職場からの通信 介護施設で闘う 防護服使い捨て認めさせた コロナ闘争は反合安全闘争だ! 東京 介護施設看護師 大空 茜

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週刊『前進』04頁(3138号02面02)(2020/06/08)


職場からの通信
 介護施設で闘う
 防護服使い捨て認めさせた
 コロナ闘争は反合安全闘争だ!
 東京 介護施設看護師 大空 茜

介護は密接不可避の仕事

 私は特別養護老人ホームで看護師をしています。特別養護老人ホームは「要介護3以上」の方しか入居できない介護保険施設で常駐する医師はおらず、医療行為(点滴や注射など)はできません。また高齢化社会の中で私の施設では入居者100人中、8割程度が認知症、ないしは物忘れのある方です。自らが感染者になっても自覚症状がない方も多く「居室待機」や「安静」という状態を認識できずに施設内を歩き回られたり、マスクを着けている事ができず感染を蔓延(まんえん)させてしまいます。
 また介護とは生活支援ですから「密」を避ける事が非常に難しい仕事です。多床室の方も多く、食事・排せつ・入浴はもちろん、日常会話やレクリエーションなど……どれをとっても職員とご利用者、もしくはご利用者同士が密接する環境の中で生活しています。
 国が定める介護職員の人員配置基準は看護師を含めて常勤換算で3対1ですから、平時でも足りない人員が非常時などはさらに不足し、感染者に対応した職員が感染していないご利用者に接することによって、職員が媒介者となって感染が拡大する危険性は非常に大きいのです。過去、インフルエンザが蔓延した時はご利用者30人、職員8人が感染し本当に大変でした。

感染危惧し要求書を提出

 コロナウイルスの世界的流行が報道された際、感染力や死亡率などこれまでの感染対策の延長では感染を防げないと危惧(きぐ)した組合はすぐさま要求書を出しました。しかし法人は組合の要求に対して誠実に回答しませんでした。
 全国的に感染が拡大した4月下旬〜5月上旬にかけて施設でも感染疑いのご利用者が2人出ました。そこで指示された感染対策は「感染部屋に入る職員は特定せず、各勤務帯一枚の防護服を複数の職員で使い回す」というものでした。その頃、イタリアでは150人もの医師が亡くなったとか、都内の特養や病院でクラスター感染が発生しているというニュースを連日報道していたので、組合はただちに、より具体的な要求書を提出し直し、ゾーニング(隔離)を徹底することを強く訴えました。しかし防護服の使い捨てを認めないまま、PCR検査で陰性がわかりコロナ疑いの感染対策は一旦終了しました。
 それから12日後、再び感染疑いの方が出ました。39度の熱が出たり下がったりを繰り返している方に対して「念のためコロナ対策をしよう」となりました。前回と同じ指示を出させてはならないと思い、ここまできたら実力闘争です。「念のためだろうが何だろうが、コロナ疑いで感染対策をするのであれば防護服は使い捨てでなければならない! そして感染者と感染していないご利用者を徹底的にすみ分け、複数の職員が感染部屋を出入りしないようにすること!」を、現場の感染対策責任者に迫り、ガンとして一歩も譲りませんでした。
 その結果「防護服は使い捨てにする」ことと、「感染部屋を出入りする職員を特定する」ことを認めさせることができました。このやり取りを見ていた職員は「良かった! また防護服を使い回せと言われたら(感染するのが)怖いから自分で使い捨て用を持ってきたんだ」と教えてくれました。

課題が山積で闘いは続く

 とはいえ、組合の要求は「感染部屋に入る職員を各勤務帯ひとりに限定し、感染部屋に入った職員は他のご利用者には一切関わらない」ということであり、まだそこまでには至っていません。それ以外にも危険手当の支給など課題は山積みで今後も闘いは続きます。しかし今回わかったことは「労働者の安全は資本側の回答に委ねるのではなく、現場の実力闘争で勝ち取るんだ」という事です。経営者は口では「ご利用者や労働者の安全」と言いつつ、「どうすれば感染対策費用を安く抑えられるか」ということばかり考えていることがはっきりしました。
 コロナ闘争は反合理化安全闘争です。全国の介護現場で働く仲間のみなさん、自らの闘いで労働者の安全を守っていきましょう!
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