運転士・車掌の職名を廃止 JRは施策を直ちに撤回せよ

週刊『前進』04頁(3124号02面03)(2020/04/13)


運転士・車掌の職名を廃止
 JRは施策を直ちに撤回せよ

(写真 「ジョブローテーション実施阻止」を重要課題に掲げて動労千葉はJRダイヤ改定を迎え撃つストライキに立ち、3月14日には木更津運輸区門前で、スト貫徹!総決起集会を闘いとった)


 JR東日本は4月1日、運転士と車掌の職名を廃止する「新たなジョブローテーション」を強行実施した。運転士や車掌の職名は、実際に4月1日から「乗務係」に変わった。これは、鉄道の安全運行を担う労働者からその誇りを奪い、資本の言いなりになる存在に変えてしまおうとする攻撃だ。
 JR東日本は「将来は自動運転も可能になる」として、運転士や車掌の仕事を「誰でもできる」ものであるかのように扱おうとしている。常磐線各駅停車を手始めに、自動運転を導入する計画も進行している。自動運転になれば、運転士の資格を持たない「乗務係」を乗せれば済むというのが、JRの考え方だ。
 だが、2019年6月に起きた横浜シーサイドラインでの無人運転車両の逆走事故は、経験と熟練を積んだ運転士がいなければ突発的な事故を防ぐことは絶対にできないことを示した。
 にもかかわらずJR東日本は運転士や車掌の職務をとことん軽視し、その業務さえ外注化して、非正規職労働者にその仕事を担わせようとしている。これは、JR東日本が最先頭に立って進める「労働組合のない社会」をつくる攻撃とも一体だ。
 強行実施された「新たなジョブローテーション」に対し、動労千葉はあくまで絶対反対を貫き、撤回させるまで闘うと表明した。

「不要不急の配転」は今すぐやめろ!

 JRは職名を廃止するとともに、「同一担務は最長10年」とすることで、同じ仕事を同じ職場で10年以上続けてきた運転士や車掌を好き勝手に配転しようとしている。JR東日本は、制度が実施された4月1日付で、運転士や車掌に別の職場に異動することを命じてきた。
 新型コロナウイルスへの感染が爆発的に拡大する中、鉄道の乗務員は感染への恐れだけでなく、自分が乗客や職場の仲間に対する感染源になってしまわないかという不安の中で、日々の仕事を担っている。
 複数のバス運転手が新型コロナに感染したことが判明したある私鉄は、その運転手たちが乗務していた行路を詳細に公表し、そのバスに乗り合わせていた乗客に注意を呼びかけた。交通運輸業で働く労働者は、ウイルスに感染すれば、直ちにこうした扱いを受ける。その緊張の中で安全運行を担っていることが、どれほどの重圧か。
 にもかかわらず、JRはこの時に、運転士や車掌に慣れない線区への異動を強制している。新たな線区で乗務するためには、事前の訓練も必要だ。こんな理不尽で「不要不急の配転」は、直ちにやめさせなければならない。
 加えてJRは3月のダイヤ改定で、総武緩行線の千葉―御茶ノ水駅の各駅間で、運転時分を5秒ずつ短縮した。運転士が制限速度ぎりぎりで運転し続けなければ、このダイヤは維持できない。
 この無謀なスピードアップは、まさに大事故を引き起こしかねない。コロナ情勢の中で、かつてない緊張を強いられている運転士に、こうした形でさらに肉体的・精神的負担をかけることなど絶対に許せない。

感染防止対策こそ緊急に行うべきだ

 安倍政権は、緊急事態宣言を発する一方で、休業や解雇を通告された労働者に全面的な賃金補償をするつもりなどまったくない。だから、膨大な数の労働者が今日・明日を生き抜くために、感染の危険があると思いつつも、満員電車に乗って通勤している。
 安倍政権は、緊急事態宣言の発出とともに、鉄道各社に列車の減便を命じることも一時は検討した。さすがにこれは、列車をさらに混雑させ、感染の危険をかえって増大させるとして撤回された。ここに表れているのは、労働者の現実など安倍はまるで分かっていないということだ。
 鉄道会社としてのJRが緊急になすべきことは、清掃に携わる労働者をはじめ全鉄道労働者への感染防止策を徹底的に施した上で、車両や駅舎の消毒などを十分に行うことだ。人が集中する駅や通勤電車を感染源としないための対策を、資金と人員を集中して極力とることだ。清掃業務を請け負う外注会社の労働条件を直ちに大幅に引き上げることも必要だ。
 これらの対策の妨害物となっている「新たなジョブローテーション」は、今すぐ撤回するべきだ。

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