団結し監視国家化との闘いを 現代の治安維持法と闘う会 学習会で議論
週刊『前進』04頁(3152号04面03)(2020/07/27)
団結し監視国家化との闘いを
現代の治安維持法と闘う会
学習会で議論
(写真 西村正治弁護士の講演「スーパーシティ法批判」に聴き入る参加者【7月17日 東京・渋谷区】)
7月17日、東京・渋谷区立勤労福祉会館で現代の治安維持法と闘う会の主催で「コロナと監視国家化」と題する学習会が行われた。「『安全と利便のため』監視されたい私たち?」と題する講演を森川文人弁護士が、「スーパーシティ法批判」と題する講演を西村正治弁護士が行った。
森川弁護士は、朝日新聞の表題「監視? すべてはあなたの安全のためです」を紹介し、今日の監視社会がかつて国家が一方的に監視するやり方とは違ってきていると指摘し、これとどう闘うかと問題提起した。
街角には監視カメラが随所に設置され、ポイントカードで買い物をすれば好みやさまざまな個人情報が収集され、インターネットを利用すれば、閲覧履歴情報が収集される。政府はマイナンバー制度とリンクさせて全国民を監視し支配しようとしている。その一方で、コロナ対策と称して「COCOA(ココア)」という新型コロナウイルスの感染者との接触を通知するスマートフォン用アプリを提供し始めた。政府は電話番号や氏名などの個人情報は使わないとしているが、プライバシー侵害の心配は消えない。しかし、身を守るためにそれに対抗する動きもある。
また、フェイスブックやツイッターを通して、自己の個人情報を自ら公開していくことも進んでいる。個々人がさまざまなサービスを利用するために積極的に自らの個人情報を公開しているのだ。従来の中央統制型ではないにせよ、相互に監視する仕組みが増えてきている。
森川弁護士は、現代の監視国家化に対して、人が集まって議論し団結の力で闘おうと締めくくった。
西村弁護士は、スーパーシティ法が今年5月に成立し9月から施行されること、スーパーシティとは近未来(2030年ころ)の社会のことで、それを複数の地域を特区として選定して試行しようとするものであると解説した。スーパーシティではIoT、AI、ITが多用される。例えば自動運転のバス輸送、行政サービスのワンストップ化、遠隔診療・介護ロボット、ロボットによる巡回パトロールなどであり、地域が抱える諸課題を最先端技術と大胆な規制緩和で解決するという触れ込みだ。
自動運転自動車を走らせるには全面的な道路情報が、ドローンのためには全面的な空間情報が、さらにサービス利用者の詳細な個人情報が、「データ連携基盤」という運用主体(公権力と企業)に集約されなければならない。これがもたらすものは個人情報の集約による監視社会化であり、自治体の運営が情報企業の手に委ねられる危険性があると指摘した。
カナダのトロントでは、グーグルの子会社が自治体と計画したマスタープランが「プライバシーが侵害される」「カナダはグーグルの実験用マウスではない」と住民から反発を受けて頓挫した。西村弁護士は、スーパーシティは新自由主義の破綻をさらなる新自由主義的手法で巻き返そうとするものだと弾劾した。
講演と質疑応答を通し、監視国家の実態をつかみ、議論を重ね闘っていく決意を新たにした。
(現代の治安維持法と闘う会・T)