若者の声を杉並から! 区議会議員・洞口朋子 医療現場の要求に応えよ 資本救済の23億円投入反対 杉並区議会 洞口区議が区長追及

週刊『前進』02頁(3139号02面01)(2020/06/11)


若者の声を杉並から!
 区議会議員・洞口朋子
 医療現場の要求に応えよ
 資本救済の23億円投入反対
 杉並区議会 洞口区議が区長追及

(写真 杉並区役所前で全学連の仲間と前進チャンネルの撮影を行う洞口区議【5月30日 杉並区】)

(写真 区民とともに阿佐ケ谷再開発反対で杉並区役所前座り込み)


 杉並区議会第2回定例会で6月2日、洞口朋子区議が、①医療従事者が求める政策について、②検査体制強化ならびに保健所拡充について、③生活困難者および商店などへの経済的援助について、④介護事業の抜本的見直しについて、⑤阿佐ケ谷駅北東地区の再開発について----の5点に関する一般質問を行いました。(要旨別掲)

資本と労働者の利害は対立する

 洞口区議は冒頭、4月の区議会臨時会で審議・採択された杉並区内の民間4病院(河北総合病院、荻窪病院、佼成病院、東京衛生病院)への23億円の区費投入について触れ、「減収補塡(ほてん)ではなく、感染症病床の防疫、医療従事者の安全、人員体制確保に必要な費用を保障するべきだ」と要求しました。
 そして4月22日発売の雑誌『財界』に掲載されていた河北病院理事長の「経営を優先すべき」という発言に対し、「『病院経営の救済』と『コロナ対策に関わる医療従事者への援助』は決してイコールではなく、『資本運営の論理』と『労働者の権利』は対立している」と喝破。さらに「民営化・外注化・非正規職化および人員削減で社会的医療体制は崩壊」しており、「現場の医療従事者の抜本的な労働条件向上が必要」「医療・介護・福祉・公衆衛生を中心に、労働者・区民の命と生活に関わるすべてを行政が公的に保障すべき」と訴え、それがない23億円の「病院減収補塡」には反対だと述べました。

労働者より経営優先の田中区長

 洞口区議の追及に田中良区長が答弁に立ちました。
 田中区長は「医療従事者を守るというのはごもっとも。しかし病院が経営破綻したら医療従事者も患者も守れないのでは?」と答弁しました。再質問に立った洞口区議は「私はそうした社会のあり方そのものを問題にしている。減収補塡で経営陣は助かるかもしれないが、それが現場で働く労働者が本当に求めている支援につながっているのか」「都内の大学病院に勤務している友人は『減収補塡で発熱外来センターを設置するのは現場としては率直に嫌だ。給料も増えず、残業代もいまだに出ていない。医療従事者のことは何も考えていない』と切実に訴えている。23億円が実際に何に使われ、医療従事者にどう還元されているのか把握するべきだ。病院任せでいいのか」「『会社あっての労働者』ではなく、経営状態に関わらず労働者が大切にされる社会を目指すべき」と訴えました。
 追いつめられた田中区長は「洞口区議のように考える人がどれだけいるのか」「目指すべき社会を語るのは自由だが、現実を見るべき」「あなたが私の立場だったら何ができたんですか?」と逃げの答弁を行い、傍聴席からは田中区長に対するヤジと怒号が飛びました。

再開発ではなく感染症対策を!

 洞口区議は阿佐ケ谷再開発問題についても、「この先数年にわたって、医療・介護・保育・教育すべてにコロナの影響が出ると予測される中で、再開発はいま杉並区がやることなのか。安倍首相はオリンピックは『完全な形での開催』ということに固執し、小池都知事は都立病院を民営化し、田中区長は阿佐ケ谷をはじめとした再開発を推し進めている。コロナウイルス感染症拡大に対する根本的な自治体としての役割を担うべきだ」と訴えました。
 杉並区議会は「オール与党」となって田中区長の政策を進めている。これに唯一絶対反対で闘っている洞口区議と共に、現場から声をあげよう。

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阿佐ヶ谷再開発中止を
 洞口区議の一般質問(要旨)

①医療従事者の安全と人員体制確保を
 私は4月20日の第1回臨時会で、約23億円の区費を投入して区内の基幹4病院の減収を補塡する補正予算案に反対しました。「減収補塡ではなく、感染症病床の防疫、医療従事者の安全、人員体制確保に必要な費用をきちんと保障すべきだ」という考えからです。
 危機に瀕する病院経営(=医療資本)があることは事実でしょう。しかし、それを行政からの補助、すなわち税金投入で救済するあり方には大きな問題点があります。
 コロナ対策で危機に瀕する病院経営にカネをつぎ込んだからといって、それが医療従事者のために使われるとは言えません。実際、マスコミに登場して「病院経営の危機」を訴える経営者が、医療従事者の労働条件向上を呼びかけることはほとんどありません。
 そもそも「医療でカネをもうける」という考え方、社会のあり方そのものが根本的に間違っています。「経営危機」に公的援助を求めることの是非はさておき、この数十年にわたって公的医療および地域医療、そして公衆衛生政策を破壊してきたのは、自民党・民主党、東京都政、そして杉並区政ではありませんか。
 今回の財政投入は「減収分補塡」として行うとされるが、「減収分」とは診療報酬の減収分を指すのか。
 4病院の医療従事者への危険手当、マスク、ガウン、フェイスガード等の防護具状況を区として把握しているのか。
②検査体制の強化と保健所の拡充を行え
 戦後一貫して、結核などの感染症や伝染病から都民の命を守る役割は都の衛生局が担ってきました。しかし、1975年の保健所の区移管でこのあり方が破壊され、杉並区の保健所も3か所あったものが1か所に統合・再編されました。今回「独自の検査体制を行う」とされる旧衛生試験所も、田中区長が言う通り、ほとんどの業務がアウトソーシング(外部委託)され、公衆衛生の重要性は片隅に追いやられています。
 田中区長は都議時代も含めて自らが民営化と外部委託を進めてきた責任をどのように考えているのでしょうか。これまでどれだけのアウトソーシングを行い、どれだけの職員を削減し、また非正規職員にしてきたか、その数字をすべて明らかにしてください。
③生活困難者と商店を経済的に援助せよ
 全国大学生協連合会が4月下旬に実施したアンケートでは、半数近くの大学生・院生が「バイト収入減少の見通し」と回答。ある学生団体の調査では、5人に1人の大学生・短大生が経済的困窮で退学を検討しているとされています。
 新型コロナウイルスの影響で解雇されたり、賃金が減らされた区内在住労働者への家賃を含む全面的な生活支援について、上限を設けず「必要な人に必要な支援」を行うべきと考えるが、いかがか。
④民間へ丸投げやめ必要な公的介護を
 今必要なのは、「すべての必要な介護・介助は公的に行う」という本来のあり方に戻すこと以外ないと考えます。
 2000年の介護保険制度導入と2010~11年の旧障害者自立支援法(現障害者総合支援法)改定以来、介護・介助という課題を民間に丸投げしてきたあり方に問題があります。介護・介助を公的あり方に戻すべきと考えるがどうか。
⑤阿佐ヶ谷再開発をストップしろ!
 マスコミ等でも「2021年夏開催(予定)の東京オリンピックを中止し、その分の予算を感染症対策へ回すべき」といった主張が散見されるようになりました。命と生活を最優先させる以上、当然のことです。私はこうした立場から、すべての既定事業を推し進めようとする区の姿勢を批判します。とりわけ、杉並区における「無駄な事業」の象徴が「阿佐ケ谷駅北東地区再開発計画」です。「コロナ情勢」の今こそ、本計画はただちに白紙に戻されなければなりません。
 現在杉並区は、コロナ禍による生活困窮者支援や、休業に追い込まれ収入が激減した商店などへの支援を最優先すべき状況である。当然、阿佐ケ谷駅北東地区の再開発も中止・休止すべきと考えるがどうか。
(全文は洞口朋子ホームページhoraguchitomoko.jpに掲載)

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