労働者に犠牲強いる小池 命切り捨てと大資本優先に拍車

週刊『前進』04頁(3148号02面02)(2020/07/13)


労働者に犠牲強いる小池
 命切り捨てと大資本優先に拍車


 7月5日投開票の東京都知事選で、現職の小池百合子が366万票を獲得し再選された。その小池が翌日の記者会見で語ったのは、東京オリンピック・パラリンピックの来年開催と、「都庁の構造改革」だ。
 小池は新自由主義者としての本性をよりあらわにして、労働者人民の命と生活を守るどころか、逆に徹底して犠牲にしようと襲いかかってくる。

公立病院民営化で医療はさらに崩壊

 当選翌日の6日、小池は午前中に首相官邸を訪れて安倍と会談。午後には自民党本部を訪問し、二階俊博幹事長と会談した。
 第1期目は自民党と「対立」する構図を見せることで当選した小池だが、2期目は安倍の最先兵として労働者への攻撃の先頭に立ってくることは明らかだ。
 東京で連日100人を超えるコロナ感染者が発表され、第2波と言われている。都内のコロナ入院者数は2週間で2倍に増加し、7月7日時点で427人となった。都内で確保している病床数は現在1千床だ。
 都内の感染者は20〜30代の青年が半数以上を占める。テレワークなどできず、生活のために働きに出ざるを得ない労働者たちだ。こうした状況の中で、小池はテレビで「自衛」という名の自己責任を主張し続けた。「夜の街」での感染拡大を意図的に取り上げて分断をあおり続ける一方、医療現場への物資の補充と労働者の待遇改善というもっとも切実な課題には言及していない。
 小池はコロナ対策として、東京版CDC(疾病対策予防センター)の創設を掲げ、PCR検査体制の強化を言うが、感染者が入院する病院の体制については言及しない。とりわけ3月31日に決定した都立・公社14病院の地方独立行政法人化の方針を撤回することなく維持している。
 都立病院はこれまでも減らされてきた。石原都政のもとで2002年まで16あった病院が12病院にされ、09年には現在の8病院に減らされた。そして、小池は22年度内に全てを独法化し、都知事が理事を任命する東京都病院機構にまとめあげようとしている。
 小池が選挙中に掲げていた「都民の命を守り『稼ぐ』東京の実現」の中身は、一握りの資本家がコロナ危機を利用してもうけるということでしかない。

都庁の構造改革は都労連破壊が狙い

 都の財源である財政調整基金は、都職員の賃下げと経費削減・民営化の結果としてコロナ前に9千億円あったが、今では807億円にまで減少した。労働者への休業の強制、解雇、さらに企業の倒産などはこれから増加するにもかかわらず、東京都としては配る金がないというのが現状だ。
 さらに、この状態で来年にオリンピック・パラリンピックを開催すると言うならどのように金を捻出するのか。延期に伴う追加費用だけで3千億円以上とされるが、膨大な数の労働者人民が貧困を強制され、切り捨てられるということだ。
 小池が掲げるテレワーク・デジタル化の制度化と「都庁の構造改革」の一番の目的は都労連の破壊だ。
 30年を超える新自由主義政策で労働組合が攻撃され、膨大な数の労働者が非正規職にされ貧困にたたき落されてきた。コロナによって暴かれたのは、この社会において感染症に対処する能力がすでに失われていたということであり、貯蓄がなく生活が立ち行かなくなるギリギリのところに労働者民衆が置かれていたという事実だ。
 オリンピックは中止にしろ! 小池を打倒する力は、労働者が現場から声を上げる中にある。すでに闘いは開始されている。都立病院独法化反対の署名には医療労働者をはじめ多くの労働者民衆が賛同し、運動が拡大している。
 これ以上、労働者はこの資本主義社会で生きていくことはできない。都の労働運動を復権し、小池を打倒しよう。
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