2020年夏季アピール 新自由主義 終わらせる時 職場からストで闘う団結組織しコロナ危機を革命に転化しよう 改憲阻止・安倍打倒 11・1労働者集会へ
2020年夏季アピール
新自由主義 終わらせる時
職場からストで闘う団結組織しコロナ危機を革命に転化しよう
改憲阻止・安倍打倒 11・1労働者集会へ
はじめに
2020年冒頭から半年余りで世界感染者1600万人以上、死者65万人以上に達した新型コロナウイルス感染症は、早くも第2波的拡大の局面を迎えた。新型コロナの発生とパンデミックは、全地球上で労働・社会そして自然生態系そのものを破壊しながら延命してきた新自由主義の産物にほかならない。〈コロナ感染症と大恐慌の一体化〉という形での新自由主義の大崩壊は、何よりも戦後帝国主義の基軸=アメリカ帝国主義を直撃している。その中でトランプ政権の対中国対決政策がエスカレートし、米中対立を軸とする世界の分裂と抗争、世界戦争・核戦争の危機が迫っている。これに対し、アメリカ発のBLM(ブラック・ライブズ・マター)運動をはじめ国際階級闘争の革命的内乱的な大高揚が始まっている。今まさに進行していることを一言で言えば、革命情勢の本格的到来である。
革共同は春季アピール(本紙3128号)において、この新たな情勢の到来を真っ向から見据え、「コロナ危機を革命へ」のスローガンを掲げた。そしてこの革命を担う主体の形成に向け、矛盾の集中点である医療現場での闘い、コロナ大量解雇との闘い、改憲・戦争阻止の闘いを展開し、国鉄決戦と関生弾圧粉砕の闘いを軸に階級的労働運動再生への挑戦を進めてきた。それはアメリカや韓国をはじめ世界の労働者階級の闘いと一体であった。
コロナ危機を革命へと転じる主体としての労働者階級は全世界で急速に成長しつつある。このことを、われわれは職場の怒り、階級全体の怒りと結びついてきた自らの実践を通して深く確信することができる。対してブルジョアジーは、世界の富と生産力を独占しながら感染拡大を止めることもできず、トランプのように世界中に分断・対立と戦争の火種をまき散らし、安倍のように無様な破産と腐敗をさらけ出すしかない。
少数者による多数者の支配と搾取にもとづく「最後の階級社会」としての資本主義、先住民虐殺や黒人奴隷制などあらゆる非人間的暴力と略奪を起源とする資本主義400年の歴史を、労働者階級の自己解放闘争としてのプロレタリア革命によって今こそ断ち切らなければならない。「プロレタリアはこの革命において鉄鎖以外に失うものは何もない。プロレタリアが獲得すべきは全世界である。万国のプロレタリア、団結せよ!」(マルクス・エンゲルス『共産党宣言』)。この共産主義革命の宣言が全世界の労働者階級の共通のスローガンとなる時が来ている。
コロナ×大恐慌と対決し、資本と国家に対して渦巻く怒りの声を組織して、11・1全国労働者総決起集会1万人大結集をかちとろう。ここから「コロナ危機を革命へ」の道を開こう。
Ⅰ コロナ危機との徹底対決貫き革命的情勢への確信つかんだ
安倍政権による4月の緊急事態宣言発令から5・1メーデー、7・26国鉄集会に至る過程において、われわれは〈コロナ×大恐慌〉情勢に立ち向かい、医療をはじめとする全国の職場から階級的労働運動再生の巨大な可能性をつかんできた。コロナ危機は新自由主義によって社会がいかに破壊されてきたかを暴いたが、この過程における労働者階級の決起は、この社会を動かしている主人公が本当は誰であり、変革の主体は誰なのかを明らかにした。
だが、現実にはこの社会を動かしている労働者の多くが、食うや食わずの超低賃金と不安定雇用のもとに置かれている。そしてこの社会の単なる「寄生者」にすぎないという正体を暴かれたブルジョアジーと支配階級は、コロナ危機を投機の機会ととらえ、最新の情報・金融技術を使って莫大(ばくだい)な利潤を懐に入れている。この階級社会の現実が鮮明に浮かび上がる中で、労働者は全世界で急速に階級意識にめざめ、その誇りを取り戻し、社会の真の主人公となるための闘いを開始した。
その闘いは日本でも大きく動き出している。コロナであらわになった医療の現場をはじめとする職場の矛盾に対して、小なりといえども職場の怒りを束ねて具体的闘いをつくりだしてきたことが、この過程での決定的な前進だ。「激動のコロナ情勢下の4カ月の闘いの経験、コロナが暴き出した新自由主義の本質、労働者階級の意識の変化」(合同・一般労組委員会アピール、本紙3148号)は巨大である。この労働者階級の闘いに学び、そこから普遍的な総括と教訓を引き出し、「何よりも団結して闘うことこそ労働者の生きる道であることを具体的な闘いをもって示すこと」(同)を現在の党の最重要の任務としなければならない。
われわれは春季アピールで「コロナ危機を革命へ」を掲げ、その革命を実現する主体としての労働者階級の形成に向かって、「階級的労働運動の四つの課題」を切迫した当面の闘いの課題とした。以下、この四つの課題の現在における到達地平を確認していきたい。
⑴医療労働者の実力決起が開いた労働運動再生への扉
第一の課題は「新型コロナウイルス感染症の拡大を阻止する最前線の現場にいる医療労働者を守りぬくこと」であり、これは階級的労働運動の現在の「特別の任務」であると確認した。この実践は、5・1メーデーから7・26国鉄集会にいたる過程において、労働者階級全体の闘いの軸となってきた。それは「マスクやガウンさえも金もうけの対象にするほど腐りきった資本主義・新自由主義に対して、医療・介護・福祉の労働組合が中軸に据わり、プロレタリア独裁に向かって地域丸ごとを束ね本来の医療福祉を取り戻す闘い」(医療福祉労働者委員会アピール、本紙3150号)として、わが同志たちが日常的に活動する拠点職場を中心に闘われてきた。それは新自由主義の最大の破綻点である医療・福祉の現場から、全労働者階級の怒りに火をつけ、階級的労働運動を再生させる突破口をつくりだした。
医療労働者の安全・命・生活を守り、保障することなくして、コロナ感染患者の命を守り、感染拡大を阻止することは絶対にできない。だが新自由主義はこの医療を営利事業化し、金もうけの手段にし、医療労働者の安全と生活を徹底的に犠牲にしてきたのだ。そして日本帝国主義・安倍政権は、このコロナ禍のさなかに「地域医療構想」による全国440の公立・公的病院の再編・統合のための予算を計上し、都知事・小池百合子は都立病院の地方独立行政法人化=民営化攻撃をしかけてきた。今まさに爆発的に進行中の第2波がどこまで広がるかもわからない中で、公立病院の統廃合を進め、医療費や社会保障費をさらに削減しようというのだ。
院内感染の危険や過重労働を強いられ、それゆえに社会的な差別・分断攻撃にもさらされながら働いてきた医療労働者には、「感染症対応による経営悪化」を口実に夏の一時金の大幅減額、あるいはゼロ化の攻撃がかけられた。それは全国の医療機関の3分の1にも及ぶ。医療労働者の怒りは限度を超え、一斉退職やストライキが始まっている。この医療労働者の闘いは、そもそも人間の命と健康を守るべき病院がなぜ営利事業化され金もうけの手段にされているのか、赤字だったら病院はつぶれていいのか、医療をなくしていいのか、という根本的な問題を提起している。そしてこの「命より金」の逆立ちした新自由主義の世の中を根底から変革する闘いに共に立ち上がることを呼びかけている。わずか数人から始まった医療労働者のストライキ決起は、医療現場の労働者の怒りを解き放ち、全産別の労働者、そしてすべての人民大衆の社会的共感、支持、連帯を呼び起こしている。それはまさに新自由主義を打倒する階級的労働運動復権の巨大な可能性を示したのだ。
他方で安倍政権は、コロナ第2波を前に1兆3500億円もの予算を投じて「Go To トラベルキャンペーン」を強行し、米国製兵器の爆買いや敵基地攻撃能力保有の大軍拡予算を確保しようとしている。この期に及んで東京オリンピックの来年開催にも固執している。行政を通じて組織される「医療従事者に拍手を」のキャンペーンは、いまだにマスクも防護服も不足する医療現場の実情を何一つ解決せず、医療労働者に極限状態での一層過酷な労働を強制しようとするものであり、「戦場の兵士に感謝せよ」という戦争動員のイデオロギーに通じるものだ。
医療労働者の闘いを絶対に孤立させずに守りぬき、社会的な支持・連帯の運動をもっと大きくつくりだし、全国の医療・福祉産別の労働者の決起を広げていこう。この運動はコロナ危機下においてすべての産別、地域で階級的労働運動を再生させ、つくりだしていく基軸的運動となる。党はこれを階級的労働運動の「特別の任務」として一層意識的に位置づけ、医療現場の労働者の格闘と一体となって、その闘いの発展を支えぬくために闘わなければならない。
⑵コロナ解雇・大失業攻撃に労働組合への組織化で闘う
第二に、コロナ解雇・大失業攻撃に対して、コロナ対策本部を立ち上げた合同・一般労組全国協議会を先頭に、労働組合への組織化をもって闘ってきた。
コロナによる解雇は、厚生労働省の統計では2月以降、7月21日までに3万6750人になったとされている。だが、実際にはそんな数にとどまらないことは明らかだ。総務省が発表した4月の労働力調査では、非正規労働者の数は前年同月比で97万人減、緊急事態宣言が出される前の今年2月と比べると150万人も減っている。少なくとも100万人規模の労働者がコロナ危機によって職を失ったと見るべきだ。さらに4月時点で休業していた労働者は597万人に上る。今後、これらの労働者も失業に追い込まれる可能性が高い。
コロナ感染症は明らかに第2波の拡大期に入っている。緊急事態宣言が解除された直後、資本や安倍政権は「経済のⅤ字回復」と盛んに唱えたが、もはやそんな言葉も口にできない。コロナ以前の生産のあり方や消費のパターンは絶対に回復しない。資本主義が続く限り、そのことが引き起こす矛盾は、労働者階級に押しつけられる。膨大な数の労働者が路頭にたたき出される情勢は、今夏―今秋からさらに激しく進む。
資本は、労働者が大失業にたたき込まれる状態を自己の生き残りの条件にしようとしている。大手人材派遣会社パソナの会長で新自由主義攻撃を最も強硬に唱えてきた竹中平蔵は、コロナで膨大な数の労働者が解雇されているさなかに、雇用調整助成金で雇用をつなぎとめるべきではなく、徹底して雇用を流動化しろと発言した。経済再生担当相の西村康稔も、コロナ感染が第2波に入る中で、テレワークの一層の推進を企業に求め、そのためには「時間ではなく成果に基づく賃金への移行」が必要だと強調した。かねてから狙っていた解雇の自由化と賃金体系の抜本改悪を、コロナ危機の中でこそ貫徹しようとしているのだ。
さらに安倍政権は、最低賃金をめぐっても資本の側に完全に立って、厚労省の中央最低賃金審議会に「現状維持が適当」という答申を出させた。高くても時給1000円そこそこという水準が「適当」というのだ。
だが、コロナ危機の中でこそ、労働者は生存をかけて立ち上がる。これまで労働組合運動を全く知らなかった労働者が労働組合に結集し、仲間と団結して、資本と闘うという事態は、これから無数に起こりうる。階級的労働運動を、その原点からよみがえらせることができる情勢は、まさに眼前にある。こうした団結形成の先頭に立ち、一人一人の労働者と結んでその決起を共に担うことが求められている。それは、労働者階級を階級として組織するために党が担わなければならない基礎的な任務にほかならない。
⑶緊急事態宣言下での闘争圧殺と「挙国一致」打ち破る
第三に、緊急事態宣言発令をテコとした改憲攻撃と「挙国一致」的イデオロギーを、労働者階級の決起ではね返したことである。何より5・1メーデー闘争を東京、大阪をはじめ全国で断固闘いぬいたことが決定的だった。連合本部などが軒並みメーデー集会を中止する中で、医療労働者を先頭に「コロナ危機下の今こそメーデーの復権を!」と呼びかけ、東京では厚生労働省・首相官邸前行動に400人が決起、大阪では関西生コン支部とともに150人で集会・デモを打ち抜いた。さらに5・15沖縄闘争を沖縄現地と全国各地で統一行動として闘った。
そして5月下旬には、検察庁法改悪反対のツイッターデモが1千万件以上に広がり、安倍人事の要であった東京高検検事長・黒川弘務を辞任に、さらには検察庁法改悪案を廃案に追い込んだ。6月には、全米・全世界のBLM運動と連帯する数千人規模のデモが青年を先頭に日本でも闘われた。改憲・戦争阻止!大行進が呼びかけた「安倍退陣!6・14新宿デモ」には、初めてデモに参加した人が何人も集まり、これまでの枠を打ち破る共同行動が実現した。さらに米軍の横田基地や横須賀基地へのデモ、木更津へのオスプレイ配備抗議闘争、自衛隊中東派兵反対の舞鶴現地行動なども連続的に闘われた。このような闘いの広がりが安倍の改憲策動を打ち砕き、国民投票法案の審議入りも阻止したのだ。
労働者民衆の闘いで戦争を阻止するという原則を貫いて闘おう。地域の運動と労働組合が結びつき、共に闘う中で、新自由主義と対決する力をつくりだそう。青年・学生の創意あふれる闘いを共に組織しよう。
⑷国鉄と関生で反転攻勢に立つ力を築いた7・26集会
第四に、国鉄1047名解雇撤回闘争と全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部への大弾圧粉砕の闘いで、階級的労働運動の大発展をつくりだしていく力が7・26国鉄集会に結実した。7・26集会は、国鉄分割・民営化と関生弾圧という新自由主義攻撃をその核心部において打ち破り、階級的労働運動の再生・復権を大きく前進させる場となった。
2010年4・9政治和解による国鉄1047名解雇撤回闘争の最後的な解体攻撃に抗して、同年6月に国鉄闘争全国運動が結成されてから10年。この闘いの地平が今こそ生きる時だ。7・26集会はこのことを確信をもって明らかにした。
動労千葉と関生支部、全国金属機械労組港合同の3労組を先頭とする全国の労働者は、日本における新自由主義の始まりであった国鉄分割・民営化、1047名解雇をめぐる闘いに徹底的にこだわり、国鉄闘争を結集軸にして新自由主義に対抗する労働運動をつくりだす挑戦を必死に続けてきた。動労千葉・争議団・動労総連合1047協議会と全国運動は、国家的不当労働行為を合法化するためにつくられた国鉄改革法の壁(「解雇は国鉄がやったこと、JRは新規採用しただけ」という大ペテンでJRに不当解雇の法的責任はないとする)をついに打ち破った。
国労や全動労はこの改革法の壁を前に解雇撤回を断念し、4・9政治和解で国家的不当労働行為を不問に付す「人道的解決」での政治決着を選んだ。だが動労千葉は、どんなに困難であろうとも国鉄分割・民営化絶対反対を貫き、1047名解雇撤回闘争を継続し、階級的労働運動再生の闘いの結集軸を守りぬく道を決断した。そしてついにこの不屈の闘いが「JRに法的責任なし」の壁を突き崩す決定的真実を暴き出したのだ。それが「①動労千葉組合員は当初採用候補者名簿の原案に記載されていた、②にもかかわらず、不当に差別する目的で急きょ名簿不記載基準が策定され排除された、③それがなければJR東日本に採用されたと言いうる」という2012年東京地裁・白石判決であり、それを基本的に踏襲し確定させた2015年の最高裁決定だ。排除の基準の策定は、JR設立委員会の斎藤英四郎委員長が命じていたことも突き止め、選別解雇の不当労働行為の責任の所在がJRそのものにあったことも明らかにした。「JRに法的責任なし」は完全に崩壊したのだ。
不当労働行為が明らかになった以上、解雇撤回・原職復帰以外にありえない。国鉄分割・民営化攻撃の真実を暴き、勝利まであと一歩のところまできた。コロナ危機の中で、日帝・新自由主義が国鉄分割・民営化体制=JR体制の破綻とともに大崩壊を開始した今こそ、「国鉄闘争勝利!」を掲げ階級的労働運動をよみがえらせよう。
関生弾圧粉砕の意義
関西生コン支部は、2018年7月に始まった戦後労働運動史上最大というべき大弾圧(89人を超える逮捕・起訴・勾留)を打ち破り、ついに5月29日に武建一委員長(勾留641日)、6月1日に湯川裕司副委員長(同644日)を奪還して反転攻勢を開始した。関生弾圧は、ストライキで闘う労働組合を解体し、「労組なき社会」化を一気に進めようとする大攻撃である。それは改憲=戦争国家化に向けた労働者階級全体への攻撃にほかならない。
だが、この弾圧は広範な人々の危機感と怒りを高め、映画「棘(とげ)」の上映会運動などを通じて全国各地に関生弾圧と闘う支援陣形が急速につくりあげられていった。3労組共闘、国鉄闘争全国運動、全国労組交流センターは、全国の関生支援運動と共に闘ってきた。弾圧を粉砕し、新たな闘いの陣形をつくりだしたことは、資本・国家権力と労働者階級との力関係を大きく転換させていくことになる。「あきらめずにやれば、必ず世の中は変わる。団結できる条件が拡大している」という保釈・奪還された武委員長の言葉のとおりだ。関生弾圧との闘いは労働者階級の根源的決起を生み出している。国鉄闘争と一体で関生弾圧を完全粉砕し、さらに関生型の産別労働運動の拡大に挑戦していこう。
⑸今秋11・1労働者集会を社会変革運動の出発点に
11月1日には日比谷野音で、動労千葉・関生支部・港合同の3労組と国鉄闘争全国運動が呼びかける全国労働者総決起集会が開催される。全国、全世界の労働者民衆の怒りを大きな社会的力として登場させよう。
関西生コン支部の仲間と団結し、関生弾圧を許さない運動を職場、地域に拡大しよう。国鉄1047名解雇撤回とJRでの「労組なき社会」の攻撃、鉄道事業の外注化、総非正規職化への反撃を組織しよう。
公的医療の民営化は社会の崩壊をもたらすことを多くの人々が実感し、医療労働者の生活と権利を守るための行動が全国で始まっている。都立病院独法化阻止、公立・公的440病院の再編・統合を許さない運動を、すべての労働者民衆の生きるための闘いにしよう。労組交流センター医療福祉部会の「都立病院独法化反対署名」は急速に広がっている。きわめて劣悪な労働条件にある福祉・介護職場に労働組合をつくる取り組みも死活的だ。「医療は社会保障だ」「民営化は悪だ」の怒りと声を11・1集会に組織しよう。
コロナ感染拡大に対する労働者の回答は、あらゆる職場・地域・業種で労働組合をつくり、資本との闘いを開始することだ。資本は延命のためには、労働者とりわけ青年、女性、外国人労働者を犠牲にする。合同・一般労組、業種別・職種別ユニオン運動など、現場の労働者の格闘と結びつき、労働者が主体となった労働組合をつくろう。
コロナ危機は医療崩壊と並んで学校崩壊の現実も突き出した。安倍は唐突な全国一斉休校で子どもの貧困と教育格差をさらに深刻化させた。新自由主義教育によって破壊された学校現場では、感染症対策をとりながら学校教育を継続することはもう限界だ。にもかかわらず安倍は「オンライン授業」による教育の民営化を強行し、戦後教育を解体する改憲攻撃を進めようとしている。だが一方で、学校は子どもの命を守る拠点であるとの認識も広範に生み出されている。職場、地域から、子どもたちの未来と労働者の権利を守る新たな教育労働運動をつくりだそう。
コロナ危機や大水害をも口実とした自治体のデジタル大合理化と真っ向から闘おう。災害のたびに、危険な立地条件や治水の問題とともに地域を熟知する自治体職員の不足が指摘されてきた。AI(人工知能)は経験を積んだ正規職にとって代わることはできない。デジタル合理化で職員削減、民営化・非正規職化を進めるなら、地方と社会の一層の崩壊をもたらす。11月1日に再度の住民投票が狙われる大阪都構想は大量解雇・労働組合破壊の大攻撃だ。都立病院独法化阻止の闘いと一体で、現場の怒りを結集し闘う労働組合を再生する絶好機として闘いぬこう。
郵政職場には強労働、ノルマ強制への怒りが渦巻いている。日本郵政はコロナ感染対策を何一つとろうとせずに、3月には「郵便局1万人削減案」を公表した。郵政民営化の破綻、「6割非正規」への反撃を職場から組織しよう。
11・1労働者集会への総結集を、国境を越えた労働者連帯運動、社会変革運動としてかちとろう。
分断を打ち破る闘い
労働組合と労働運動の階級的再生と一体で、資本・権力による分断を実力で打ち破る労働者階級人民の決起と新たな団結を、あらゆる戦線でつくりだそう。アメリカから全世界に広がったBLM運動は、その巨大な可能性と現実性を示した。これに学んで、部落解放闘争、障害者解放闘争、女性解放闘争など、全戦線での闘いの飛躍をかちとろう。
とりわけ入管体制下の極限的な分断と弾圧を打ち破って、在日・滞日外国人労働者との新たな連帯と団結が発展し始めたことは決定的だ。入管収容所内での命がけの決起に呼応してかちとられた東京入管包囲デモは、闘う労働組合の赤旗こそが「絶望を希望に変える」力であることを示した。これに恐怖した日帝は、秋の国会で入管法のさらなる改悪を狙っている。絶対に粉砕しよう。
大行進運動の発展を
今秋、改憲・戦争をめぐる激突は正念場を迎える。改憲・戦争阻止!大行進運動を、職場・地域にあふれる怒りと結びつき、広範に行動を組織する運動体として発展させよう。
沖縄では、米軍内でのコロナ感染症の拡大で基地で働く労働者も感染リスクにさらされ、安全無視と労働強化、解雇攻撃に現場から怒りの声が上がっている。辺野古新基地建設の破産が明白であるにもかかわらず、土砂投入を続ける安倍政権への怒りも激しい。基地労働者を先頭とした沖縄の怒りを全国で共有し、団結して闘おう。
成田空港はコロナ×大恐慌情勢に直撃され、外国人入国者は3カ月も「実質ゼロ」状態が続く。第3滑走路計画どころかB滑走路の閉鎖にまでいったんは追い込まれた。「成田空港廃港のスローガンがついに現実のものになろうとしている」(反対同盟・萩原富夫さん)。半世紀以上に及ぶ三里塚の闘いが引き寄せた情勢だ。市東孝雄さんの農地強奪絶対阻止の裁判闘争を闘い、9・27三里塚全国集会に集まろう。
安倍政権はコロナ禍のさなかで、福島第一原発の汚染水の海洋放出に向けた説明会を強行し、東海第二原発(茨城県東海村)再稼働のための防潮堤建設工事も本格的に着工しようとしている。動労水戸をはじめ被曝強制と闘う労働組合を先頭に、原発再稼働を絶対阻止し、放射能から命を守る闘いを広げよう。
改憲攻撃が激化し自衛隊の侵略出兵が拡大する中、反軍闘争がいよいよ重要だ。「軍服を着た労働者」である自衛隊兵士と結びつこう。
星野・大坂闘争勝利へ
星野文昭同志の獄死から1年、国家権力による虐殺の真相を究明し責任を問う闘いが国家賠償請求訴訟として始まった。この闘いを、星野第3次再審闘争、大坂正明同志の裁判闘争と一体で闘い、必ず勝利をかちとろう。大坂同志の無罪奪還と全獄中同志の「命を守りぬく」闘いをやりぬこう。弁護士戦線の新たな前進を切り開こう。
これらの闘いのすべてを11・1労働者集会の大成功につなげよう。
⑹青年・学生と女性こそが闘いの主役に躍り出るとき
重要なことは、新自由主義下において最も抑圧されてきた青年・学生、そして女性が、階級闘争の最前列に登場してきたことである。この力を今こそ大胆に組織化し、11・1に大隊列を登場させよう。
新自由主義は青年労働者に対して総非正規職化、過酷な長時間労働、まともに生きられない賃金を押しつけてきた。そしてこの現実への怒りや不満がストレートに資本や国家に向かわないように、「自己責任論」「能力主義」という分断と競争のイデオロギーをふりまき、青年から抵抗する力と意志と団結を奪おうとしてきた。しかしコロナ感染拡大のもとで青年の怒りは限界を超え、新たな行動が始まっている。SNSを通じて怒りの声を上げることから始まって、実際の行動、集会、街頭デモに続々と決起している。BLM運動、香港など世界で同世代の青年たちが立ち上がっている姿に奮い立っている。労働組合とストライキへの注目が集まり、希望の選択肢になろうとしている。
2003年以来、職場闘争とマルクス主義の復権を軸に闘ってきたマルクス主義青年労働者同盟の格闘は、ついに始まった膨大な数の青年労働者の決起と結びつき、「労働運動の力で革命を!」を実現するためにあった。マル青労同の同志たちの職場における闘いを軸にすえて、地区党の変革をかちとっていく闘いが進んできたことも確認したい。
学生運動の活性化
コロナ危機は、学生運動にも新たな高揚の契機をもたらした。「5人に1人が退学を検討」とも言われる中で、200を超える大学で学費減免要求運動が開始され、特別給付金の支給など政府・大学当局も種々の対応をとらざるを得なくなった。だが圧倒的多数の学生は苦境に置かれたままだ。
全学連は、5・1メーデーでの文科省申し入れ行動以降、隔週での文科省行動、街頭行動を積み重ね、学費減免運動の発展のために闘ってきた。この過程はコロナを利用した学生運動絶滅攻撃との闘いでもあった。「自粛要請」「入構規制・禁止」で新歓活動も禁止され、サークル・学生団体の存続が脅かされている。京都大学では全学自治会同学会などが「学生自身の団結と行動によってこそ現状を変えられる」「(学生への攻撃は)新自由主義、改憲・戦争攻撃の一環であり労働者と団結して闘おう」と訴え、具体的要求をもって多くの学生、諸団体を組織した。これら全国学生の闘いの集約点として、7・4〜5全国学生統一行動が東京と京都で闘われた。高校生のみずみずしい決起も始まった。
この闘いは法政大学闘争以来の新自由主義大学化との不屈の闘いがあってこそ可能になった。学生戦線はコロナ情勢下の階級闘争の最先端で闘いプロレタリア革命を牽引(けんいん)する新たな挑戦を開始した。
女性の大決起の開始
#MeToo運動としてこの数年間に拡大してきた女性の決起は、新自由主義のもとで最も矛盾をしわ寄せされてきた女性の歴史的な反乱である。労働者階級全体が極限的な搾取と収奪で貧困にたたき込まれる中、女性への差別・抑圧は非正規職化や既成労組の変質・解体と一体でますます激化し、極めて暴力的な形態をとるようになった。性暴力の激発はその最も端的な現れだ。職場でのパワハラ・セクハラによる労働者支配が横行する中、性被害を告発した女性のほとんどが職を失い、逆にバッシングにさらされる状況がその深刻さを物語っている。
だがこの現実に対して、もはやどんな屈服も妥協も拒否し、女性の人間的尊厳の回復と差別・抑圧からの根底的な解放を求める決起が始まった。女性解放闘争は原理的にも階級社会の廃絶と一体であり、プロレタリア革命の根幹に関わる闘いだ。革共同自身の自己変革をかけてこの決起に学び、共に闘い、新自由主義を打倒する力と階級的団結をつくりだそう。
Ⅱ新自由主義の時代終わらせる労働者階級の世界史的大決起
およそ40年にわたり世界を荒らしまわった新自由主義は、コロナ×大恐慌情勢の激烈な進行の中で、今やその歴史的・全面的な破産をあらわにしている。同時に、コロナ×大恐慌情勢は帝国主義・大国間の延命をかけた争闘戦をますます激化させ、全世界を新たな核戦争の破局へと引きずり込もうとしている。こうした中で、人類の活路はプロレタリア世界革命しかないということも、日々ますます明らかになりつつある。
「新型コロナの感染拡大が遠からず収束し、経済危機も脱して『V字回復』が始まるだろう」といった類いの希望的観測や願望は、これから情け容赦なく打ち砕かれていく。現に進行する新自由主義の崩壊=資本主義の崩壊は決して止めることはできない。最末期帝国主義は、新自由主義という絶望的延命形態をとる以外に延命できないからだ。
資本と非和解的に対立する革命的階級としての労働者階級とその党は、新自由主義の崩壊=資本主義の崩壊を積極的に早め、新自由主義を打倒し、資本主義を終わらせるプロレタリア革命を主体的に引き寄せなければならない。資本の価値増殖を自己目的として人間と自然からどこまでも搾取と収奪を続け、最後は人間も自然も破壊し尽くすしかないところに行き着いた資本主義----それを終わらせる時が来たのだ。
⑴最末期帝国主義の絶望的延命形態が大破産・大崩壊
新自由主義は、1930年代のニューディール政策以来の国家独占資本主義政策(国家による独占救済、一定の労働者保護、社会保障制度などによる予防反革命政策)を放棄し、労働組合を破壊して労働者階級から団結と抵抗力を奪い尽くそうとする攻撃として始まった。それは米レーガン政権(81〜89年)、英サッチャー政権(79〜90年)、日本の中曽根政権(82〜87年)によって本格的に開始され、何よりも労働運動、労働組合を徹底的に弾圧することによって、資本の価値増殖にとって障害となるものすべてを社会から一掃しようとしたのである。
その背景には、帝国主義世界経済の戦後発展の行き詰まりと国家独占資本主義政策の破産(財政赤字とインフレ)を露呈した1974〜75年の世界恐慌、米帝のベトナム侵略戦争敗北と世界支配の動揺、そのもとでの労働運動や学生運動などの高揚に直面した帝国主義ブルジョアジーの絶望的恐怖があった。すなわち新自由主義とは、危機に陥った帝国主義の延命のために、労働者階級人民に対して仕掛けられた世界史的反革命にほかならない。
新自由主義は、労働運動や労働組合だけでなく、資本の搾取を規制する一切の制度や法律をマルクス主義的・社会主義的なものとみなして徹底的に攻撃した。だがそこには何か体系だった思想や政策があるわけではない。資本の価値増殖がすべてであり、資本がもうけるためなら何をやってもいい、社会が崩壊しようと自然が壊れようと、労働者が何人死のうとかまわない、という資本主義の本来の姿をむき出しにしたものでしかない。しかもそれは「小さな政府」「官から民へ」「国家は市場に介入するな」などと叫びながら、ひとたび資本が危機に陥れば大企業救済のための度はずれた国家財政支出と中央銀行による無制限の資金供給を要求するのである(日銀にいたっては株まで買いあさり、今や日本の主要企業の「最大の株主」に!)。
もはや何一つ未来も展望もなくなった資本主義の最後の姿、まさしく「最末期帝国主義の絶望的延命形態」として新自由主義はある。だが、ここで改めて確認したいことは、すでに戦後75年の過半を占める「新自由主義40年」は労働者階級の絶えざる抵抗と反乱の歴史でもあったということだ。それは帝国主義諸国においてむき出しの階級対立をもたらし、労働者階級人民の生きるための必死の闘争を不可避としただけではない。それまで先進諸国への原料・農産物供給国としての役割を主要に担わされてきたアジア、アフリカ、中南米などの諸国、そして十数億の人口をもつ中国にも、帝国主義国から工場建設・移転が行われ、若い労働者階級がこれらの諸国に誕生した。それは国際階級闘争と国際連帯の新たな可能性をつくりだしたのである。
こうして動労千葉の国鉄分割・民営化反対闘争、韓国の軍事独裁打倒から民主労総結成に至る闘い、90年代後半から2000年代の反グローバリズム運動、2011年の「アラブの春」と呼ばれた中東人民の労働組合を中心とする闘いを経て、2010年代は新自由主義に対する世界史的な大反乱の火が燃え広がった。民衆総決起で勝利した韓国の「ろうそく革命」はその象徴だ。さらに昨年は「世界史に残るデモの年」となり、中南米、中東、アフリカ、欧州各国、香港、ロシアなどでも新自由主義に対する反乱が巻き起こった。まさに新自由主義は、資本主義を打倒する主体である労働者階級を世界中に生み出したのである。
コロナ危機の爆発は、帝国主義の総本山・アメリカで最も激しい階級的矛盾と対立を顕在化させ、BLM運動に代表される根底的な階級的大反乱をもたらしている。16〜19世紀の資本主義の本源的蓄積過程における収奪・略奪・奴隷化とそれに対する血みどろの抵抗闘争の歴史が、資本主義の最末期においてらせん的に再現されているのだ。まさに今、歴史は資本主義の終幕、すなわち「収奪者が収奪される」(マルクス『資本論』)瞬間に向かってその歯車を急回転させているのである。
⑵深まる米帝国主義の危機とアメリカ革命の現実性
新自由主義が最も激しく野放図に展開されてきたアメリカでは、コロナ感染者数は約430万人、死者数は約15万人といずれも世界最多を記録(7月末時点)し、今も増え続けている。貧困・非正規職化のもとで熱が出ても休めず、ダブルジョブやトリプルジョブをこなさないと生活もできない。十分な栄養も休息もとれず、「生活習慣病」に侵され、免疫力の低下した多くの貧困層は、体調が悪くても医療費が払えず病院にもかかれない。最も困難な状態に置かれた労働者ほど人と接触する機会の多い業種(スーパーやコンビニ、交通・運輸、食肉加工など)で多く働いており、またそうした業種ほど黒人や移民の労働者の割合が高い。コロナ感染症はまさに新自由主義が生み出した「社会的疫病」なのだ。
失業保険の申請者数は、コロナ危機が本格化した3月下旬から5月末までの間に4200万人を超えた。6月以降、新規申請者数は一時的に減少傾向を見せたが、7月に入って再び増加に転じている。さらに3月末に発動した2・2兆㌦(約240兆円)の経済対策の一部が期限切れとなる「財政の崖」が迫っている。7月末には失業給付の増額措置(対象者2500万人)が打ち切りとなり、これにより月600億㌦(約6兆4500億円)超の個人所得が失われる。航空会社への雇用支援も9月末で終了し、大量解雇が始まろうとしている。政府・議会はさらに2兆㌦規模の経済対策の取りまとめを急いでいるが、すでに連邦政府の財政赤字は4兆㌦を突破して前年の4倍に迫る見通しで、GDP(国内総生産)比でみれば第2次大戦時並みの20%近くに達する。
こうした中で、青年世代を先頭に生きるための必死の闘いが続いている。BLM運動は人種・民族の違いを超え、バス・地下鉄の組合であるATU(合同都市交労組)や医療労働者の間にも拡大している。ILWU(国際港湾倉庫労組)やUTLA(ロサンゼルス統一教組)を先頭に労働組合の闘いを基盤に、命を守るための共同行動があらゆる職場に広がっている。新自由主義が極限化したアメリカで、それを覆す新たな階級的団結が生まれているのだ。
トランプが7月4日の独立記念日の演説で「われわれは過激な左翼、マルクス主義者、無政府主義者らと戦っている」などと絶叫したのは、今やアメリカで革命が問題になっていることを公然と自認するものだ。革命の現実性に追い詰められているがゆえに、トランプは中国への敵対政策をますます激化させ、排外主義をあおりたてることで危機を乗り切ろうと必死になっているのだ。
⑶米中対立を軸に進行する世界戦争の危機と対決を
米トランプ政権の対中対決政策は、18年10月の副大統領ペンスの演説に続き、今年7月23日の国務長官ポンペオの演説をもって完全に新段階に入った。1972年のニクソン訪中をもって始まった米中関係、すなわち中国に対する取り込みと市場開放のために歴代政権が半世紀近く続けた「関与政策」を、ポンペオは「失敗だった」と断言。さらに「習近平総書記は全体主義イデオロギーの信奉者」と非難し、「欧州、アフリカ、南米、特にインド太平洋地域の民主主義国家の尽力が必要だ」「新たな民主主義国の同盟をつくるべきだ」と述べ、有志連合による中国包囲網の構築を求めた。
米帝の対中政策は、中国の現体制(残存スターリン主義=共産党政権)の転覆を目標とする徹底的に非妥協的なものだ。中国を世界経済との結合から切断し、世界を真っ二つに引き裂く「デカップリング(切り離し)」すら辞さない構えだ。中国を孤立させ、軍事的手段をも前面に出してすきあらば徹底的にたたく、そして体制崩壊に追い込むという戦略に踏み切っている。「われわれが共産主義の中国を変えなければ、中国がわれわれを変えるだろう」というポンペオの言葉は、その非妥協性を公然と表明したものだ。すでに、中国通信機器大手ファーウェイ(華為技術)と半導体受託生産大手・台湾積体電路製造(TSMC)との取引を停止させた今年5月の制裁措置に典型的なように、経済的合理性すら無視した強硬手段が次々と発動されている。テキサス州ヒューストンの中国総領事館を「スパイ活動と知的財産窃盗の拠点」(ポンペオ)などと呼んで突如閉鎖したのもその一環だ(中国は報復として四川省成都のアメリカ総領事館を閉鎖)。
11月大統領選に向けて米中の応酬はますます激しくなる。「一帯一路」戦略を展開し、「中国製造2025」計画で製造強国化を宣言した中国・習近平体制は、没落・衰退を深め世界支配力を喪失しつつある米帝にとって、もはや手なずけることも利用することもできない脅威、たたきつぶすしかない「敵」だということが、今や米帝支配階級の共通認識となったのだ。大統領選の結果がどうなろうと、米中対立は一層エスカレートするしかないのである。
これに対し、国内に巨大な矛盾を抱える中国も必死に対抗措置をとりながら、労働者階級人民の反乱を暴力的に鎮圧することでスターリン主義体制としての延命を図ろうとしている。6月末に全人代(全国人民代表大会)で成立させた香港国家安全維持法は、香港の闘いが中国全土に波及することへの恐怖に駆られたものだ。だが、青年を先頭とする香港民衆の闘いは終わらない。そして中国で始まった「自主労組形成」の闘いは大きな可能性を持っており、少数民族抑圧に対する反乱も大きなエネルギーを秘めている。
朝鮮半島情勢の緊迫
米中対立の激化に伴って、朝鮮半島をめぐる軍事的緊張も再び高まっている。米トランプ政権が北朝鮮・キムジョンウン政権と結んだ2018年の「米朝合意」は、もはや事実上、完全に破棄された。
そもそもこの「米朝合意」は、朝鮮半島での戦争の危機を防ぐものでは全くなかった。それは、対中対決を軸に東アジアでの新たな侵略戦争(世界戦争につながる)を本格的に構え直そうとした米帝と、体制崩壊の危機に直面した北朝鮮スターリン主義とが、それぞれの利害をかけて行った一時的な取引にすぎない。破綻は必至だったし、実際にわずか2年で破綻したのである。
今や情勢は、米帝による北朝鮮への先制攻撃寸前までいった17年秋の状況に本質的に回帰している。米帝は韓国ろうそく革命の圧殺をもかけて北朝鮮政権の転覆を狙った戦争をしかけようとした。朝鮮半島全域を米帝の軍事制圧下にたたき込むことで、崩壊の危機に直面した帝国主義のアジア支配を立て直そうとしたのだ。その衝動は今も続き、実際にはより凶暴化している。しかもトランプは米軍事戦略の柱に「核の使用」を公然と位置づけた。
これに対して韓国労働者階級は、民主労総を先頭にこの全情勢との真っ向からの対決を開始している。戦争絶対阻止、米韓軍事同盟の解体、労働者民衆自身の団結と社会変革による南北分断体制打破・自主的統一を掲げて立ち上がっている。同時に、ろうそく革命が掲げた「財閥解体」の理念を裏切り、再び大資本の利害を体現するに至ったムンジェイン政権との非和解の闘いが発展している。民主労総の一部幹部を「労使大妥協」路線に取り込むことで闘いの圧殺・解体を狙ったムンジェインの策動は、現場組合員の総決起で粉砕された。
この決起に応え、日韓労働者の国際連帯をさらに強めて闘おう。
⑷改憲・戦争攻撃に延命の一切をかける安倍を倒そう
日帝・安倍政権は、コロナ×大恐慌情勢とそのもとでの米中対立の激化に対して、一個の帝国主義として根本的に対応不能に陥りながら、改憲=戦争のできる国への転換に活路を見いだそうと必死にあがいている。今夏--今秋、日帝・安倍の改憲攻撃との闘いはこれまでにない重大な決戦局面を迎える。
トランプ政権は昨年、ロシアとのINF(中距離核戦力)全廃条約を一方的に破棄した上で、アジアの同盟国に新型中距離ミサイルを大量配備する新たな構想を打ち出した。最大の配備対象は日本、とりわけ沖縄の米軍基地である。トランプは中国との軍事衝突や朝鮮半島での戦争を極めてリアルに想定し、核による先制攻撃をしかけることも辞さない構えだ。日米安保同盟は本格的な核戦争同盟へと変貌しつつある。日本における改憲・戦争阻止、米軍基地撤去=日米安保粉砕の闘いは、今や全世界を巻き込む核戦争を阻止しうるか否かの決戦へと押し上げられた。
こうした中で安倍政権は、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画が大破産したことに対し、それを居直り逆手に取るかたちで「敵基地攻撃能力の保有」に向けた安保政策の大転換に踏み出そうとしている。13年に初めて制定した国家安全保障戦略(NSS)を年内に改定し、これに合わせて「防衛計画の大綱」も前倒し改定することをほのめかしている。
敵基地攻撃能力については、自民党の国防部会などがたびたび保有を要求してきたが、政府として公式に保有を認めたことはない。15年9月の安保戦争法制定に先立って同年4月に改定された日米安保ガイドラインでも、敵基地攻撃を自衛隊の任務とすることは、当時の米オバマ政権が容認しなかったこともあり、明記が見送られた。
そもそも自衛隊は創設以来、「陸海空軍その他の戦力」の保持を禁じた憲法9条の制約下で、自らを「軍隊」と名乗ることもできず、「専守防衛」を建前とすることから敵地を直接攻撃・侵攻するための手段は保有しないとしてきた。具体的には、①大陸間弾道ミサイル、②長距離戦略爆撃機、③攻撃型空母の三つを「敵基地攻撃能力」と分類した上で、これらを保有しないことを一つの根拠として「自衛隊は憲法9条が禁じる『戦力』には相当しない、あくまでも自衛のための必要最小限度の実力組織にすぎない」と言い張ってきたのである。したがって敵基地攻撃能力の保有を公然と宣言することは、戦後日本の安保・防衛政策の前提を根底から覆すことを意味する。防衛予算は青天井となり、自衛隊は本格的な侵略軍隊へと変貌する。そのような自衛隊の存在はいかなる意味でも憲法9条と整合しないが、安倍はむしろこれを既成事実化することで明文改憲の口実にしようとしているのだ。
安倍の改憲策動は、17年1月の米トランプ政権の登場と朝鮮半島をめぐる戦争の危機を背景に、同年5月に「自衛隊を明記した新憲法を2020年までに施行する」とぶちあげたことを発端とする。さらに18年以降のトランプ政権の経済・軍事両面にわたる対中国戦略のエスカレーションと並行して、18年12月に防衛大綱を5年前倒しで改定、併せて巨額の予算を盛り込んだ中期防衛力整備計画(中期防)を定めた。この新防衛大綱では、先に挙げた敵基地攻撃能力の3類型のうち、①大陸間弾道ミサイルに代わる攻撃兵器として「高速滑空弾」を開発、②長距離戦略爆撃機は、対地・対艦攻撃用の新型巡航ミサイルを戦闘機に搭載することをもって代替、③攻撃型空母については、「いずも」型護衛艦を固定翼機艦載可能な正真正銘の空母に改造することを明記した。これらと一体で「敵地上陸」を任務とする日本版海兵隊=水陸機動団の新設や南西諸島へのミサイル専門部隊の配備が進められた。米帝トランプの戦争策動に必死に対応しながら、日帝・安倍もまた北朝鮮への先制攻撃や朝鮮半島への自衛隊の上陸、さらには中国との軍事衝突をも視野に入れ、巨額の予算を投じて具体的な戦争準備を進めているのだ。
以上のような17年以降の一連の改憲・戦争策動の中で、関西生コン支部への史上かつてない労組絶滅型の大弾圧がしかけられ、辺野古新基地建設に向けた土砂投入などが強行されてきたのは、決して偶然ではない。安倍政権の危機と破産の中で国会での改憲論議が停滞しても、改憲攻撃そのものが1ミリも後退したわけでは断じてないのだ。改憲阻止闘争の死活的重要性と、そこに秘められる巨大な民衆総決起の可能性を踏まえ、職場と地域から創意的に闘いを展開しよう。
今夏8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争、8・15闘争を全国で闘い、11月労働者集会を改憲・戦争阻止闘争と一体で成功させよう。
Ⅲ青年・女性の決起と結びつき革命に勝利する党への飛躍を
⑴26全総を出発点に必死に闘いとった組織変革の1年
革共同は、党史上かつてない危機を乗り越え、党を変革するために立ち上がった全国の同志の力によって、昨年9月に第26回全国委員会総会の開催をかちとった。それから間もなく1年を迎えるが、革命的情勢が急速に成熟する中で、真に階級と結合し、階級の中に内在化して、階級的労働運動を組織し再生させるための必死の実践と組織変革の1年だったといえる。
26全総は、7回大会路線のもとでの国鉄闘争や政治闘争における空論主義的指導とその破産、そこから発生したマルクス主義からの逸脱、重大な女性差別事件を引き起こすに至った党規律の解体、それを隠蔽(いんぺい)し当該同志を苦しめ続けることになった官僚主義的な組織指導のあり方などをえぐり出し、旧政治局を打倒した。重要なのは、こうした旧政治局の全面的破産を真に総括してのりこえていく苦難の過程を、党を本物の革命的労働者党へと変革していく主体をつくりだす過程として、「党史を画する組織変革運動」の次元にまで押し上げてきたことである。とりわけ党変革の力は階級と結合した党細胞にこそあることを、徹底的に明確にした。
第一に、細胞と地区党建設を一切の総括軸にする党指導への変革である。党活動の全てにおいて細胞と地区党建設が総括軸にされなければならない。全ての細胞は、階級的団結を組織する目的をもった自己変革・相互変革的な集団的討議をやりぬく中で建設されなくてはならない。
第二に、党の変革は、細胞、地区党、産別委員会に大胆に青年、女性、現場指導部を迎えていくことと一体である。現場で苦闘する労働者同志自身が細胞、地区党、そして中央委員会の最大の指導的実体となるとき、そこには官僚的あるいは上意下達的指導が入り込む余地はない。真の労働者党建設、その指導実体をつくっていくことを最大の課題にすえる。その力が青年、学生、女性の組織化の力になる。
第三に、女性解放闘争を労働者階級の組織化と地区党建設の重要な内実として再確立し、新自由主義が生みだした膨大な数の女性労働者、女性大衆の組織化に向けて立ち上がることである。その組織的保障として、中央女性解放闘争組織委員会が建設されていかなければならない。
第四に、マルクス主義で強固に武装した組織を建設していくことである。マルクス主義の復権と、資本主義のもとではもはや未来を描けない青年・学生・女性の党への変革は一体の課題だ。
⑵党の基本的任務の明確化とその正しい実践について
いまひとつ重要なことは、党と労働組合の関係である。「〝革共同の労働組合〟をつくれば革命ができる」という乱暴な恐るべき思想と結びついた「党と労働組合の一体的建設」をめぐる討議を通して、党とは何か、労働組合とは何か、この二つの組織の関係はいかにあるべきかをめぐる討議も進めてきた。
われわれはあらためて党の基本的任務は何かをはっきりさせなければならない。革共同創設者の本多延嘉同志は論文「レーニン主義の継承か、レーニン主義の解体か」(本多延嘉著作選第1巻所収)で、「レーニン党組織論の革命的核心は、党の基本的任務をプロレタリア独裁の実現におき、プロレタリア階級闘争を『自分の綱領』のところまで引きあげることを党の目的意識性、党の指導性の首尾一貫した課題に設定しぬいた点にあった。プロレタリアートの支配階級としての組織化の問題は、党のこのような革命的活動を基礎としてはじめて現実の問題たりうるのである」と述べている。
問題は、この「党の基本的任務」を現実の労働運動、階級闘争と結びつき、現実の労働者の意識と切り結んで「実際に」実践するということは、大変な努力を必要とするということである。党の主張をそのまま言えばよいとか、機関紙を職場でまけばよいとか、そういう話ではないのだ。現代においては労働運動、労働組合そのものが大きく後退を強いられており、労働組合自身を必死に再生し、つくりあげていく闘いをもやらなければならない。その中で、セクト主義的な独善に陥るのでもなく、組合主義・改良主義に流れるのでもなく、党の基本的任務を本当の意味で実践するには、細胞・地区党・産別委員会において現実の運動と意識の発展段階をしっかりと踏まえた闘争=組織戦術を練り上げ、実践し、プロレタリア独裁の実現へ向かってどれだけ階級的団結を前進させたか、前衛的指導部を獲得できたかを総括軸にしていく強固な意識性が必要とされる。
「革共同の労働組合」「党の労働組合をつくれば革命になる」という7回大会的な乱暴粗雑な思想、安易な道への逃亡とは、この強固な意識性をもった努力を、4・9政治和解後の労働運動の一線を越えた後退という厳しい現実の中で貫くことからの逃亡だったのだ。
労働組合(あらゆる思想をもった労働者を含む広範な組織)と党(共産主義者の政治的結集体)との「正しい」「緊密な」関係を実践的につくりあげていくことは、プロレタリア革命の根本問題である。労働組合という自然発生的で大衆的な組織と運動をぬきにして労働者階級は発展できない。しかし党の指導=意識性、共産主義的政治という契機(現在で言えば「コロナ危機を革命へ」転じる意識性)をはずしては、資本に対する闘いをプロレタリア権力の樹立にまで高めることはできない。そしてこの労働組合と党の正しい、緊密な関係は、階級の中に内在して労働者大衆と結びつき一体化しながら、なおかつプロレタリア独裁の実現をめざして闘いぬくという党の意識性によってしか形成できないのである。
⑶全党の力で機関紙活動の変革をかちとり前進しよう
われわれは、7回大会路線的な空論主義と決別して、職場や地域で階級と結びつく細胞、地区党をしっかりと建設していくことに最大のエネルギーを投入していく必要がある。最も重要なのは機関紙活動である。
レーニンは論文「なにをなすべきか?」第5章「全国的政治新聞の『計画』」で、「集団的宣伝者および集団的扇動者」であるだけでなく「集団的組織者」としての新聞の意義を特に強調している。「全ロシアにわたって数万の部数で規則的に配布される週刊新聞」があるならば、「この新聞は、階級闘争と人民の憤激の一つ一つの火花を吹きおこして全般的な火事にする巨大な鍛冶(かじ)用ふいごの一小部分となるであろう」「規則的で、完全な意味で共同的なこの事業を中心にして、試練をへた戦士の常備軍が系統的に選抜され、訓練されていくであろう。......そして、彼らは、動員された軍隊の先頭に立って、ロシアの汚辱と禍(わざわい)とに対決するために全人民を決起させるであろう」(レーニン全集第5巻)と。
機関紙「前進」が、このような集団的組織者の役割を果たすことができるように、「前進」の発行をもっと全国の同志の共同事業となるようにしよう。全国の各地区、産別の闘いの教訓や総括(成功も失敗も)が共有され、互いの運動を発展させる力となる新聞にしよう。機関紙を使ってどの職場、学園、地域の細胞、地区党でも共通の討議と意思の形成が行われ、細胞や地区党の建設が進むようにしよう。さらに紙媒体ならではの、じっくりと読ませるマルクス主義的・階級的立場からの論説、論文を計画的・定期的に掲載していくようにしたい。そのためにも7回大会路線による機関紙活動に対する党中央の空論主義的指導、すなわち「10万人読者網建設」「発行回数の週2回化」を極めて形式主義的にしか提起してこなかったことを厳しく総括し、改めなければならない。
機関紙をいかにして職場細胞と地区党建設の軸にすえていくか、党の思想、共産主義の政治を労働組合運動、大衆運動の中に内在化しながら持ち込んでいくか。現場での成功や失敗の実践を共有し教訓化し、編集局に通信を送り、次はこうしてみよう、といった意欲を互いに引き出していくような細胞・地区での会議と機関紙活動を進めよう。機関紙変革=組織変革を進めていけば、機関紙の読者を現在の何倍にも増やしていくことは必ず可能になるだろう。
若い力を引き出そう
これらの全てを、革共同を「青年の党」に本格的、意識的につくりかえる闘いとしてやりぬこう。青年・学生自身の主体的な運動と組織の形成を助け、援助し、若い仲間の力を引き出すために全世代が努力しよう。青年が抱えている思いや怒り、その広さと深さ、それがどこからきているものかをつかんで明確に=階級的に表現し、階級的に組織することが必要だ。古参同志の蓄積した力もその中でこそ生かし、継承・発展させていこう。
9・6革共同集会へ
革命的情勢の急速な成熟に伴い、日帝国家権力は革命と革命運動圧殺のためにこれまで以上にあらゆる卑劣な手段を駆使し、民間反革命勢力をも動員して襲いかかってくる。これと真っ向から対決し、政治警察との日々の死闘に勝ちぬこう。その一切の土台は、党を本質的に非合法・非公然の党として建設することだ。
今日の革命的情勢を本物の革命に転化するためにこそ、非合法・非公然の党建設を労働者階級自身の課題として位置づけ直し、新たな決意をもって推進しよう。国家権力との闘いの最前線で長期獄中闘争を闘う同志との連帯を強めよう。細胞・地区党の不断の強化と団結、細胞と中央委員会との生きた結合を闘いとり、それを基礎にどんな弾圧にも屈しない不抜の革命党をつくりだそう。
9・6革共同政治集会の成功をかちとり、渦巻く怒りの声を組織して11・1日比谷へ攻め上ろう。