団結ひろば 投稿コーナー
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ポテトサラダをめぐる謎
東京 佐々木舜
少し前に、スーパーで買い物をしていた子ども連れの女性に対して、高齢の男性が「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」などとうそぶいた場面を目撃した人のツイートが話題になった。私も読んでショックを受けたうちの一人だ。
これに対して、「ポテトサラダを作るのがどれだけ大変か知らないのか」とか、「自分で作ったことがないからそんなことが言えるんだろう」といった書き込みが多く寄せられていた。もちろんそうだ。特に少量つくるのはとても面倒だ。どれも極めて良心的なコメントばかり。でも......この違和感はなんだろう? そう。「母親である」ことと「料理を作る」こととが、切り離せない要素として想定されているのではないか。「料理は母親の仕事」という、悪気のない前提があるのではないか。子ども連れの買い物客が男性であっても、同様の言葉が浴びせられたのだろうか?
子どもをもつ女性が労働者であっても、「専業主婦」であっても、1日が24時間であることは変わらない。限られた時間を何に使うかは、本人と家族が決めることだ。一人の人間を「母親」という枠に閉じ込めるのは誰のため?
「日本の家庭料理に求められる水準は高すぎる」といわれる。しばしば理想的に描かれる「ていねいな暮らし」も、あらゆるものを手作りすることが戦時下に官民あげて奨励された歴史と無関係ではないらしい。
ポテトサラダを作り、運び、販売する労働者の仕事が、そして、時間と引き換えにそれを買う選択をする人々の生き方も、尊重される社会にしたい。
『国家と移民』を読んで思う
東京 伊集院 勉
ベストセラーになっている『国家と移民/外国人労働者と日本の未来』(集英社新書)を読みました。入管問題・外国人労働者問題に関心のある方はもとより、労働組合運動を担うあらゆる労働者が参考にすべき本だと思いました。
著者の鳥井一平氏は全統一労働組合出身の移住連(移住者と連帯する全国ネットワーク)代表理事で、長年、外国人労働者の闘いにかかわってきた組合活動家です。今春、NHKのドキュメンタリー番組にも登場しました。争議で大やけどを負うなど自ら体を張って闘ってきた経験とデータに基づく現場からのレポートです。日本資本主義の労働政策と入管体制の位置、そのもとで「奴隷労働」を強いられる技能実習生や留学生などの置かれている許しがたい現状と闘いについて、労働組合運動の立場から書かれています。資本の側が簡単に門前払いできない労働法・労働組合法を武器に、多くの外国人労働者を組織して闘いを繰り広げてきたことの意義は大変大きいと思います。
私自身、合同労組でクルド人難民やフィリピン、バングラデシュ出身の労働者の労災や賃金未払い、退去強制問題などにかかわった経験があります。そこでも感じたことですが、「外国人労働者問題が日本の労働環境の劣悪さをあぶり出した」こと、だからこの問題を今日の新自由主義の総非正規職化攻撃の中で捉え、全労働者・労働組合の正面課題とすること。この本も触れている民主労総の闘いに続き、「労働者の権利や人権というのは国境の前で立ちすくんではいけない」「国を超えて万国の労働者が団結する」ことがとても大事だと感じました。
コロナ下の大量解雇攻撃が、日本人労働者とともに多くの外国人労働者を直撃しています。労働者階級として固く団結し、闘っていきましょう。
西川重則さんの逝去を悼む
改憲・戦争阻止!大行進三多摩 K
戦後75年の8月15日がやってくる。「とめよう戦争への道!百万人署名運動」事務局長の西川重則さん(写真)が7月23日に急逝された。昨年けがをされて、熱海で療養中だとお聞きしていた。とても残念でならない。
重そうなカバンにご自身の著書や辞典類、百万人署名の署名用紙を詰め込んで、国会傍聴に通ってらした姿が思い出される。毎年の「8・15集会」で国会報告をされていた。「国会議員が憲法をまったく知らない。悪法がどんどん国会を通っている」と怒りを込めて告発されていた。
一昨年11月に西川さんの「戦争は国会から始まる」という学習会を開催した。終戦の1カ月後に、お兄さんがビルマで戦病死した。「兄は天皇に殺された」の思いが西川さんを反戦運動に駆り立てたのだろう。
2015年9月19日未明、安倍政権が安保・戦争法を強行採決した時、西川さんは国会の中の傍聴席におられた。小柄な身体で、改憲と戦争に突き進む安倍政権に仁王立ちしていた。「憲法に習熟しなさい」という西川さんの声が今も聞こえてくる。民主主義を語ることさえもやめた安倍政権への怒りがそこにある。西川さんに心から哀悼の意を表し、11・1労働者集会に進んでいこうと思う。