新自由主義と対決し7・26集会へ 階級的労働運動の展望示した国鉄闘争全国運動10年の闘い 1047名解雇は必ず撤回できる
新自由主義と対決し7・26集会へ
階級的労働運動の展望示した国鉄闘争全国運動10年の闘い
1047名解雇は必ず撤回できる
国鉄闘争全国運動の7・26全国集会が目前に迫った。新型コロナ感染症は、新自由主義が社会を根本から破壊していたことを明らかにした。国鉄闘争は新自由主義の核心にある民営化・労組破壊の攻撃と三十数年にわたり対決してきた。7・26集会は、国鉄闘争を軸に階級的労働運動をよみがえらせる出発点だ。
「常識」破った3労組の挑戦
国鉄闘争全国運動が2010年6月に結成されてから10年の節目を迎える。国鉄闘争を解雇撤回もないまま終わらせようとした2010年の4・9政治和解に抗し、国鉄闘争全国運動は「国鉄闘争の火を消すな」を合言葉に発足した。
それは簡単な決断ではなかった。1047名の被解雇者のうち、圧倒的多数の966人が国労闘争団だった。国労闘争団の中にも4・9和解に強い異論や批判はあったが、大勢は和解を受け入れていた。さらに、国鉄分割・民営化が強行された1987年4月から、その時点ですでに23年の歳月が流れていた。
この状況で、国鉄闘争の新たな組織を立ち上げることは、戦後労働運動の常識を超える挑戦だった。だが「何があろうと解雇撤回まで闘う」という動労千葉争議団の決意と、その決意を支え抜くという全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同の決断が、この運動への結集力をつくり出した。
関西生コン支部、港合同、動労千葉は、新自由主義の攻撃に耐え抜いてきた労働組合だ。この3労組が、労働運動の崩壊を最後の一線で食い止めてきた。3労組共闘を軸に形成された国鉄闘争全国運動は、コロナ危機が労働運動の再生を切実に求めている中で、労働者階級の反転攻勢の拠点になりうる存在だ。
あと一歩で勝てるところに
1047名解雇撤回闘争をめぐり国鉄闘争全国運動が切り開いてきた地平は大きい。動労千葉の裁判で、2015年の最高裁決定は、分割・民営化に際して動労千葉組合員を解雇するための不採用基準の策定は不当労働行為にあたると認定した。動労千葉組合員の名前は当初はJR採用候補者名簿に載っていたが、不採用基準によって突然、名簿から外された。この不当労働行為がなければ、動労千葉組合員はJRに採用されていたはずだとも、最高裁決定は認定した。
これは決定的な勝利だったが、解雇を撤回させるにはさらに壁があった。「不採用基準を作って不当労働行為をしたのは国鉄であり、JRに責任はない」という反動的理屈を打ち砕かなければならなかった。
不屈に展開された国鉄闘争は「不採用基準は委員長の斎藤英四郎をはじめJR設立委員自身が作った」という事実をつかんだ。JRに解雇撤回の義務があることは明白になった。
この事実をもとに解雇撤回を求めた動労総連合の労働委員会への申し立ては、千葉県労働委員会でも中央労働委員会でも、すべて審理を拒否されて切り捨てられた。だが、この大反動は、あと一歩で解雇撤回が実現できるところまで来ているから起きたものだ。
国鉄闘争はついにここまで到達した。それが示しているのは、階級的労働運動こそ現実的であり、階級的立場を貫く運動こそが今後も存在しうるということだ。国鉄闘争は階級的に闘われれば必ず勝利できる。最後の勝利を手にするための苦闘のさなかにあるとはいえ、国鉄闘争全国運動はその展望を指し示しているのだ。
JR体制はもはや全面破産
コロナ危機は国鉄分割・民営化の破産を全面的に明らかにした。コロナ前から経営破綻していたJR北海道は、コロナ後は大規模な列車の運休と1450人の労働者の一時帰休に踏み込んだ。4月に札沼線の北海道医療大学―新十津川間を廃止したが、JR北海道はひたすら線路を切り捨てるしかない状況だ。JR発足時、北海道では約半分の路線が廃止された。民営化の結果は地域の破壊だった。
JR九州は株を上場したことによって逆に矛盾を深めている。同社の株の約6%を所有するアメリカの投資ファンド「ファーツリー・パートナーズ」は、JR九州の株主総会で、自社からJRに役員を送り込むと提案し、今後は不動産業に特化すべきだと主張した。この提案は否決されたが、それが示しているのは、鉄道が金もうけの道具にされたら廃線はどんどん進むということだ。
JR九州は2017年の豪雨で不通になっていた日田彦山線の添田―夜明間の廃止を5月、地元自治体にのませた。JRは意図的に復旧を怠り、自治体が音を上げるのを待っていた。今年7月の豪雨で、JR九州は鉄橋の流失や線路への土砂の流入などの被害を受けたが、同様のことが再び繰り返されようとしている。
本州のJRも事態は深刻だ。緊急事態宣言が解除された直後、JR東日本は就業規則の改悪を提案した。業務量の縮小など会社の経営上の必要で休業を命じることがあるという内容だ。休業と称して鉄道を動かさなければ、ローカル線はいくらでも切り捨てられる。
民営化でJRの現場の業務は労働者ごと下請け化された。労働者の権利はとことん奪い取られた。
その結果が、コロナ感染症が拡大しても車両の消毒もできないJRの状態だ。車両の清掃を請け負うCTS(千葉鉄道サービス)の労働者は、法定最低賃金ぎりぎりの超低賃金で、職場は常に要員不足だ。そのCTSに対してJRはつり革を消毒しろと命じるが、そのための要員確保や、労働強化になる労働者に手当や賃金を増額する措置は全くとらない。消毒作業に当たる労働者の感染防止策も、何一つない。
しかし、職場の矛盾が激化すればするほど、労働者は労働組合の必要性を真剣に考える。動労千葉は、CTS幕張事業所での職場代表選の勝利を基礎に、「全員が平等に正社員になるためには労働組合が必要だ」と訴えて、組織拡大の新たな挑戦に打って出た。
関生弾圧粉砕し反転攻勢に
民営化と労組破壊は一体だ。労働組合とは、労働者同士を競争させないことによって労働者の権利を守る組織だ。だから新自由主義は労働組合を破壊する。
関西生コン支部、港合同、動労千葉の3労組はこの攻撃と対決してきた。国家権力はその関西生コン支部に戦後例のない大弾圧を仕掛けた。だが関西生コン支部はこれに耐え抜き、武建一委員長を奪還した。そして、この弾圧を許したら労働者の未来はないという危機感を抱く全国の広範な人々を束ねて反転攻勢に立ちつつある。
関西生コン支部への弾圧と並行して強行されたのが、JR東日本を先頭とする「労組なき社会」づくりの攻撃だ。動労千葉の存在を典型に国鉄労働運動の伝統が生きているJRで労働組合が一掃されたら、労働者の未来は閉ざされる。逆に、JRで労働運動を再生したら、その全国・全産別への波及力は大きい。7・26国鉄集会はその展望をかけて開かれる。
労働者の意識は大きく変化している。病院の民営化が統廃合の攻撃に立ち向かう医療労働者をはじめ、労働者が現場で自分の直面する矛盾に抗議すれば、それが社会全体の共感を呼ぶ状況が生まれつつある。一つの職場の問題に他の職場の労働者が連帯して立ち上がる条件はつくられている。
黒人男性虐殺への抗議に始まったアメリカの闘いや香港、韓国の闘いをはじめ、世界では労働者階級が国家とは何かを問い、自らの権力を打ち立てる挑戦を始めている。日本でもこうした闘いは必ずできる。7・26国鉄集会を、階級的労働運動再生の出発点にしよう。