大失業と闘う労働組合の登場を 革共同合同・一般労組委員会

週刊『前進』02頁(3125号02面02)(2020/04/16)


大失業と闘う労働組合の登場を
 革共同合同・一般労組委員会

(写真 アマゾン倉庫のある千葉県・JR市川塩浜駅前で合同・一般労組全国協の仲間が街頭宣伝【4月10日】)

 国際通貨基金(IMF)の専務理事は9日、新型コロナウイルスの感染拡大により、1930年代の世界恐慌以降で最悪の経済危機に直面するとの見通しを示した。英豪の貧困問題に取り組む研究機関は、世界で5億人が新たに貧困状態になる恐れがあると警告している。迫り来る大恐慌と大失業の時代に労働組合を組織して立ち向かい、労働者階級が生きるための闘いを全力で推し進めよう。

企業の給与支払い義務免除の攻撃を許さない

 安倍首相は4月7日、「改正新型インフルエンザ等対策特別措置法」(新型コロナ特措法)に基づく緊急事態宣言を発令した。期間は5月6日までの1カ月間で、対象区域は東京など7都府県である。しかしながら、この特措法で感染拡大が抑えられる保証は何もない。期間延長や地域の追加指定の拡大もあり得る。
 特に注視しなければならないのは、安倍が7日の衆院議員運営委員会で、今回の新型コロナウイルス感染拡大のような緊急事態に対応するため、「新型コロナウイルスへの対応も踏まえつつ、国会の憲法審査会の場で与野党の枠を超えた議論を期待したい」と、「緊急事態条項」を設ける改憲の議論をするよう呼びかけたことだ。安倍が今回の緊急事態宣言を水路に労働者人民の反応を確かめながら、憲法改悪攻撃に打って出ようとしている。絶対に許してはならない。
 4月3日付東京新聞によれば、厚生労働省は、緊急事態宣言で、ライブハウスや映画館などが営業停止した場合の社員への休業手当について、「休業手当の支払い義務の対象にならない」との見解を明らかにしたと報じた。今、厚生労働省はこの東京新聞の報道が誤りだと主張し、与党議員はそれを拡散している。
 しかし、3日の衆院厚生労働委員会でも野党議員に追及された厚生労働省の坂口卓労働基準局長は、同宣言に基づいて営業停止の要請・指示が出された場合、「労働基準法上、不可抗力として休業するものであれば、使用者に休業手当支払い義務は生じないと考えられる」と説明している。緊急事態宣言が出された以上、企業にとっては「不可抗力の場合」ということになると強弁している。「このままでは緊急事態宣言下、外出自粛要請で家に閉じ込められたまま、賃金も得られず命の危機にひんする人が出かねない」(4月3日付東京新聞)状況にあると書いた記事は間違いではない。
 4月9日の新聞報道によれば、特措法を担当する西村康稔経済再生担当相は、対象となった7都府県知事が国に対して休業要請による損失補償を求めたのに対し、それを拒絶している。事業者側は政府の要請に応じて休むのだから、そのために減る売上高や収入を補償すべきと求めているが、政府は損失補償をする気はない。
 小池都知事はネットカフェにも休業を強要し、4千人とも言われるそこで寝泊まりする人たちを路上に放り出そうとしている。
 緊急事態宣言を受けて大手旅行会社「HIS」は4月8日~5月6日まで全国の店舗を臨時休業すると共に、全社員6千人に自宅待機を命じた。営業を休止した大手百貨店も大半の社員を一時帰休させた。日産自動車、マツダ、三菱自動車も国内の2万人を一時帰休させた。大企業に関しては今のところ休業手当を保証すると報じているが、グループ会社、下請け会社や関連する個人事業主には休業手当は支払われていない。

緊急事態宣言下で労働者の怒り噴出

 4月7日の緊急事態宣言が出された当日の午後6時~7時まで全国労働組合交流センターがJR新宿駅南口でビラを配布し街頭宣伝に立ったが、その場で労働相談が何件も寄せられた。「旅行会社の代理店に勤務している。会社から勧奨退職に応じるようにと『退職願』を書かされた。今からでも撤回できるのか」「イベントを請け負う個人事業主扱いの労働者です。3月に入り仕事が一つもない。どうしたらいいか」「フリーのカメラマンをしているが急に仕事がなくなった。どうしたらいいか」「病院の清掃の仕事をしている。自分の働いている病院はコロナ感染のゴミも収集している。感染が心配だ」。派遣切り、雇い止め、解雇、倒産が相次いで起きている。
 タクシー会社「ロイヤルリムジン」(東京都江東区)は事業を休止し、グループ会社を含めた乗務員約600人を解雇するという。会社は労働基準法で定められた解雇予告手当は「支払えない」と明言している。緊急事態宣言が出されたことに依拠して、会社はこういう違法を平然と行おうとしているのだ。

全国協コロナ対策本部に情報と闘いの集中を

 合同・一般労働組合全国協議会は、この情勢に対応するため「全国協コロナ対策本部」を立ち上げ、新たな闘いを開始した。
 感染者の受け入れを始めた病院の現状や解雇が始まっている交通運輸関係などの状況や、コンビニ関連ユニオンなどの闘争方針、また3月に入って国民健康保険でも「コロナ傷病手当金制度」が新設されたことなどの共有ができた。
 対策本部は毎週定期的に会議を行い、情報共有化や闘いの方針を形成し、具体的な組織化に着手している。日々刻々と動く情勢を分析し、学習会、街宣などを行いながら、チラシ作成、SNS・ウェブなどの作業、労働相談スタッフ、争議・組合組織化の指導など、幅広い任務を担う決意である。「全国協コロナ対策本部」に結集し、共に闘うことを訴える。

29年恐慌時こえる闘いの時代が到来

 新型コロナウイルスの感染拡大は、イタリア、フランス、ドイツ、アメリカといった帝国主義国にも飛び火し、世界経済は「100年に1度の経済危機」と言われたリーマン・ショックを上回る世界大恐慌のとば口に立っている。コロナの終息の見通しは立たない。来年7月23日からの東京五輪の開催もあり得ない。
 トランプは、「ある意味で戦時の大統領になった」と宣言し、朝鮮戦争時に制定した「国防生産法」の適用にまで踏み込んできた。
 1929年の大恐慌の時代、米国の労働者階級はそれまでの労働組合の退潮状況を打ち破り、「餓死するな」を合言葉に生きるための闘いを開始した。サンフランシスコやミネアポリスでゼネスト(1934年)を闘いぬき、共産主義者や左派グループは、職業・職種・熟練にかかわりなく同じ産業で働く者であれば誰でも加入できる労働組合の必要性を訴えて新たな労働運動を開始した。
 こういう情勢を上回る闘いの時代が到来した。コロナ解雇・失業・倒産攻撃に抗して闘いぬく労働組合の登場の時だ。5・1メーデーを断固闘いとろう。革共同合同・一般労組委員会はその先頭で闘いぬく。
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