香港 「国歌条例」に怒り爆発 昨年来のデモが復活

週刊『前進』04頁(3132号03面04)(2020/05/18)


香港
 「国歌条例」に怒り爆発
 昨年来のデモが復活

(写真 「母の日街頭行動」に商業施設に集まり、ともにシュプレヒコールを上げる人々【5月10日 香港】)

 香港で、中国国歌に対する侮辱行為を禁じる「国歌条例」法案審議への労働者民衆の怒りが高まっている。
 この条例は昨年の「逃亡犯条例」改悪案と一体で中国による香港支配を強化し、民主化運動や労働運動を弾圧するためのものだ。
 立法会(国会)では8日午後、半年にわたって開会できなかった内務委員会が開催された。民主派の議員は一斉に委員長席に詰め寄って審議強行に抗議し、警備員や保守派議員と激しいもみあいになった。混乱の中で委員長は午後2時30分に開会を宣言し、「おまえは議長ではない」「越権行為だ!」と抗議した民主派議員十数人を「立法会権力および特権条例」違反として会場から排除した。
 激しい抗議の声の中で、この日の「国歌条例」案の審議はできなかったが、暴力的に法案を成立させようとする香港政府と中国政府の策動は強まっている。
 当日の夜には香港各地で抗議行動が行われた。街頭に出た労働者・学生は議会での暴挙を弾劾するとともに、「国歌条例」反対を訴え、警察と激突して闘い抜いた。また、警察の弾圧で墜落死した科技大生・周梓楽氏の逝去半年の追悼会も闘いとられた。
 9月には立法会選挙が予定されている。選挙制度は民主派にとって不公正極まるものだが、ここでの民主派、反対派の躍進は闘いの大きな前進となり、全力で準備が進められている。
 今年2月に9千人の医療労働者ストライキを闘い抜いた医管局員工陣線の余慧明委員長は「マスクなどの医療物資が不足する中で、私たちは医療労働者の中での感染の爆発を感じていた。あの時点でストライキをしなければ新型コロナウイルスの感染は諸外国のように拡大していただろう」と、労働者の闘いで新型コロナに勝利できたと語った。さらに「労働組合は単に福利のためにあるのではなく、もっと重要なことは労働時間や人員などの労働者の権益を政府から闘いとることだ。労働組合は政治と無関係ではありえない」と、9月の立法会選挙にも勝利する決意を述べた。
 新型コロナが沈静化しつつある中で、4月下旬から「あなたと一緒にランチ」などの街頭行動が再び連日のように闘われている。
 10日、「母の日街頭行動」「みんなで一緒に歌おう」行動が呼びかけられ、大規模な抗議行動が闘われた。青年らが各地の商業施設に集まり「光復香港、時代革命(香港を取り戻せ、今革命を)」のスローガンを叫んで闘争歌を合唱した。現場を包囲した警察は「公共の場での9人以上の集合は違法」として解散を要求し弾圧。12歳の少年記者も逮捕した。
 夜には労働者民衆が繁華街の道路を封鎖して弾圧に抗議し、トウガラシスプレー(催涙スプレー)などを乱射する警察隊と激突した。1日で約230人が「違法集結」などの罪名で逮捕され19人に罰金が科されたが、労働者・学生は不屈に闘い抜いた。
 天安門大虐殺事件31年の6月4日のデモ、香港返還23年の7月1日の大規模デモに向かって、再び激動情勢に突入したのだ。
 香港の闘いと連帯し、コロナ情勢下での安倍政権との闘いに勝利しよう!
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