コロナ解雇を許すな 五輪中止し労働者の命と生活守れ 腐敗と独裁の安倍政権打倒を

週刊『前進』04頁(3120号01面01)(2020/03/30)


コロナ解雇を許すな
 五輪中止し労働者の命と生活守れ
 腐敗と独裁の安倍政権打倒を


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 新型コロナウイルスの感染が爆発的に拡大する中、国際オリンピック委員会(IOC)は東京オリンピック開催を1年程度延期することを決定した。しかし、五輪は延期ではなく完全に中止するしかない。コロナウイルスがいつ収まるか誰にもわからない。放射能汚染を無害化することもできない。小池百合子都知事が策す「首都封鎖」「外出制限」、安倍が狙う「緊急事態宣言」は独裁と改憲への道だ。命と生活を守るには、社会を動かす労働者が団結して声を上げ、行動する以外にない。香港、韓国、アメリカ、ヨーロッパの闘いに連帯して立ち上がろう。

社会の崩壊暴いたコロナ

 新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大は、決して単なる自然現象ではない。それは、人々の命よりも資本の金もうけと自らの支配の維持を優先してきた帝国主義とスターリン主義が引き起こした階級的な災害だ。新型コロナの感染拡大以前から、この社会はとっくに破壊されていたのだ。
 私たちの目の前では、2008年のリーマンショックをはるかに超える経済の崩壊が進行している。大恐慌の爆発はこれからであり、史上かつてない事態へと突入していく。
 こうした中で、政府や資本は許しがたいことに、矛盾をすべて労働者階級に押し付けて延命しようとしている。「コロナ」の一語で、当然のように解雇や雇い止め。飲食業、観光業や旅客関係での失業者が急増し、住み込みの労働者が路上に放り出されている。日本郵政グループでは、全国の郵便局員全体の約5%にあたる1万人の労働者を削減する案が浮上。トヨタ自動車も国内5工場の生産ラインの停止を発表した。下請け会社も含めた労働者の雇用に直ちに影響する。
 春闘では、新型コロナにかこつけて団体交渉を拒否する資本も出てきた。「自粛」ムードがあおられる中、連合は春闘集会を中止した。これは、コロナショックを口実にベアや定期昇給、さらには春闘そのものをなくそうと狙う資本への屈服・協力だ。こうした「挙国一致」の動きは、日本帝国主義が全面的な中国侵略戦争に突入するのを前にメーデーが禁止された1936年とも重なる。
 今こそ労働運動の真価が問われている。政権と大企業ではなく、労働者民衆の命と生活を守れ! あらゆる職場で、街頭で、行動を巻き起こそう。
 こうした中で安倍は独裁体制の構築を急いでいる。3月13日には新型インフルエンザ等対策特措法の改定案を成立させ、デモや集会の禁止、土地や家屋の接収や報道統制といった事実上の憲法停止を可能にする緊急事態宣言の発令を狙っている。安倍を倒して改憲を阻止しなければならない。

五輪予算を医療と生活へ

 安倍は誘致の際から東京オリンピックを福島第一原発事故からの「復興五輪」と位置づけて、自らの政治的「レガシー」(遺産)とすることに固執してきた。延期期間を「1年程度」とすることにこだわったのも、来年9月までの自民党総裁任期中に開催するためだ。
 3月24日に延期が決定すると安倍は「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証しとして、完全な形で」開催すると述べた。しかし、この間の動きは逆に、政府が放射能と感染症に対してまったく無力であることをさらけ出している。
 東京都では25日、1日当たりではこれまでで最多の41人の感染が報告された。治療薬やワクチンは開発中であり、1年後、2年後であっても感染拡大が終息している保証などない。
 何より、福島第一原発事故による放射能汚染はなお深刻だ。新型コロナの感染拡大以前から、原発事故を「終わったこと」にするための「復興オリンピック」に対する怒りと不安は全世界で渦巻いていた。
 「復興」を偽るために巨費を投じ、巨大スポンサーやゼネコン、メディアの金もうけと政府の延命を図り、避難者を置き去りにする五輪など必要ない。
 その上で、五輪の延期によって巨額の損失が生じたからと言って、解雇や賃下げで経営の危機を乗り切ろうとすることなど絶対に許されない。労働者には五輪延期の責任はない。韓国・民主労総が「財閥の金庫を開け」と訴えているように、大企業は今すぐ、労働者を搾取して蓄えた巨額の資金をすべて、人々の命と生活を守るために差し出すべきだ。
 過去最高を計上した防衛予算も同じだ。中国の労働者民衆からも「空母より病院を」という叫びが上がっている。これは全世界の労働者民衆の共通の思いだ。
 この間、人々の命をかえりみず、五輪による政治的・経済的利益を優先し、あくまで予定通りの開催を主張してきた日本政府の姿勢は全世界の労働者人民の怒りの的となってきた。帝国主義とスターリン主義の延命のためだけにあるオリンピックなど必要ない。
 近代のオリンピックとは何か。4年に1度の国際スポーツイベントであり、建前上は都市の主催、個人(市民)の参加だが、実質的には一国家の主催、国家ごとの参加である。帝国主義・大国間の競争と争闘の場である。労働者人民は国家のもとに国民として総動員され、統合される。労働者階級としての国際連帯と階級意識の否定・圧殺である。また帝国主義と資本が大恐慌切迫の危機を一時的に乗り切り、巨額の利益をむさぼる機会である。ギリシャ、ブラジルに表れたように、五輪後は巨額の負債と建造物の残骸が「レガシー」として押し付けられる。五輪は労働者にとって粉砕の対象でしかない。

今こそ労働者に権力を!

 今、JRをはじめとする大企業の多くが、政府すら助成金を創設したにもかかわらず「無給でなら休め」「有休を使え」という態度をとり、まともな賃金補償を放棄している。ふざけるな! 住民や生徒、患者の命や生活に責任を取っているのは現場の労働者だ。感染拡大の中でも仲間と助け合い、必死で仕事を回し、社会を動かしている。こうした現場を見たこともなく知ろうともしない連中が、私たちの生活を破壊している。もう我慢の限界である。
 そもそも、医療や社会保障、教育など、人間が生きることに関わることすべてを金もうけの道具とし、本来必要な部門を切り捨ててきたのは歴代政権だ。
 フランスの医療労働者は、予算や人員、病床の削減に対して1年前からストで闘ってきた。「公共医療サービスは大砲ではなく予算削減によって破壊されている。......私たちは愛国心からではなく、人道によって治療する」。3月17日、労働組合SUD(連帯・統一・民主)の医療部門はコミュニケを出し、「私たちは戦争状態にある」と繰り返す大統領マクロンの対応を痛烈に批判した。
 イタリアのUSB(職場労働組合同盟)は、「今こそ民営化された医療設備を公共の利益のために戻すべき時だ」と宣言し、基幹部門を除いた全産業でゼネストに突入した。(記事3面)
 アメリカでは、UTLA(ロサンゼルス統一教組)やILWU(国際港湾倉庫労働組合)に加えてNNU(全米看護師連合)が「ホームレスや非合法滞在者を含めたすべての人に無償のウイルス検査と医療措置を」と訴えて立ち上がっている。
 アルゼンチンでは、これまで警官の制服を縫製していた工場で労働者が自主管理闘争に突入。医療用マスクの製作に切り替えた。これが労働者の力だ。
 国境を越えた労働者の団結と闘いにこそ、命と生活を守り社会を変える力がある。この力を大きく育て、資本家の政府を倒し、労働者の権力を打ち立てよう。そのために闘う労働組合をよみがえらせよう。

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