香港 国安法弾圧に不屈の闘い 体制崩壊におびえる中国・習政権
香港
国安法弾圧に不屈の闘い
体制崩壊におびえる中国・習政権
香港政府は、6月30日に制定・施行した国家安全維持法(以下、国安法)による労働者民衆への暴力的な弾圧に手を染めている。これに対する怒りと闘いが継続して爆発している。
香港警察はすでにデモ以外で学生団体の指導者ら4人を国安法違反で逮捕し、海外に逃れた民主派人士及び米国籍の民主活動家を指名手配。そして8月10日、民主派メディアとして知られるリンゴ日報の創始者・黎智英(ジミー・ライ)氏とその息子ら7人を国安法違反で逮捕し、香港警察の国安部(国安法で新たに設置された公安警察)が会社を家宅捜索した。「外国勢力との結託」が罪とされ、最高刑は終身刑である。
リンゴ日報社の労組は直ちに抗議声明を発した。「警察のメディアに対する威嚇と激しい報道の自由への侵害行為を徹底的に弾劾する」とし、「警察が新聞社を捜索するのは香港の歴史上、未曽有の重大事件だ。......歴史に残るこの事件は香港の報道の自由が危殆(きたい)に瀕(ひん)していることを示しているが、全労働者が職場を守って最後まで闘い抜くことを重ねて宣言する」と、不屈に闘う決意を表明した。
さらに同日、日本語を独学で学び日本の人々とも交流をしていた青年民主活動家の女性・周庭(アグネス・チョウ)氏ら3人がやはり「外国勢力との結託」の罪で逮捕され、この日の逮捕者は10人に上った。
8月6日には、今年の六四天安門事件の集会に参加したことを理由に民主活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏や香港職工会連盟事務局長の李卓人(リー・ズーレン)氏ら24人の起訴が強行されている。
9月立法会選挙も1年間延期に
こうした不当極まる激しい弾圧は何よりも、中国政府と香港政府が香港の労働者民衆の闘いに追いつめられていることを示している。9月に予定されていた立法会(議会)選挙を前に7月に行われた民主派の予備選挙には61万人を超える人々が参加し、香港政府と国安法への怒りを突きつけた。この選挙での親中派の敗北を恐れた香港政府・林鄭行政長官は再び緊急条例を持ち出し、行政長官の独裁で選挙を1年間延期すると決定した。選挙延期はブルジョア法的にも異例であり、香港政府のすさまじい体制的危機を示すものだ。
一方で、米中対立の激化の中で、アメリカ帝国主義とともに中国スターリン主義・習近平政権も危機を深めている。米トランプ政権が香港の国安法に対して制定した「香港自治法」は、香港の自由や自治を侵害した個人や団体(企業)を制裁し、それらと取引する金融機関にドル取引停止などの制裁を加えるものだ。これは中国の体制と経済を締め上げるが、同時に世界の金融機関に対して米国経済圏か中国経済圏かの選択を迫り、国際企業の二分化を推進するものとなる。国安法と香港自治法は米中対立を激化させ、ブロック化と争闘戦を促進させるのだ。こうした状況の中で、習近平政権と香港政府は、体制の崩壊を恐れて香港の労働者民衆への弾圧をエスカレートさせているのである。
人生かけて闘う青年と連帯を!
黎智英氏、周庭氏らへの不当逮捕に抗議して、11日夕方に各地の商業ビルでの「みんなで歌おう」行動が呼びかけられた。警察は催涙スプレー乱射で弾圧したが、民衆は徹底的に抗議の意をたたきつけた。その後2人は深夜に保釈されたが、香港政府は起訴に向けて捜査を進めている。闘いはこれからだ。なお、11日のリンゴ日報を多くの人々が買い求め、売り上げは普段の5倍となった。
さらに、新型コロナの感染が再拡大する中、中国政府は「防疫」を理由に香港へ人員を派遣し、全住民へのPCR検査を行おうとしている。中国政府の狙いは香港住民のDNA採取ではないかと疑われており、激しい抗議行動が闘われている。8月4日には、検査を行う研究所の建設が予定されている大埔太平工業団地で、地元の労働者や区議らによる反対行動が11人の逮捕も辞さずに闘われた。
未曽有の弾圧の中でも、香港の労働者民衆は怒りを倍加させ必死の闘いに立ち上がっている。国際連帯で闘い抜こう!