍の76万人(2018年時点)となっています。
 これらは、政府が80年代以降、極めて意図的に推進してきた「大学改革」の結果です。政府は「学生の社会的力」を弱体化させた後に、このように大学・学生のあり方を変化させてきました。だからこそ、「学生の社会的力」が課題となっているのです。

コロナ下での大会の課題

 今年の全国大会はコロナ禍の真っただ中での開催となります。コロナ禍は二つの真実を暴露しました。
 一つは、この社会はコロナ以前から崩壊状態にあったということです。実際のところ、社会を破壊したのはコロナではなく、この40年にわたり社会をむしばんできた新自由主義だったのです。あらゆる社会領域への市場原理の導入、その個々人への内面化、個々人の徹底した分断こそが、社会を破壊し尽くしてきたのです。コロナ禍に伴う経済難で退学を検討せざるを得ない学生が4月時点ですでに約2割近くいたという事実は、そもそも学費が高すぎたということを示しています。
 そしてもう一つは、社会を実際に動かし維持しているのは大多数の民衆であるということです。権力者の無策とは裏腹に、実際にコロナに立ち向かっているのは「エッセンシャル・ワーカー(必須労働者)」でした。コロナ危機への大学当局のずさんな対応、そうした中での学生の自主的な対策の動きは、大学も社会とまったく同じ構図にあることを鮮明に示しています。
 こうした状況で開かれる今年の全国大会のテーマは以下の3点です。
 第一に、大学改革をめぐって全国大学の中で最も鋭く政府・大学役員会と学生との対立が表面化している京都大学において、湊長博新総長体制を迎え撃ち、政府・大学役員会に大学改革を断念させる闘いの方針を確立することです。京大学生運動は昨年秋以来、処分撤回運動を基盤に様々な領域で飛躍的前進を遂げました。この前進を踏まえ、大学改革を体現した湊新総長体制に正面から立ち向かい、これを打ち倒す闘いをつくり上げなければなりません。そして、処分撤回運動を軸に闘ってきた京大学生運動には、それを実現しうるだけの力があります。京大で湊体制打倒を実現し、大学改革への全国的な反転攻勢の出発点としようではありませんか。
 第二に、コロナ禍で進んだ学生自治会再建運動を全国各地で推し進めることです。コロナ禍で暴き出された大学の矛盾に対して、学生は各地で学費減免運動に立ち上がっています。その運動の中には、授業というサービス購入者としての消費者運動のようなものもありつつも、大学のあり方を問い、学生の社会的力を樹立する運動、すなわち学生自治会を再建・発展させる運動として進行している事例も複数あります。
 大学当局はコロナ禍を利用して学生活動への規制強化を狙ってきましたが、それを学生自治会の再建・発展へと転化した意識的な取り組みは極めて重要です。こうした運動を担う学生から真摯(しんし)に学び、秋学期開講と同時に、コロナ危機を学生自治会の再建・強化へとつなげていくための準備を行いたいと思います。
 第三に、政府が加速させている大学改革をていねいに学び、反転攻勢の土台とすることです。全学連は1980年代以来、新自由主義的大学改革と闘い続けてきました。各大学で起こるさまざまな問題、学生や教員に対する抑圧を大学改革の問題として捉えることで、大局的に各大学の現状を捉え、問題に立ち向かうことができたのです。しかし、政府はいよいよ80年代以来の大学改革を加速し完成させようとしています。大学改革はこれまでとは次元を異にする段階に入ったのです。現在進行中の大学改革と政府の狙いをしっかりと押さえることで、大学改革への反撃を実現していきます。

活発に議論し共に行動を

 全学連の全国大会は、大学内での活動に重点的に取り組む学生、街頭での政治運動に取り組む学生、理論活動を重視する学生、そして問題意識を持ったものの何をするべきか迷っている学生、すべての参加者に対してそれぞれ新しい視点と方向性を指し示すものとなるはずです。普段はこうしたそれぞれ別個の活動に取り組む学生が集まり論議するからこそ、これまで見えてこなかった問題やあいまいだった方向性が鮮明になるのです。そして、全体を束ね上げる方向性の下で、大会を新たな皮切りに共に行動していこうではありませんか。
 改めて、あらゆる学生に全学連全国大会への参加を呼びかけます。

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全学連第81回定期全国大会

 8月29日(土)、30日(日)
 参加費1千円
 ※今年は新型コロナウイルス感染症との関係で、会場は非公開となっています。
 連絡先 zengakuren1948@gmail.com

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