解雇阻止、賃金補償せよ 労働者の命と生活を切り捨てる安倍の緊急事態宣言を許すな! 生き抜くために団結しよう
解雇阻止、賃金補償せよ
労働者の命と生活を切り捨てる安倍の緊急事態宣言を許すな!
生き抜くために団結しよう
4月7日、安倍政権は東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県を対象に緊急事態宣言を発令した。だがこれは労働者民衆の生活を危機と破綻に追い込むものでしかない。まったく何の補償もなく「自宅にいろ」というだけで、検査も医療もない。そもそも東京オリンピックのために「検査による早期発見・治療」という最も基本的な感染症対策を怠り、今日の感染拡大をもたらした責任は政府にある。安倍はそれを居直り、日本中で沸騰する怒りの声を緊急事態宣言で抑え込んで延命しようとあがいている。今、始まっているのは労働者民衆が生きるか死ぬかの階級戦争だ。
休業手当も出さないのか
4月8日の午前0時から効力が発生した緊急事態宣言を、政府は少なくとも5月6日までは続けるとしている。これを受けて小池百合子東京都知事は百貨店、ショッピングモール、理髪店、インターネットカフェなどの施設の休業のほか、小中学校・高校にも原則休校を要請するとした。
安倍は「何よりも国民の皆様の行動変容、つまり行動を変えることです」などと言うが、休業・失業に対する補償がまったくない中で、労働者は満員電車に乗って出退勤せざるを得ず、多くの自営業者も休業できない。資金繰りに苦しむ中小企業は融資を受けるための手続きで自治体の窓口に殺到している。
安倍が「世界的に最大級」と称し「事業規模108兆円」と報じられている緊急経済対策は、納税・社会保険料納付の1年猶予や融資などを含めたインチキな数字だ(3面に記事)。財政支出は39兆円、うち前年度未執行分や財政投融資を除いたいわゆる「真水」は16・7兆円程度でしかない。家庭や個人事業主、中小企業への現金給付に回されるのは最大で6兆円。「1世帯あたり30万円の現金給付」の対象も住民税非課税で収入が半減した世帯に限られるため、8割の世帯は対象外にされると言われる。しかも収入半減の自己申告などの手続きが煩雑なため、給付されるのは6月以降になると言われている。
労働基準法26条は、「使用者の責に帰すべき事由による休業」の場合には「平均賃金の60%以上」の休業手当を労働者に支払わなければならないことを定めている。しかし厚生労働省は、緊急事態宣言が出された場合には「企業の自己都合」とは言えなくなるため「休業手当を支払わなくても違法ではなくなる」との見解を示した(4月3日付東京新聞)。労働者が闘って要求しない限り休業手当すら出なくなる。
非正規労働者の多くは仮に休業手当が出たとしても、このままでは生活の破綻に追い込まれる。休園で自宅待機を強いられている東京ディズニーリゾートの労働者が、会社に対して賃金の全額支給を求めて立ち上がったことがマスコミで報じられているが、彼らの訴えは「基本時給がそもそも千葉県の最低賃金である923円に張り付いた低賃金であり、6割の補償では最低生活もできない」というものだった。この上、緊急事態宣言で休業手当が出なくなればどうなるのか。コロナショックがもたらす一切の矛盾を、もっぱら労働者に押し付けようとしているのが安倍政権であり、その背後にいる大資本だ。
労働者が生きるため、自分と家族と仲間を守るために団結して闘おう。補償を絶対にかちとろう。
必要な医療の整備・拡充を
安倍政権や小池都政には労働者民衆の命を守る意思も体制もない。そして新自由主義がもたらした社会の崩壊こそ、ここまで感染症を拡大した原因だ。
アメリカでは1カ月前、感染者が100人程度だったが、今月3日には30万人を超え世界最多となった。無保険で貯金もできない多くの労働者が、感染を疑われる状態でも病院に行くことができず、悪化させてしまった結果、爆発的に感染者が増えたのだ。イタリアでは4月8日までに1万7127人が死亡、13万5586人の感染が確認されているが、一時は致死率が10%を超えた。その背景にあるのは、緊縮財政によって過去5年間に760もの医療機関を閉鎖し、医師・看護師も大規模に削減してきたことだ。
日本でも同じ、いや日本こそ最も深刻だ。日本集中医療医学会によると、人口10万人あたりのICU(集中治療室)のベッド数がドイツでは29~30床なのに、イタリアは12床、日本は5床程度しかないという。人員不足で医師や看護師が感染を疑われるほど体調を崩しても休めずに働き続けている。院内感染でクラスターが発生したのは必然だった。それが緊急「事態」を招いたのだ。この転倒した社会をひっくり返さなければ何も解決しない。それは労働運動の課題だ。
感染拡大を本当に防ぐためには医療体制の整備・拡充が急務だ。すでに東京や千葉では感染者数が感染症指定病院の病床数を上回っているため、一般の病院とホテルにも患者の受け入れが要請されている。だが感染防護に不可欠な消毒液、医療用マスクや防護服、手袋などが現場には圧倒的に不足している。医師や看護師は自らが感染すること、自分や同僚が命を落とすことも想定されるような状況に置かれている。それでも救命活動の士気が下がらないように、労災として補償することやストレスを取り除くためのカウンセリングなど、医療現場の労働者は必要と思うことを経営者に要求して闘っている。
これに対し、経営者はこの緊急事態を利用して、これまで労働組合と結んでいた協定を踏みにじり、医師や看護師に長時間の夜勤を強制しようとしている。小池都知事は「都民の命と健康を守ることが緊急事態宣言の最大の目的」などと言いながら、3月31日に都立病院・公社病院を22年までに独立行政法人化するビジョンを発表した。病院が独法化されれば営利が優先され、人員・ベッド数の大幅削減、公的医療部門の廃止などがこれまで以上に推し進められる。都立病院の労働者は感染拡大防止の最前線に立つと同時に、都立・公社病院の独法化に断固反対の声を上げている。
怒り集め5・1メーデーへ
労働者民衆の命を守るために、労働組合を先頭に、生きるための賃金、医療を闘いとろう。
安倍は労働者の団結を心底恐れている。だからこそ緊急事態宣言で労組をつぶし、改憲へ進もうとしている。衆院憲法審査会の与党筆頭幹事・新藤義孝(自民党)は4月3日、憲法審査会を9日から再開して「緊急事態における国会機能の確保」をテーマに議論することを野党に提案した。他方、政府は緊急事態宣言下で「警戒警備や混乱に乗じた各種犯罪の抑止、取り締まりを徹底する」(菅義偉官房長官)としており、職務質問を活発化させるなどの協力を警察に「要請する」としている。
こうした情勢だからこそ、私たちは仲間や家族の命と健康を守るための必要な措置をとりながら、今こそ総反撃に立ち上がらなければならない。改憲を先取りした緊急事態宣言を打ち破り、闘う労働組合をよみがえらせよう。
労働組合として当然のストライキが威力業務妨害とされ、団体交渉での要求が恐喝や強要とされて89人もの組合員が不当逮捕された全日本建設運輸連帯労組関西地区生コン支部への弾圧は、今も激しい攻防が続いている。国鉄1047名解雇撤回闘争をめぐっても、動労総連合がJR東日本を相手に「解雇撤回・団交開催」を申し立てた件で、中央労働委員会は一度の調査もせずこれを却下・棄却した。資本が生き延びるために労働者を徹底的に犠牲にする、そのために労働組合をつぶす。これが安倍政権の基本政策だ。
だが、安倍に対する怒りの声は巷(ちまた)にあふれており、これからますます爆発していく。必要なのは団結であり、行動だ! 職場・地域の仲間と一緒に「賃金を補償しろ」「命を守れ」と声を上げ、安倍、小池のもとに押しかけよう! 何百兆円もの金をためこんでいる資本家のやつらから奪い返すときだ! 生きぬくための5・1メーデーに集まろう!