都立病院の独法化許すな
週刊『前進』02頁(3123号01面02)(2020/04/09)
都立病院の独法化許すな
東京では4月4日に入院が必要な新型コロナウイルス感染者が817人になり、前日までに確保していた約750病床を上回ってパンクした(4日夜には約900床を準備)。指定医療機関以外の一般の医療機関が、感染患者を受け入れられるように準備を急いでおり、医療現場では必死の格闘が続いている。
しかし、この医療労働者たちの闘いをあざ笑うように、小池百合子都知事は3月31日、都の公立・公社病院を2022年度内をめどに地方独立行政法人化する「新たな病院運営改革ビジョン」を発表した。対象は都立8病院と都保健医療公社6病院だ。都立・公社14病院と東京都がん検診センターを統合して、「地方独立行政法人東京都病院機構(仮称)」を設立するとしている。これにはコロナ感染者を受け入れて、必死の治療行為を続けている病院も含まれている。
小池の独法化方針は、新型コロナを含む感染症対策をはじめとした公的医療を破壊する暴挙だ。すでに独法化された国立病院機構では国からの交付金が大幅に削られ、不採算部門であるとして結核、小児救急、精神、救命救急、周産期母子などが廃止された。感染症や災害対策では空きベッドを用意しておく必要があるが、それも営利を優先した病院では切り捨てられる。
東京都に限らず、公立・公的病院はその地域にとって絶対に必要な施設だ。だから自治体などが公費を使い運営してきた。都立病院は都民の命を守るために、へき地医療、高度救急や周産期医療、小児救急や精神科救急、感染症対策などあらゆる公的医療を担っている。
独法化の狙いは、医療で金もうけをするための合理化と労組破壊だ。都立病院では医療労働者の賃金をはじめ労働条件は条例で定められている。しかし、独法化で理事会(経営者)の決定で人員や賃金を減らすことが可能とされる。労働条件の悪化はさらなる医療崩壊をもたらす。
さらに、病床不足が深刻化する中で安倍政権は、今年度予算に、病床を1割以上削減する病院に出す補助金として総額84億円を組み込んだ。21年度以降は消費税を財源にして、25年までに全国で20万床を削減するとしている。労働者民衆の命を守る気などないのだ。
この安倍政権の方針を最先頭で実行しているのが小池都政だ。都庁職員労組・病院支部は「必要なのは地方独法化ではなく都立・公社病院の充実」と訴えている。彼らとともに闘おう。