成田拡張計画は完全破綻 航空需要の9割以上が蒸発

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週刊『前進』04頁(3136号03面03)(2020/06/01)


成田拡張計画は完全破綻
 航空需要の9割以上が蒸発


 5月24日、一部マスコミが「成田空港の機能強化計画をめぐり、NAA(成田空港会社)が拡張予定地の地権者の土地や境界を明確にする用地測量作業に着手した」と報じた。まるで、第3滑走路計画などの成田拡張計画が、コロナ情勢のもとでも進んでいるかのような報道だ。
 冗談じゃない、現在の成田の現実を見よ。B滑走路を閉鎖し、A滑走路1本で運用している。第1ターミナルの第1、第4、第5サテライト、国内線エリア、第2ターミナルのサテライトなどの諸施設も閉鎖し、店舗も休業。ロビーは人影もまばら(写真)で、エプロンには行く当てのない飛行機が滞留し、多くの航空労働者、空港内労働者が一時帰休を強いられている。
 どこに第3滑走路を造る見通しなどあるのか。

計画変えぬと強弁

 4月28日、NAAの田村明比古社長は記者会見し、4月1日〜25日の国際線発着回数は前年同月比の85・1%減の1852回、旅客数は98・3%減の1万9800人と数字を挙げ、「戦後最大の危機」と説明した。しかし、「機能強化は中長期的に必要な施策であり、計画に影響はない」と強弁した。つまり航空需要の9割以上が吹っ飛んだ現状にもかかわらず、空港拡張をやるというわけだ。
 往生際が悪いとはこのことだ。コロナショックが一時的なものではないことは、誰の目にも明らかだろう。280社の大手航空会社が加盟するIATA(国際航空運送協会)は、今年の旅客収入の減収規模が3140億㌦(約33兆5千億円)と試算した。航空機メーカー、部品メーカーの経営破綻も始まっている。
 日本では東京五輪を当て込んで、インバウンド(外国客誘致)拡大、観光立国政策が野放図に展開されてきた。訪日外国人が年間数千万人に達するという右肩上がりの予測のもと、羽田の国際化推進と都心上空の新発着ルート導入、成田の敷地拡張と深夜・早朝発着拡大などが進められ、成田市、芝山町などの周辺自治体もそれに寄りかかった。その矢先にコロナショックが襲いかかった。4月の訪日外国人は前年同月比99・9%減のわずか2900人! 五輪とともにすべてが水泡に帰したのだ。
 感染症が切実な課題として自覚され、世界で人類とウイルスが共存を強いられていることを思い知らされた今、観光客バブルは永久に帰ってこない。

今こそ「農地死守」

 あらためて、農民の農地を奪って建設が進められてきた巨大空港の存在が問い直される時だ。
 「測量に着手」したところで、土地の買収交渉に喜んで応じるような地権者は今や誰もいない。三里塚芝山連合空港反対同盟が一斉行動で訪問すると、住民は「B滑走路閉鎖で騒音のない日常が戻った」と明るい笑顔を見せている。
 そしてB滑走路が機能を失った今、NAAが天神峰・市東孝雄さんの農地を奪う根拠も消失した。市東さんの農地を守る請求異議裁判・控訴審闘争に勝利しよう。7月12日に開かれる第3回天神峰樫の木まつりに集まろう。反対同盟と共に闘い、労農学連帯の力で成田を廃港に追い込もう!

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