香港 「医療スト処分許すな」 現場から連帯の闘い広がる

週刊『前進』04頁(3120号03面03)(2020/03/30)


香港 「医療スト処分許すな」
 現場から連帯の闘い広がる

(写真 広華医院の感染防護物資不足に抗議し組合員募集活動【3月10日】)

 香港で2月に大ストライキを闘いぬいた医管局員工陣線(これまで「医院管理局労働組合」と訳してきたが、今後は正式に「医管局員工陣線」と記載)は現在、必死で治療にあたる医療労働者と患者の安全を守り、この新型コロナ情勢の下での感染拡大を許さない闘いを現場で継続し、ストライキへの処分に反対して闘っている。彼らは3月11日に医院管理局に対し、深刻化する医療労働者への防護物資不足を追及する質問状を提出し抗議した。
 彼らへのストライキに対する処分に反対して、医院管理局職工総会(香港職工会連盟所属)は「ストライキをしなかった医院管理局の仲間は、ストライキをした仲間を支えよう!」と、処分に反対する署名運動を開始した。この署名は「私たちは当日、ストライキには参加していないが、医院管理局のやり方には非常に失望している。このストライキは、全医療システムと香港のすべての市民の福祉のためである。彼らへの事後処分をしてはならない」と、ストの正当性を真っ向から訴えている。医療労働者の闘いが組合をこえて広がっているのだ。医院管理局職工総会も、3月10日、防護物資の不足問題に抗議し、また組合への加盟を訴えて、広華医院前で街頭宣伝に立った。

運輸労組が声明

 医療労働者の連日の闘いは大きな反響を呼んでおり、3月5日に総合医院前整骨科主管である陳志偉氏は公開レターで「ストの事後処分は破壊的で、最終的には仲間たちを魂のないロボットにしてしまう」と警告を発した。この指摘は、日本の医療営利化攻撃にもつながるものがある。今、新自由主義の下で崩壊する医療の現場では、香港だけでなく全世界で闘いが必要なのだ。
 さらに3月18日、香港の運輸関係の地下鉄やバスの四つの労働組合が連署で「第3次新型コロナウイルスの爆発が迫っている。政府は真剣にしっかりした防疫処置をとれ」との要求書を発した。声明は、香港での感染者数が日々増大していること、政府による旅行者や労働者などへの防疫対策が不十分で、公共交通機関で感染が広がろうとしている現状を指摘し、「政府はショーをするな!」と弾劾。マスクの確保と公共交通機関利用時の着用義務付け、就業時の防疫物資や人員の確保、厳格な入境封鎖などを要求している。この声明は、20日の段階で、すでに39の労働組合の賛同署名が得られている。

白色テロに抗議

 新型コロナ感染拡大という極限的情勢の下で、香港では労働運動の新たな発展が進んでいる。ホテル業や飲食業、旅行業の労働組合も、連帯してこの厳しい情勢に立ち向かうとともに、重要なことは仲間を増やすことだと、組織拡大の運動に全力で立っている。
 3月21日には、昨年の7月21日元朗駅でのいわゆる白シャツ組(中国系の暴力団)によるデモ隊への白色テロ事件から8カ月の抗議行動が行われた。警察は、集まった労働者学生に無差別的にこしょう液を噴射するなどの暴行をふるったが、デモ隊は区議会議員を含む63人逮捕という弾圧に屈せず、道路封鎖などで徹底的に闘いぬいた。
 新型コロナウイルス情勢での闘いの核心は、労働者の現場での闘いだ。香港の闘いと連帯して、日本でも労働組合運動を軸に闘いぬき、非常事態宣言を狙い戦争を進める安倍政権を倒そう!
このエントリーをはてなブックマークに追加