〈コロナ×大恐慌〉との対決を 医療現場始め職場の怒り集め、闘う労働組合の猛反撃開始へ 国鉄全国運動10年の真価発揮する時
〈コロナ×大恐慌〉との対決を
医療現場始め職場の怒り集め、闘う労働組合の猛反撃開始へ
国鉄全国運動10年の真価発揮する時
7月26日に東京・江戸川区総合文化センターで開催される国鉄闘争全国集会まで、残すところあと1週間となった。新型コロナウイルス感染拡大の「第2波」が始まり、かつてない大恐慌と大量解雇攻撃が迫る中で、労働者とその家族が生き抜くために、闘う労働組合の力強い登場が今こそ求められている。国鉄闘争全国運動は、結成から10年、一貫して「国鉄分割・民営化反対」「不当解雇撤回」を掲げ、新自由主義と闘う労働運動の発展をめざして全国の多くの職場・産別に闘いを広げてきた。今こそその真価を発揮するときだ。渦巻く怒りの声、社会の変革を求める切実な思いのすべてを、7・26全国集会に集めよう!
一時金ゼロでは働けない
コロナ危機と世界大恐慌の本格化の中で、資本による労働者への賃下げ、合理化、労働強化、雇い止めや不当解雇などの攻撃が激化し、これに対する反撃の闘いが全国の各職場で新たに始まっている。とりわけ攻防が激化しているのが医療・福祉・介護などの職場だ。コロナ禍で感染リスクを負いながら多くの人々の命を守ってきた労働者に対して、一時金(ボーナス)の大幅減額や支給ゼロの通告が相次いでいる。
医労連(日本医療労働組合連合会)が全国の医療機関を対象に行った調査によると、回答した338機関のうち、夏の一時金を減額すると答えたのは115機関で全体の34%、「全く支給しない」と答えた医療機関も二つあった。その一つが、400人の看護師が退職を検討しているという東京女子医大病院だ。理事長室の改修に6億円をかけ、新しい「教育棟」まで建設しておきながら、コロナ対応の激務をこなしてきた現場労働者には一時金ゼロ!現場からは「コロナで大変になり始めた時期から、心身ともにきつい場面がありました。でも給料のため、ボーナスのため、自分が生きていくために歯を食いしばって頑張ってきました。私たち看護職がいなくなったら、誰が看護するんですか? 誰が患者さんを見るのですか?」(東京女子医大労組HPより)と悲痛な声が上がっている。
SNS上では、一時金減額に抗議して闘う医療労働者に次のような共感の声が広がっている。
「おそらくこのコロナ禍で一番苦しんでいるのは医療従事者。給与が下がる一方で危険な仕事と向き合う。『みんな我慢しているから』ではみんなが参ってしまう」「ブルーインパルスとばしているヒマとカネがあったら、医療従事者に危険手当・勤勉手当を支給するべきだ」「医療系だけではなく、保育業、介護業も前線で働いている低給料だからスト起きそう」「私も介護職はストライキを起こすべきだとずっと思っています。いい人でいると国に殺される」「新自由主義がこの国を覆い尽くして以来、いままで労働者が獲得してきた権利や尊厳をどれほど虚仮(こけ)にされてきただろうか。労働者には労働者のやり方がある。見せてやって欲しいです」
最前線で働く現場労働者が理不尽な一時金の減額や不支給にさらされる中で、逮捕された河井克行・案里を含む国会議員には夏の賞与319万円が満額支給されている。こんな転倒した話があるか! 医療現場に限らず、今こそあらゆる職場で労働者の怒りを、団結を、ストライキの威力を示す時だ。
資本主義には未来はない
全世界のコロナ感染者数は13日の時点で1300万人、死者は57万人を突破した。WHO(世界保健機関)によると、24時間以内に確認された新規感染者数も12日に過去最多となる23万370人を記録した。
この局面で、米トランプ政権は大統領選での劣勢と、BLM(ブラック・ライブズ・マター)運動を始めとした労働者民衆の怒りの噴出に焦り、中国への敵視政策と排外主義の大キャンペーンを強めることで危機を乗り切ろうと必死になっている。自らのコロナ対策の失敗を棚に上げてWHOを「中国寄り」と非難し、コロナ第2波を前にしてWHOからの脱退を国連に正式通告した。WHO予算の15%近くを拠出する米の脱退は、「スタッフ削減や活動規模の縮小につながりかねない」(7月9日付朝日新聞)。トランプの延命のために世界の医療危機を加速させる暴挙だ。
他方で、米経済は3月末に発動した総額2・2兆㌦のコロナ対策が期限切れを迎えることによる「財政の崖」が迫っている。7月末には失業給付の増額措置の打ち切りで月400億㌦(4兆3千億円)超の個人所得が失われると試算され、航空会社への雇用支援の9月末期限切れで6万人規模の大量解雇が発生するとも言われている。コロナ×大恐慌情勢の本格的到来はまさにこれからだ。
もはや資本主義の枠内ではいかなる解決もない。団結して闘いに立ち上がり、生きるために必要な一切の条件を支配階級の手から実力で奪い返す以外に、労働者階級は未来を展望することはできない。
「コロナ危機を革命へ!」----これが今や日本と世界の労働者民衆の最も切実な声、そして最も当たり前の要求になっている。コロナ第2波はこれを一層促進する。社会の根底的変革を渇望する声はあらゆる職場に満ちている。この情勢を現実の社会変革へと転化するために、今こそ階級的労働運動をあらゆる職場につくりだそう。
7・26バネに安倍打倒へ
九州や中部地方を襲った豪雨は甚大な被害をもたらし、特別養護老人ホームの入所者をはじめ多くの人々の命が奪われた。2009年の豪雨では山口県防府市の特養が土砂に襲われて入所者7人が死亡したが、その際、全国2960カ所の特養が土砂災害警戒区域に設置されていることが判明した。事業者が土砂災害の危険を顧みず、地代の安い山間地に集中的に特養を建てたからだ。だが現状は10年たっても改善されていない。国土交通省の19年3月の調査では、浸水想定区域や土砂災害警戒区域に立地するため避難確保計画の作成を義務付けられている福祉施設は6万7901カ所にのぼり、うち計画を作成したのは36%にとどまる。
今回の豪雨災害では、全国で115河川が氾濫(はんらん)危険水位を超えた。この5年間で氾濫危険水位を超えた河川の数は5倍に増加した。気候変動による水害の多発が予想されているにもかかわらず、治水対策に予算を回してこなかったことが原因だ。
何より「平成の大合併」による市町村職員の大幅削減と非正規職化が、自治体の災害対応能力を奪ってきた。一昨年の西日本豪雨では岡山県倉敷市の真備地区が甚大な被害を受けた。合併前の旧真備町に182人いた職員が18年には47人まで削減されていたことが、災害対応を著しく困難にした。急増する豪雨災害は新自由主義による人災だ。労働組合を中心に地域住民の闘いを巻き起こし、人間が生きられる社会を取り戻さなくてはならない。
沖縄では米軍基地内のコロナ感染者が15日時点で136人確認され、基地労働者の子どもが学校へ通えなくなるなど、住民の被害が拡大している(記事4面)が、辺野古新基地建設の工事は今も平然と続けられている。絶対に許せない。
改憲・戦争をめぐる情勢は今夏から今秋臨時国会にかけて決戦局面を迎える。7・26国鉄集会の成功から8・6広島―8・9長崎闘争を闘い、改憲・戦争阻止のうねりをつくりだそう。