8・6ヒロシマ大行動へ 広島の訴え③ 戦争反対に自粛はない 教育労働者・被爆2世 平野綾子
週刊『前進』04頁(3152号03面03)(2020/07/27)
8・6ヒロシマ大行動へ 広島の訴え③
戦争反対に自粛はない
教育労働者・被爆2世 平野綾子
「8月6日は『気が進まないが約束があるけえ』と父さんは爆心地付近へ出かけたんよ。私しゃあ、建物疎開に行かんといけんけえ、弁当を持って家を出たけど、頭が痛うて裏口から家に戻ったんよ。母さんにはしかられたんじゃけど、虫の知らせだったんかもねえ」と話してくれた叔母。結局、帰ってこなかった父親を、焼け跡の中に入り、家族総出で探しまわった母親や兄弟姉妹たちは皆、入市被爆をした。「何でこんなこと聞くん?」と叔母に問われ、末期の肝臓がんだから今聞いておきたいとは言えなかった。
その叔母が昨年9月に肝臓がんで逝去。先日、広島市から平和記念式典の「案内」が届いた。今年の式典において叔母の名前を登載した名簿を記念碑に納めること、そして、コロナ感染防止策で式典の規模を縮小するため被爆者遺族に対して参列の案内ができないこと。つまり「参列できないご案内」だ。
8月6日の広島は、それぞれの8月6日を迎える。これまでも被爆者遺族として式典の案内が来たことがあったが、対岸から戦争反対のシュプレヒコールを上げることを自分は選んできた。平和を祈るだけでなく、現実に迫る核戦争を止める行動に立つためだ。しかし、今年は選択の余地もなく締め出された。被爆者遺族がだ。一方、安倍首相や河井克行は「お招き」するという。普通、卒入学式や運動会は、来賓にご遠慮いただくのだが、「誰のため」の「何のため」の式典なのか。
しかも、広島市は今年「恒久平和の祈り」さえ取り去り、「慰霊に目的を絞る」としようとした。規模縮小と性格の変更は全く別の問題だ。拡声器規制条例が頓挫したら次はコロナが口実、結局は核廃絶を口先だけにして被爆者を英霊化し、改憲と戦争へヒロシマをひれ伏させる、これが真の意図だ。
「専守防衛」さえかなぐり捨てて敵基地攻撃能力保有を公言し、コロナ危機をてこに緊急事態条項を、と改憲を進める安倍。「唯一の被爆国」などといいながら核兵器禁止条約さえ批准せず、オリンピックのために3・11福島を見殺しにし、原発再稼働さえ狙う安倍。こんな安倍を呼んでおいて黙っていられるか。そして、アメリカ・トランプ大統領による核軍拡競争のもと、核戦争の危機が迫っている。「核爆発後の放射線下での作戦遂行能力を持て」と米兵士の犠牲さえいとわない。結局、安倍もトランプも、労働者が被爆しようが死のうがかまわないのだ。
8月6日ヒロシマは、一体、なぜ、誰のために侵略戦争をさせられ被爆させられたのかを問い続けてきた。条約や政治では戦争は止められない。労働者こそが立ち上がろう。ヒロシマがヒロシマであるために! 戦争反対に自粛はありません。