今こそ闘う労働組合の出番だ コロナ緊急事態宣言の発令許すな 世界経済はリーマン以来の大激震 命脈尽きた資本主義を打倒しよう

週刊『前進』04頁(3118号01面01)(2020/03/23)


今こそ闘う労働組合の出番だ
 コロナ緊急事態宣言の発令許すな
 世界経済はリーマン以来の大激震
 命脈尽きた資本主義を打倒しよう


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 WHO(世界保健機関)が「パンデミック(世界的大流行)」と認めた新型コロナウイルス感染症は、146カ国・地域で感染者数19万人近くに達し(18日時点)、これを引き金とした空前の株価大暴落が世界経済を激震させている。安倍政権は大銀行・大企業の救済と「東京オリンピックの予定通りの開催」を一切に優先し、医療の拡充や失業補償といった最低限の措置も放棄している。今や2008年リーマンショック以来の大量解雇の嵐が労働者とその家族に襲い掛かろうとする中で、韓国や香港、アメリカ、欧州諸国などでは、労働者民衆が生きるために闘いを開始している。今こそ労働組合が命を守るために決起すべき時だ。

憲法破壊し安倍独裁を狙う

 新型コロナウイルスの大流行が暴き出したのは、「何か事が起こればたちまち冷たい水の底に沈むしかないような、薄い氷の上に何千万という労働者が置かれている」(動労千葉・田中康宏顧問、本紙3115号)という新自由主義40年がもたらした日本社会の現実だ。そして今、何よりも人々の命と生活を脅かしているのは、感染症そのものではなく、東京五輪中止を恐れて検査件数を抑制し、膨大な数の「検査難民」「医療難民」を生み出し、臨時休校やイベント自粛で多くの人々を生活できない状態に追い込みながら最低限の補償さえもやろうとしない安倍政権である。労働者民衆が生きる未来を開くために、安倍政権を今すぐ打倒し、資本の金もうけを優先して圧倒的多数の人々を貧困と不安定雇用にたたきこんできた新自由主義の社会そのものを根本から変革しなければならない。
 他方で安倍政権は、労働者民衆の怒りの反乱を上から暴力的に抑え込むために、「緊急事態宣言」の発令を可能とする新型インフルエンザ等対策特別措置法の改定案を国会に提出し、わずか3日間の審議で13日に成立させた。これにより首相が緊急事態を宣言すれば、都道府県知事を通じて住民の外出・移動を制限すること、催し物の中止、学校や公共施設などの使用制限・閉鎖など、デモや集会も含めて人が集まること全般を禁止することが可能となる。「医療施設の整備」のためという口実で土地や家屋を所有者の同意なく強制使用・収用すること、郵政など運送事業者への配送指示や医薬品などの収用も行えるようになる。
 加えて重大なのは、政府による直接の報道規制が可能となることだ。特措法では、政府対策本部長(首相)が指定公共機関に対して「総合調整を行うことができる」(20条)とされ、「所要の措置が実施されない場合」には「必要な指示をすることができる」(33条)とされている。ここでいう「指定公共機関」にはNHKを含むとされているが(2条)、その対象は政令によって民放やラジオ局、新聞社など、ほとんど無制限に拡大できる。政府にとって都合の悪い報道や批判的な番組を規制し、その内容を改編することまで可能となる。
 このような現行憲法のもとでは本来不可能なはずの基本的人権の侵害、国家による労働者民衆への様々な統制が、国会の事前承認もなく行えるのだ。

労働者が主人の社会作ろう

 こうした憲法破壊の「安倍独裁」法に対し、立憲民主党・国民民主党などの野党は、安倍の「国家的危機にあっては与党も野党もない」(4日の5野党党首との会談での発言)という恫喝に屈服し、法的拘束力のない「国会への事前報告」という付帯決議を付けただけで賛成した。安倍が本気で改憲攻撃に踏み出した時、「野党共闘」がいかに無力かが示された。
 だが、労働者が生き抜くために、安倍のやりたい放題をこのまま許すわけにはいかない。すでに企業倒産、解雇、新卒採用者への内定取り消しなどが吹き荒れている。膨大な数の個人事業主や非正規労働者が仕事を失い、明日を知れない状態に追い込まれている。
 今や金融市場は信用収縮の段階に入った。米FRB(連邦準備制度理事会)と日銀は市場の動揺を抑えるため15〜16日に緊急の追加緩和を実施。FRBは1・00%幅の利下げを決め、リーマンショック直後の08年12月〜15年12月以来のゼロ金利に踏み切ったが、16日のニューヨーク株式市場ダウ平均は2997㌦安となり、12日に記録した2352㌦を超え史上最大の暴落となった。
 「コロナショック」は、もはや歴史的命脈の尽き果てた資本主義が、人類の存続と相いれなくなったことを暴き出した。これだけの生産力と科学技術がありながら、感染症対策も生活の保障もままならない。こんな資本主義を一刻も早く終わらせ、労働者が主人となった新しい社会へと変革しなければならない。そのために必要なのは、労働者が一つの階級として団結し、組織された政治的な力を持って登場することだ。

世界の労働者が新たな闘い

 すでに世界中の労働者がこの情勢下で新たな闘いに踏み出している。
 3月16日に韓国・民主労総と香港職工会連盟が発表した共同声明は、「様々な産業で多くの労働者が人員削減、無給休暇を強要され、解雇されている。保険医療、公衆衛生、施設管理、大衆交通などの部門では個人保護装備が十分に供給されず、感染の危険にさらされている」「下請け、派遣、臨時、特殊雇用(個人請負扱いの労働者)、障害者、移住労働者など、不安定労働者はこのような状況で特に弱い立場にある」として、韓国、香港両政府に次の10項目を要求した。▼一時的失業、半失業、無給休職に置かれた全労働者への共同基金の投入、緊急失業・生計支援金の支給▼隔離された全労働者への賃金補償▼感染した全労働者への有給疾病休暇、治療期間の賃金補償▼隔離または治療後復帰した全労働者がいかなる形態の差別も受けないようにすること▼感染患者または汚染地域から来た人々と接触する可能性のある全労働者への総合的な個人保護装備の支給▼必須公共サービスまたは大衆が集まる場所で働く全労働者への総合的な個人保護装備の提供▼これらの措置を下請け、派遣、臨時、特殊雇用、障害者、移住労働者に差別なく保障すること▼感染予防に必要な最新情報の透明性を確保した提供▼労働組合と定期的に協議すること▼世界的大流行の間、そしてその後も含め必須公共サービスのための公共支出と財源が削減されないように保障すること。
 アメリカのUTLA(ロサンゼルス統一教組)は、12日付で発表した声明で、ロサンゼルス統一学区の学校の休校措置を求めるとともに、「数十万のホテル労働者や他の低賃金労働者が失業の危機にある現在、ドナルド・トランプは、ウォール街と巨大企業救済を約束している」と弾劾。そして生徒の家族への支援金の拠出や経済的セーフティネットの整備、ロサンゼルスの全労働者への有給病休の増加、休校措置のために出勤できない労働者への災害支援金支給、負債の免除や家賃・ローン支払い猶予などを要求した。
 日本でも医療現場の労働者をはじめ、職場から具体的要求を掲げた闘いが始まっている。13〜15日の48時間ストを闘った動労千葉(本紙前号で既報)を先頭に、この事態に立ち向かう労働組合を時代の最前線に登場させよう。安倍が狙う緊急事態宣言発令を粉砕しよう。3・29三里塚闘争に全国から集まろう。

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