〝防護措置なしに消毒させるな〟 感染防止策求め闘う動労千葉 ストライキに入れる態勢も築く
週刊『前進』04頁(3134号02面01)(2020/05/25)
〝防護措置なしに消毒させるな〟
感染防止策求め闘う動労千葉
ストライキに入れる態勢も築く
列車を運休しても必要な対策をとれ
動労千葉は、JR東日本とCTS(千葉鉄道サービス)に対し、新型コロナウイルスへの感染防止対策を求めて闘っている。4月16日、動労千葉は緊急要求をJR東日本に提出した。その主な内容は、①人との接触を少しでも避けるため、日中帯を含めて列車本数の削減を行うこと、最終列車を繰り上げること、状況によっては、全面的な列車運休を実施すること、②研修、ワンマン運転訓練、一切の異動を中止すること、③本人が感染した場合、感染の疑いがある場合、濃厚接触者となった場合、子どもの養育が必要な場合は、会社の責任で「自宅待機」として扱うこと、④車両、駅、休養室、詰所などの消毒、感染予防対策を徹底すること、⑤JRの責任で、グループ会社を含めて感染予防対策を徹底すること——などだ。
同日、CTSに対して動労千葉は、主に次のような内容の要求を出した。
①社員の体調管理を会社の責任で徹底すること、②点呼や食事で社員が密集する状態を改めること、③マスクを1人1枚ずつ配ること、フィルター清掃に際し防塵専用のマスクと防護服を配ること、④JRから消毒が要請された場合は速やかに社員に周知し、万全の感染予防体制を取った上で行うこと、⑤休養室、詰所などの消毒・感染予防対策を徹底すること、⑥休校による子どもの養育について、無条件で養育休暇を取得できるようにすること――などだ。
動労総連合と動労千葉は、この要求に基づき、各単組・各支部に「コロナ感染症対策について不当な取り扱いが行われた場合、直ちにストライキに突入することのできる闘争体制を確立すること」という指令を発した。4月30日には厚生労働省に争議行為の事前通告を行い、いつでもストに入れる態勢を整えた。
感染防止のため、できる限り業務を縮減し、出勤者数を抑え、有給の自宅待機とすることは、当然になすべき措置だ。ところがJR東日本は、この状況でも「新たなジョブローテーション」の名で運転士や車掌に強制配転を強いている。
団交でCTSから「自宅待機」を獲得
攻防の焦点となっているのは、特に車両の清掃業務を請け負うCTSだ。CTSでは4月14日深夜、「快速線に乗務するグリーンアテンダントが発熱した」という連絡があり、急きょ、車両の消毒作業が行われた。しかし、連絡があったのは通常の清掃作業が行われた後だった。通常の清掃は、何の防護措置もないままなされた。
消毒作業も、マスクと手袋を着用するという措置がとられただけだ。本来、感染症に対応する消毒作業は、そのための専門知識を持ち、体制を備えた専門業者に委託すべきものだ。CTSには、消毒作業のノウハウはまったくない。
CTSの労働者に消毒作業をさせるなら、必要な装備を整え、作業方法の教育と訓練を行い、徹底した防護措置をとった上で行わなければならない。作業者を限定し、作業後の健康状態を継続的に観察することも必要だ。
この事態を受けて4月28日に行われたCTSとの団体交渉で、動労千葉は防護体制もないまま消毒作業をしないことを強く求めた。そして、5月1日から6日まで、通常清掃以上の作業は行わずに作業量を削減し、担当する作業のない労働者は自宅待機とすることを確認した。これは、労働組合の団結と闘いによって実現した成果だ。
しかし、ゴールデンウィーク明けの5月7日、CTSは削減していた作業を再開すると言い始めた。「緊急事態宣言の延長決定が連休中で、本社が対応できなかったから」というのがその理由だ。
JRの本社や支社の管理部門は、約半数が自宅待機やテレワークになっている。しかし、その管理職は、現場労働者の命のことも、業務をどうするのかも、まったく考えていないのだ。
このJRとCTSに対し、動労千葉・動労総連合は、ストライキをも構えて、労働者の生命を守る闘いを貫いている。