イタリア 独立系労組が全国でスト 人命軽視の政労資協定に怒り
イタリア
独立系労組が全国でスト
人命軽視の政労資協定に怒り
イタリアのコロナウイルス感染者数は3月31日、10万1739人を数えた。そのうち死者は1万1591人で世界トップだ。医療崩壊が現実になっている。
25日、独立系労組の職場労働組合連合(USB)、職場委員会連盟(S.I.COBAS)、職場組織連盟(CUB)が呼びかけた32時間ゼネストが打ち抜かれた。ゼネスト不参加の既成3大労組(CGIL、CISL、UIL)は病気を理由にしたストを認めた。
ストは感染が最大のロンバルディア州を中心にイタリア北部の生産活動を広範囲に止めた。製紙、繊維、化学では60〜90%がストに参加した。医療労働者は1分間ストを行った。このゼネストは、3月に入って自動車・鉄鋼など主要製造業でも始まった抵抗が頂点に達したことを示している。
9日に外出禁止令が全国に適用されたにもかかわらず業務が継続されたことに労働者の怒りが噴出していた。独立系労組は共通して「安全不明確域での業務停止」「休業中の賃金全額補償」「雇用保障」「衛生管理の実施、必要器具の配布」などの要求を突きつけてきた。重要なのは「医療、製薬、救急以外の不急不要な業務の停止」だ。
だが政府と既成3大労組、工業連盟(経営者団体)の3者は14日、産業の維持を確認する協定を結んだ。業務を続けるかどうかの判断に労組が関与すると規定された。そのうえに政府は21日「必要不可欠でない全ての経済活動の停止」を布告した。これに資本側が猛然と反発、政府に圧力をかけた。これを受けて政府は「必要不可欠部門」を大幅に増やした。これには軍需産業、航空宇宙産業も含まれた。
独立系労組は、金もうけ優先の政府・資本に抗議しゼネストを宣言した。これに押された政府は23日、新たな政令を出し、操業停止部門を再拡大したが、操業継続か否かの判断を企業に任せるとした。また不必要な生産活動への制限を4月3日まで継続するとした。
既成3大労組はこの政令を労組への一部譲歩として歓迎したが、独立系労組は25日のゼネストで対決したのである。
現場で山猫ストが頻発していた
コロナウイルスへの感染が爆発的に拡大する3月初めから広がったストで労働者は部分的に成果をかちとったが、工業連盟は巻き返しを図ってきた。
もともとイタリア政府の2008年の政令81号は「急迫した危険に直面した場合、職場を離れることができる」と規定していた。3月14日の政労資協定は操業を継続するか否かの判断に労組が関与すると規定したが、諸政令は造船、自動車、鉄鋼、家電、流通など基軸的な490企業の操業継続を認めていた。
このため現場では緊張が高まり、25日までの10日間、至るところで山猫ストが闘われていた。既成3大労組のもとにあるスーパーマーケットでもストを要求した。緊縮財政の犠牲にされてきた保健・医療の現場では、行政当局に予算支出と改善措置を強制した。
イタリアの感染危機は資本主義の貪欲(どんよく)な本質とその歴史的破産を明らかにした。命を救うために闘っているのは労働者であり、闘う労働組合だ。イタリアの闘いに続こう。