職場からの通信 感染を防げと緊急要求 病院・介護施設 東京
週刊『前進』02頁(3123号01面03)(2020/04/09)
職場からの通信
感染を防げと緊急要求
病院・介護施設 東京
(写真 3月22日に改憲・戦争阻止!大行進が呼びかけた新宿デモで、医療・福祉・介護労働者が白衣を着て怒りの声を上げた)
都内の精神科病院で在宅のケアマネージャーとして働きながら、一児の母として、労働組合の執行委員長として毎日奮闘しています。
新型コロナウイルスで私の医療・介護の現場も大きな影響を受けています。医療・介護の労働現場にとって必要不可欠なマスクが、このままだと4月中にも在庫がなくなる可能性があると言われました。消毒液も不足していて、手洗い石鹸(せっけん)も在庫がないという状況です。
病院や介護職場で働く私たちは、患者さんや利用者さんの命と同時に、自分の命も守らなければならない立場にあります。今の状況はかなり危機的です。
医療の基本は「早期発見・早期治療」です。それを「37・5度以上なければ自宅待機」「決まった病院でないと検査ができない」など、絶対にあってはならないことです。感染拡大を止められない原因は、労働者の命や生活をなんとも思っていない安倍政権です。起きていることは戦争状態・医療崩壊そのものです。
卒園式が大幅短縮
私には3月に保育園を卒園した息子がいますが、自粛ムードが直撃し、保育園の卒園式は時間が大幅に短縮されました。楽しみにしていた会食も、保護者が企画した二次会も中止となりました。園側からは「行政に内容と時間を報告しなくてはいけないので時間の超過はできない」と言われました。それでも保護者の熱意に負け、卒園式とは別の日に、子どもたちだけの会食と、二次会で行われるはずだった演目を保護者有志で行い、子どもたちにはすてきな手作りプレゼントが配られたのです。
このコロナ情勢の逆境に負けず、保護者の思いと保育園の先生の情熱が共鳴し、「いつもの卒園式より印象深かった」と言う保護者や先生たちもいたほどです。私たちの生活や命を守るのは安倍政権でも資本でもない、私たち自身です。母親であり、労働者である私たちだけなのです。
私は職場闘争の中でも一歩踏み込んで緊急の団体交渉を申し入れました。この情勢に何もやらないわけにはいかない、でも日ごとに変わる情勢で、要求書を作っても追いつかない……それぐらい医療・介護の労働現場は目まぐるしい状況の中、「えい!やってしまえ!」とばかりに、口頭での緊急要求を行いました。
消毒液をかちとる
精神科の病棟と介護老人保健施設も面会謝絶。家族であっても面会できないのに、私たち在宅部門には何の通達もなし。在宅部門はもっとも外部の人や利用者・家族と接触することが多いのに、「訪問するな」とか「訪問を自粛するべき」とも会社は言わないんです。そして消毒液も持たせない。私は「もう冗談じゃない、何を考えているんだ! 消毒液を1人ずつ持たせろ」と言ったんです。最初、会社は「消毒液の在庫がないんです」と言いましたが、「じゃあ、私たち在宅部門の労働者がコロナにかかってもいいわけ? 死んでもいいわけ?」と言ったら会社は黙り、2日後に1人に1本ずつ携帯用消毒液が配られるという成果を勝ちとりました。一見、小さな闘いに見えますが、職場では多くの共感を得ました。違う部署の人たちも、管理者までもが「あなたが言ってくれたおかげで支給された」と、みんなが喜んでくれました。
そして、緊急の申し入れを行ったことを伝えるビラを見て、在宅部門でない病棟の労働者も「このビラを読んで、在宅部門が一番外部接触が多いということに気がついた。大事なことだよね」と言ってくれました。後日、石鹸の供給を確保することもできました。
こういう一つひとつの闘いが無数につながったときに、安倍政権をぶっ飛ばすことができるのではないでしょうか。コロナ情勢はまさに戦争状態。だからこそ職場から戦争反対の声を上げる大チャンスとして、職場から立ち上がろう! 職場から革命を起こしましょう!
(佐藤美鈴)