不当判決に控訴し闘う仙台市社協裁判 原告 村岡靖昭
週刊『前進』02頁(3149号02面02)(2020/07/16)
不当判決に控訴し闘う仙台市社協裁判
原告 村岡靖昭
(写真 「5年雇い止め」撤回を求める集会で発言する村岡靖昭さん【2019年2月 仙台市】)
わずか2分の裁判
6月19日、仙台地方裁判所で、「5年雇い止め」撤回を求める私の裁判の判決が行われました。新型コロナウイルス感染予防のため、厳しい傍聴制限がとられましたが、多くの仲間が傍聴にかけつけてくれました。報道各社も訪れ、裁判への注目が明らかになりました。しかし裁判は「原告の請求を棄却する」と判決主文の読み上げのみで、わずか2分で終了。あまりのあっけなさに傍聴席から思わず怒りの声とため息がもれました。この裁判は仙台市社会福祉協議会(仙台市社協)による「雇用5年での雇い止め」の撤回を求めたものです。仙台市社協では、職員全体の3分の2(200人弱)が有期雇用で勤務しています。2013年4月1日に労働契約法が改正され、有期雇用労働者が5年を超えて働くと無期雇用へ転換できるルールが新設されました。ところが、あろうことか仙台市社協はこのルールを逃れるために従前にあった5年を超える繰り返し雇用を取りやめました。これによって18年3月31日、29人が雇い止めされました。私もその一人です。
私は重度知的障害者の施設に勤務し、障害者支援の仕事をしていました。相手のことをよく理解して初めて行える仕事のため継続した関係が必要で、5年ごとに人を入れ替えては成り立たないものです。施設利用者の家族の方がたや地域の仲間から協力を得ながら、労働組合として闘いましたが雇い止めを阻止できず、裁判で闘ってきました。
雇用実態考慮せず
判決では証人尋問で明らかになった5年を超える雇用の実態については考慮せず、採用時の説明や雇用契約の内容(1年契約、更新4回まで)を重視し、原告は「雇用継続への期待権」を持っていないと判断しています。また、無期転換ルールを逃れるための雇い止めであることや障害者支援という仕事においての継続の重要性、「雇い止めには惜しい人材だった」と上司が証言したことなどについては、「期待権がない以上判断不要」と一切判断をしないものになっています。
有期雇用労働者が雇用契約を拒否すればそのままクビになるしかなく、決して納得して雇用契約に応じているわけではありません。にもかかわらず雇用契約の形式的な部分のみを重視し、その他の重要な事実について判断しないのは不当です。
傍聴参加者からも「わずか2分での判決。人が働くということ、雇い止めされるということはこうも簡単なものなのか」「労働組合の中で一緒になって雇い止めを阻止しようとしてきた。新型コロナウイルスの影響で、働くこと・生きることが問われているときに、こんな判決が出るのは許せない」など怒りの声が寄せられました。
全国に闘う労組を
私自身、判決を聞いたときはとてもショックでした。しかし弁護士と一緒に判決文を詳しく読み、不当な点が具体的に分かるにつれ、ショックが怒りに変わってきました。また支援の仲間からも励ましの声をかけられ、改めて雇い止めの不当性を訴えたいという思いが強くなりました。これまで署名やカンパなどたくさんの方々にご協力をいただいてきました。本当にありがとうございます。私はあきらめず、不当判決を覆すために控訴審で闘います。
最後に、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今年3月から4月にかけて130万人が失職したと報じられました。しかし労働局の統計では解雇・雇い止めの相談は3万人と出ています。どれほど多くの労働者が泣き寝入りしているのか。解雇・雇い止めを許さない労働者・労働組合の闘いを全国でつくりましょう。