解雇するな 賃金全額払え 労働組合の闘いで生存確保を

週刊『前進』02頁(3125号01面02)(2020/04/16)


解雇するな 賃金全額払え
 労働組合の闘いで生存確保を


 新型コロナウイルスへの感染が拡大し、安倍政権が緊急事態宣言を出す中で、解雇の波が急速に広がっている。解雇を許さず、全額の賃金補償を要求して闘おう。団結し、闘ってこそ、労働者の生活と命を守ることができる。(関連2面

違法解雇を促進した安倍と小池

 安倍首相や小池東京都知事は、「休業要請」という名で実質的に休業を強制しながら、それによって仕事が奪われる労働者の生活を補償するつもりは全くない。こうした安倍・小池の姿勢こそ、違法な解雇をはびこらせている元凶だ。
 コロナ情勢の中で営業が停止したり生産が激減したからといって、解雇が許されるわけではない。そもそも、どんな理由であれ解雇を絶対に認めないのが、労働組合の原則的な立場だ。
 営業や生産の停止・縮小による解雇は、法的には「整理解雇」に当たる。整理解雇の場合、①人員削減の必要性、②解雇を回避するための努力を尽くすこと、③被解雇者の選定が合理的に行われたこと、④労働組合・労働者との協議や説明を尽くすこと----の4要件がすべて満たされなければ、解雇は不当とみなされ、無効になる。
 東京都のタクシー会社「ロイヤルリムジン」による600人の運転手への一斉の首切り通告は、違法な解雇の典型例だ。ロイヤルリムジンは「低賃金で営業を続けるより失業給付を受けるほうがいい」とうそぶく。だが、解雇を回避する努力もせず、労働者に何の説明もなくなされた解雇が正当化される余地はない。労働者は直ちに労働組合に結集して闘いを開始した。
 政府でさえ、きわめて不十分なものとはいえ、雇用を維持し休業補償を行う企業に対して雇用調整助成金を支給する制度を設けている。だが、その申請手続きがあまりに煩雑で、助成金の支給時期もかなり遅れることから、制度を利用せずに事業を廃止し、労働者を解雇に追い込むことが横行している。労働組合が団体交渉で要求して初めて、資本の側が雇用調整助成金を申請するケースも多い。
 雇用調整助成金の支給は休業に関し労資間の協定を結ぶことが要件になる。このことをも使って労働組合を結成し、資本に助成金を申請させて解雇を阻むことも、闘いの重要な課題だ。

賃金の全額補償は当然の要求だ

 緊急事態宣言が出される中、解雇に至らなくても一時帰休や無給の休業などの攻撃が労働者にかけられている。賃金の全額補償を求める闘いは、生きるために絶対に必要だ。
 労働基準法第26条は、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合」、使用者は平均賃金の6割の休業手当を労働者に支払わなければならないと定めている。この規定をめぐり厚生労働省は、緊急事態宣言による営業停止の場合、使用者は休業手当を支払う義務を負わないという見解を出した。緊急事態宣言は、資本を救済する措置なのだ。
 だが、緊急事態宣言が出たからといって、使用者の責任が一切なくなることなどあり得ない。店舗が閉鎖されても別の営業形態を探ったり、労働者を別の業務に就かせる手立てを講じる余地はある。緊急事態宣言だけを口実にして休業手当を出さないことは、違法と断じられる可能性が高い。
 まして、需要急減により生産を停止・縮小した場合の休業は、完全に「使用者の責に帰すべき事由」にあたる。
 賃金が支払われなければ労働者は生きていけない。「この事態だから仕方がない」と賃金不払いを認めることなど断じてできない。雇用調整助成金を申請させることも含め、資本にあらゆる形で賃金原資を確保させなければならない。
 その上で、生活に困窮するあらゆる人々に対し、国家がその生活を保障せよと求める闘いを組織しよう。企業に対する助成ではなく、国家が人民に直接、資金を支給することが、今の局面では絶対に必要だ。

労働者の安全と健康守らせよう

 医療介護福祉現場では、感染拡大を防ぎつつ人命を守るための必死の格闘が続いている。医療労働者へのコロナ感染も広がる中で、医療労働者の命を守り抜くことは、全人民の命を守る基盤中の基盤をなす。
 医療介護福祉だけでなく、生活に必要な生産活動に携わる全労働者の命が保障されなければならない。
 使用者には「職場における労働者の安全と健康を確保する義務」(労働安全衛生法第3条)がある。感染が広がっている時だからこそ、この原則を徹底的に守らせなければならない。
 具体的な要求は職場ごとに千差万別だ。その中身を職場の仲間と一緒につくり上げ、資本との攻防に持ち込むことが、団結をうち固める。その闘いが各職場で懸命に展開されている。労働組合をよみがえらせて労働者の命と生活を守ろう。

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